きのうは、ブリあらの粕汁。
粕汁は、ブリあらもうまいのである。
きのうは、もう粕汁を作るつもりで魚屋へむかった。
粕汁は、京都では豚肉か、肉も魚もいれない精進が多いのだが、全国的には「紅鮭」だろう。紅鮭の赤と、酒粕の白の対照が見た目にもきれいだし、紅鮭の塩気をどろりと甘い酒粕で溶かして食べるのが、またうまい。
紅鮭も、粕汁に入れるのなら、やはり「あら」だ。だしの出ることといったら、切り身とは比にならない。
しかし魚屋には、紅鮭のあらがなかったのである。京都でも、もちろん粕汁は紅鮭でもつくる。
「この時期は、紅鮭がよく売れるのよ・・・」
魚屋のおばさんは笑っていう。
ガッカリしたが、ふと店先をみると、ブリのあらがある。
「これにしよう。」
粕汁は、ブリで作るのもまたうまい。
ブリも、粕汁にするのなら、やはり「あら」がいいのである。
おなじ粕汁でも、ブリあらの粕汁は、紅鮭の粕汁とは、「まったく」といっていいほど良さがちがう。
紅鮭の粕汁は、「対照」がたのしい。それにたいしてブリあらの粕汁は、「同化」のたのしさ。
この時期のブリあらは、脂が乗って「トロトロ」だ。
このトロトロのブリあらが、「ドロドロ」の粕汁のなかに入る。
トロトロのブリあらと、ドロドロの粕汁は、まじり合って渾然一体となる。
この「めくるめくような一体感」が、ブリあら粕汁の持ち味だ。
全国的によく食べるものかどうかは知らないが、京都では、ブリあらを粕汁にいれる人は多いそうだ。
ブリあらを粕汁につかう場合、まずたっぷりの塩をふり、3時間ほどおいておく。
ブリ大根の場合なら、濃い味で煮るからサッと湯通しをするくらいでいいが、ブリを汁物にいれる場合には、やはり徹底的に臭みをぬく必要があるからだ。
だしは昆布でとる。
5カップの水に10センチほどのだし昆布をいれ、火にかけて、鍋が沸きはじめたところで弱火にし、10分ほど煮出す。
昆布の風味が香り立ってきたところで、塩を洗い流したブリをいれ、弱火で20分くらい、アクをとりながら煮る。
20分煮たら、煮汁は4カップくらいになっているから、みりんと淡口しょうゆ・大さじ1ずつで味付けする。
粕汁は、まずだしに吸物の味をつけ、そこに酒粕を加えることになる。
吸物味もいろいろあるが、やや甘めの「うどんだし」の場合なら、4カップのだしにたいし、調味料は、
- 酒 大さじ4
- みりん 大さじ1.5
- 淡口しょうゆ 大さじ4
くらいとなる。
酒は、酒粕をいれるから、今回はいれないこととして、しょうゆも、ブリにかなりの塩があるから、少なめにしておく必要がある。
それにしょうゆをあまりいれると、せっかくの酒粕の白い色がにごるから、「大さじ1」とすることとし、もし味が足りないようなら、塩をくわえるようにする。
味をつけたら、短冊に切った大根とニンジン、油あげをいれ、5分くらい煮る。
その間に酒粕を器にとり、煮汁を少しくわえて溶きのばしておく。
酒粕の量は、握りこぶし大くらい。
大根がやわらかくなってきたら、溶きのばした酒粕を煮汁にくわえる。
2~3分煮て、酒粕が溶けたら出来あがり。
あとはテーブルのコンロにかけ、温めながら食べる。
サイドディッシュも用意しておく。
器に盛り、たっぷりの青ねぎか、セリをかける。
トロトロのドロドロでありながら、酒粕のおかげで、しつこさは全くない。
粕汁は、もともと米が原料だから、ご飯にもとてもよく合う。
かけて食べると、ご飯もやわらかくなって、トロトロ・ドロドロの三位一体攻撃となり、「たまらない」のである。
酒は、熱燗。
粕汁には日本酒なのは、言うまでもない話である。
ちなみにデカいにゃんこは、相変わらず毎日来る。
こちらがエサを出すのを三指ついて待ったりするから、かわいいものだ。
ところがチビにゃんが、このところまったく姿をあらわさない。
どうしたのか心配だ。
「いいエサ場を見つけたのだといいけどね。」
そうだよな。
◎お知らせ
明日12月12日(金)、産経新聞・関西版、夕刊の読書欄に、『おっさんひとり飯』がとりあげられることになりました。
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関西で産経新聞をとっている方、ぜひご覧ください!
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