紅鮭の粕汁 ~粕汁も体があたたまるのである

紅鮭の粕汁 その他魚料理

きのうは、紅鮭の粕汁。

紅鮭の粕汁

粕汁も、体があたたまるのである。

 

 

寒さが多少ゆるんでホッとはしている。あの寒さがこのまま続いたらぼくは生きていけないと、真剣に心配していたのである。

暑いぶんにはいくら暑くても、むしろ嬉しくなるのだが、寒さは勘弁してほしい。

今年は暖冬の予報が出ているそうだから、12月が寒かったぶん、1月は暖かくなってほしいところだ。

 

寒いから、食べるものはとにかく体をあたためるものしか考えられない。ほんとなら、サバ寿司やブリ大根も食べたいのだが、残念だ。

 

きのう思い浮かんだのは、粕汁。

紅鮭の粕汁

紅鮭を使うことにした。

 

粕汁も、体をあたためる効果は高い。何しろ酒粕には、牛肉に匹敵するタンパク質、りんご3個分のビタミンB1、牛乳2杯分のビタミンB2など、豊富な栄養がふくまれるそうだ。

現代病を予防し、消化器官をたすけ、美肌効果もあるとのこと。

食物繊維も豊富だから、便秘にもいいようだ。

 

しかしこの粕汁、東京にいたころには一度も食べたことがなかった。名古屋、広島にいたときも食べなかったから、やはり関西を中心とした食べものなのだろう。

実際京都の人の粕汁好きは、目を見張るほどである。

「おふくろの味といえば粕汁」
「地球最後の日には粕汁が食べたい」

などなど、完全に「ソウルフード」といえるとおもう。

 

なので京都の人は、粕汁にははっきりとしたこだわりがある。入れる具や作り方などについて、「自分のやり方」が決まっているのだ。

メインの具は、「豚肉」という人が多いが、「肉気も魚もいれない」のも聞くし、ブリやカキをいれる人もいる。

そして紅鮭派の人は、いい方としてだいたい、

「粕汁は、やはり紅鮭」

と、「やはり」がつく。

 

粕汁は、たとえば料理本のレシピに載るような場合には、「紅鮭」がふつうだろう。

その紅鮭の粕汁が、京都では少数派だから、あえて「やはり」と主張するのではないかとおもう。

 

作り方も、紅鮭をそのままいれる人もいれば、焼いてほぐしてからいれる人もいる。

野菜も、大根とニンジン、油あげが基本だが、そのほかにも根菜やコンニャクなどをあれこれいれる人もいるし、味付も、しょうゆベースの人もいれば、みそをいれる人もいる。

 

京都へ来て、もし話題に困ったら、粕汁の話題を振ってみたらいいとおもう。

みな白熱し、しばらくは盛り上がるのはまちがいない。

 

きのうはその紅鮭の粕汁、魚屋のおばさんに聞いた、もっともオーソドックスとおもわれるやり方でつくった。

紅鮭の粕汁

ポイントは、「とにかく塩気を入れすぎない」ことである。

 

紅鮭は、塩鮭だ。しかもかなり塩辛い。

この塩辛い鮭を汁にいれるわけだから、まずは汁に塩気がでる。

さらにそれでも、紅鮭はまだ塩辛い。

 

だから、汁は「塩気がまったく足りない」くらいにしておいて、食べるのにはちょうどいい。

紅鮭の塩気を、汁の甘さでやわらげながら食べるのが、紅鮭の粕汁の「うまさ」だといえるとおもう。

 

紅鮭は、粕汁にはやはり「あら」がうまい。

しかしあらは、みな粕汁をつくるからだろう、きのうは手に入らなかったから、切り身をつかった。

 

まず紅鮭だけではだしが足りないから、昆布と削りぶしのだしをとる。

紅鮭の粕汁

3カップ半の水で、まず10センチくらいのだし昆布を10分くらい、煮立てないようにしながら煮て、さらに一つかみの削りぶしをくわえて10分くらい、やはり煮立てないようにしながら煮る。

 

できた3カップほどのだしに、まず酒大さじ3と、淡口しょうゆ小さじ1だけいれ、食べやすい大きさに切った紅鮭を5分ほど煮る。

紅鮭の粕汁

しょうゆをあまり入れないのは、色を白くたもつためである。

5分したら、短冊に切った大根とニンジン、それに油揚げをいれて、さらに5分くらい煮る。

 

煮ているあいだに、酒粕を煮汁で溶きのばしておく。

紅鮭の粕汁

酒粕の量は握りこぶし大くらい。

 

大根がやわらかくなってきたくらいのところで、鍋に溶きのばした酒粕をくわえる。

紅鮭の粕汁

よく混ぜて、溶けたら味をみながら塩をいれる。

塩は、紅鮭の塩気にもよるとおもうが、きのうは小さじ2分の1でちょうどよかった。

 

あとは鍋をテーブルに持ち出し、コンロであたためながら食べる。

紅鮭の粕汁

 

器によそい、青ねぎかセリをたっぷりかける。

紅鮭の粕汁

 

体がホックリあたたまること、この上ない。

酒にあうのは言うまでもないとして、粕汁はご飯にもとてもよくあう。

 

それからきのうは、すぐき。

紅鮭の粕汁

とうとうすぐきの季節となった。

 

すぐきはやはり、漬物のなかでは別格だ。独特の甘味と酸味があり、毎日食べつづけても飽きない。

すぐきは、京都・上賀茂にある特定のムロ100くらいでしか作れないそうだ。すぐきの菌が、それらのムロにしか住んでいないからだとか。

 

すぐきはぼくは、三条会商店街、黒門通をちょっと西に行ったあたり、山崎喜與門豆腐店のとなりにある、上賀茂農家のおばさんがやっている直売所で買う。

錦市場などの3分の1ほどの値段ながら、すぐきにはうるさい京都の人からも「わるくない」と評判だ。

 

酒は、熱燗。

紅鮭の粕汁

きのうもグズグズ支度をし、ダラダラと食べたおかげで、けっきょく寝たのは3時になった。

 

「早起きは三文の得っていうよ。」

チェブ夫

そうなんだよな。

 

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