きのうはブリのてり焼き。
ブリは、旬はもう終わってしまったんですが、それはそれで、しみじみとウマイわけですよね。
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いつも昼寝から覚めると晩めしの献立を考えることにしていて、魚が食べたいと思えば魚屋、豚肉が食べたいと思えば肉屋、鶏肉が食べたいか、または魚とも肉とも決められない場合には、スーパーへ買い出しに行く。
きのうは魚が食べたい気がしたから、魚屋へ向かったのだが、魚の場合は、「魚が食べたい」という以上には、家で献立を考えることができない。
何の魚があるのか、魚屋に行ってみないとわからないからだ。
魚屋は、毎朝市場へ出かけ、出ている品の中からいいものを選んでくる。
魚の水揚げ量は天候などによっても左右されるし、市場に並ぶいい品は、その日によって変わるのだろう。魚屋でも、並ぶものは毎日ちがう。
さらにブリやタラのあらなど人気のものは、魚屋に並んでも、早い時間に売り切れてしまうこともある。
だから魚については、魚屋で実際に並んでいるものを見て、それから献立を考えるしかないのである。
ただし事前に、全く考えていないわけでもない。きのうは何となく、「ブリのようなもの」が食べたいという気がしていた。
それで魚屋へ行ってみたら、果たしてブリがあったのだ。
脂のある、腹身の部分を迷わず買って帰ったのだが、迷ったのは、料理法。
ブリの切り身は、本当に旬の脂の乗った時期ならば、塩焼きにして大根おろしとポン酢で食べるのが一番うまい。
でも残念ながら、ブリの旬は、もう終わってしまったのだ。
ブリは、寒くなるにつれて脂が乗り、うまくなる魚なわけで、だいたい正月頃から、本格的な旬をむかえる。
1月は「絶好調」となるのだが、2月に入り、上旬くらいで、旬はパタリと終わりになる。
このブリの旬の終わり方は、本当に「素っ気ない」とも思えるくらいで、終わった途端に、たちまち脂が抜けてしまうのだ。
脂が抜けてしまったブリは、塩焼きにするとちょっとモソモソとしてしまう。
やはりここは、「てり焼き」の出番となるのである。
てり焼きは、言わずと知れた、日本の王道の味。要は「砂糖としょうゆを混ぜたもの」で、ブリの場合は「てり焼き」と呼ばれるが、蒲焼き、すき焼き、イカ姿焼き、磯辺焼き、、、味付は全部おなじだ。
砂糖としょうゆの味付けは、どんなものでもコクを出してくれるけれど、やはりあまりにも「ベタ」だから、「ここに何を加えるか」が考えどころとなる。
まずは、粉山椒と一味。これは言うまでもなく王道で、砂糖としょうゆのベッタリとした味を、うまいこと引き締めてくれる。
あとは、「何を添えるか」が問題で、きのうツイッターで、てり焼きに白ネギの焼いたのを添えている人を見て、これもじつにウマそうだとは思った。
しかし、何といってもオススメなのは、「大根おろし」なのである。
大根おろしは、塩焼きにするなら当然の話だが、てり焼きに添えるとなると、違和感をもつ人もいるかもしれない。
しかしこれが、まちがいない。
何しろ、ブリと大根は、「ブリ大根」という黄金のメニューがあることからもわかる通り、最高の相性なのだ。
うなぎの蒲焼に大根おろしは合わないと思うけれど、ブリのてり焼きには、バッチリ合う。
ブリのくどさを、うまいこと和らげてくれ、絶対にウマイのだ。
てり焼きは、テフロンのフライパンがやりやすい。
魚はすべて、フライパンできれいに焼けるし、もしガス台にグリルがないのなら、焼き網で焼くよりフライパンの方が、ムラなく焼けるし煙も出ない。
煙が出るのは、魚の脂が直火に落ちるからなのだ。
ただしフライパンで魚を焼くには最大のコツがあり、それは魚を乗せるまえ、フライパンを十分温めること。
魚を乗せたときに「ジュー」っと音がするようでないと、魚はフライパンにくっ付いてしまう。
弱めの中火でよく温めたフライパンに魚を乗せ、フタをして、たぶん5分くらいだと思うが、底にこんがり焼き色がつくまで焼く。
焼き色がついたらひっくり返し、今度はフタをはずして5分ほど焼き、やはり底に焼き色がついたところで、出た脂をペーパータオルなどでふき取って、タレを入れる。
タレは、酒とみりん、砂糖としょうゆを大さじ1ずつ。
弱火にして2~3分、ブリをひっくり返しながらタレをからめ付け、タレが適度にトロミを帯びてきたところで火を止める。
粉山椒と一味をふり、大根おろしをたっぷり添える。
これが、しみじみとウマイわけである。
たしかに旬が終わったから、もう脂は抜けている。
でもブリは、1年中食べるものなのだし、こういうちょっとひなびたのも、また味わい深いものなのだ。
あとは、里芋と鶏肉の白みそ汁。
里芋は、白みそが圧倒的に合う。
鍋に水を張ってだし昆布を入れ、煮立てないよう、すこし煮出して、皮をむいた里芋をいれる。
5分くらい煮たら鶏肉を入れ、さらに5分くらい煮て、白みそを溶き入れる。
白みそは、くれぐれも、普通のみそより多めに入れるのがポイントだ。
厚揚を入れてさらに5分くらい煮て、お椀によそい、一味をふる。
菜の花のじゃこポン和え。
サッと塩ゆでした菜の花を、ちりめんじゃこと味ポン酢で和える。
それに、すぐき。
酒は、熱燗。
ぼくは毎日、こうしてうまいものを食べているわけだ。
しかしきのうだって、酒代を除けば、原価は500円ほどである。
「お金がないのは自慢にならないよ。」
そうだよな。
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