昨日はブリの切り身を買って、てり焼きにした。
今はブリが、つくづくうまいのである。
魚にはそれぞれに「旬」があり、旬の魚をその時々で味わうのは何ともたのしいわけだけれど、やはりブリは、その中でも格別なのである。
旬の魚がうまいのは、蓄えた「脂」によるものだが、ブリの脂といったらハンパない。
まずはアラが、脂を味わうには一番なのだが、切り身だったら「腹」の部分。
マグロなら「トロ」に当たるところだが、これが旬まっ盛りの今は、「これでもか」と言わんばかりに、本当にトロトロになっているのである。
旬はいつまでも続くものではなく、ブリならあと2週間がいいところだろう。
旬が終わると、脂は急激にぬけてしまうことになる。
だから今こそ、ブリを食べなければいけないのである。
「今食べずにいつ食べるのか」
と、ぼくは一人ひとりに、問い質したいくらいなものなのだ。
さてブリの切り身を食べるなら、まずは「塩焼き」も悪くない。
魚の食べ方として塩焼きは万能で、たっぷりの大根おろしに味ポン酢をかければ完璧だ。
それからブリは、「てり焼き」が定番だ。
ブリはやや癖があるから、その癖をコッテリとした醤油味で抑えるというわけである。
てり焼きには色々な作り方があるのだが、やり方によっては「焦げやすい」ことになる。
砂糖と醤油のタレだから、これを焼いてしまうとすぐに焦げてしまうのだ。
てり焼きが焦げるのは、
「タレをしみ込ませよう」
と考えるとき起こる。
ブリをタレにひたしてから焼いたり、タレをつけてからさらに焼きを入れたりすると、焦げてしまうわけである。
だからてり焼きを焦がさないようにするには、
「タレをしみ込ませようと考えない」
ことがポイントになる。
あくまで「絡めるだけ」と考えるようにすれば、焦げることなどあり得ないし、作るのも簡単で、しかも十分うまいものが出来るのだ。
というわけで「てり焼き」なのだが、これはフライパンで作るのが圧倒的に簡単である。
ブリの切り身はフライパンできれいに焼けるし、タレはいずれにせよ鍋で煮詰める必要があるから、グリルと鍋と、二つを汚すこともない。
フライパンにサラダ油をすこし引き、中火にかけてよく温める。
ブリをいれ、ちょっと揺すって焦げつきを防いだら、フタをする。
ここでフタをするのがポイントで、それで横の皮にも問題なく火が通る。
3~4分焼き、こんがりと焼き色がついたらひっくり返し、今度はフタを外して2~3分、やはりこんがりとするまで焼いて、一旦取り出しておく。
フライパンにはブリの脂が残っているが、これは臭いがするから捨て、洗うかペーパータオルで拭くかしてフライパンをきれいにしたら、弱火にかけて、タレをいれる。
タレは酒とみりん、砂糖と醤油をそれぞれ大さじ1ずつ。
煮立ったら、取り出しておいたブリをいれ、表と裏にタレを絡めつけながら煮る。
ちょっとするとタレが「どろり」としてくるから、好みの加減で火を止める。
皿に盛り、残ったタレを上からかけて、好みで青ねぎや七味をふる。
それに大根おろしを添えるのが、非常におすすめなのである。
甘辛いタレにトロトロのブリ、さっぱりとした大根おろし・・・。
たまらないのである。
あとは水菜のおひたし。
ざく切りにした水菜を一つまみの塩をふった水でサッとゆで、水で冷やしてよくしぼり、ちりめんじゃこと混ぜて味ポン酢をかける。
おとといの豚肉とカブの吸物。
昼はここにうどんをいれて食べた。
生節煮の残り汁で煮た高野豆腐。
一味と粉山椒。
すぐき。
相変わらずうまいのだ。
酒はぬる燗。
昨日もこれを3杯飲んで、大変いい気分になった。
冬場の和食に燗酒は、本当にたまらない。
ぼくは「晩めしの満足度ランキング」でもあれば、「ひとり暮らし部門」なら、かなり上位にランクインするのではないかと自分で思っているのである。
「おっさんは脳天気で幸せだよね。」
ほんとだよな。
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