四条大宮の飲み屋では、何が起こるかわからないのである

餃子の王将 京都・大阪の飲食店

きのうは四条大宮で外飲みした。

飲み屋では、何が起こるかわからないのである。

 

 

「京都で、四条大宮のほかで飲むことはないんですか?」

ときどき聞かれることがある。

全くないのである。

 

もちろんぼくも、ほかで飲んでみたいとも思っているのだ。京都も広い。いい飲み屋はいくらでもあるだろう。

四条大宮の西のとなり、「西院」にもいい飲み屋があるときく。京大ちかくの飲み屋には、左翼やミュージシャンくずれなど、いかにも興味深い人種がたむろするそうだ。

 

でもぼくは、大宮で飲むので手一杯なのだ。

飲みに出るのは、週に1ぺんか、多くて2へん。それでなじみの飲み屋4~5軒をまわらないといけない。

 

「なじみの飲み屋」は、宝のようなものである。くり返し通ううちに、店主と、そして常連のお客さんと、関わりが濃くなっていく。

それぞれの人生が酒の場で交差して、からみ合い、一枚の布のように織りなされる。

飲み屋はべつに、雰囲気が洒落ているから、出てくる料理がおいしいから、いいというものでもない。

人生を語る相手がいるからこそ、居心地よく過ごせるものではあるまいか。

 

だからなじみの飲み屋は、時々は顔を出さないといけない。どんなに少なくても、「2週に1ぺん」は行かないと、「なじみ」とは言えないだろう。

週に1ぺん飲みに出るペースで、4~5軒の店に2週に1ぺん顔を出すのは、けっこう大変なのである。

 

先週は、カウンターの人たちと京都駅ちかくで飲み、今週も、きょうは飲み会の約束があるからたぶんあまりハシゴはできない。

そこできのう、何軒かの飲み屋をまわるつもりで、大宮へ出かけた。

まずはたこ焼き「壺味」。

たこ焼き壺味

「すじ焼きめし」でも食べ、腹ごしらえして、さらに飲むのがいいだろう。

 

するとそこに、池井くんがいた。

たこ焼き壺味

池井くんとは久しぶりだ。池井くんも最近は、家で奥さんと食事をつくり、幸せな食卓をかこむことがふえているから、飲みに出るのはへっている。

 

「高野さん、お久しぶりです。これからトレオットへ行くんですけど、一緒にいきますか?」

池井くんは、仕事関係の仲間5~6人と連れ立ってのんでいた。ちょうど「場所を替えようか」というときだったらしい。

 

ぼくはもちろん、壺味でのむ必要があった。大将とも、少しは話しをしないといけない。

壺味には『おっさんひとり飯』の本も置いてもらっているから、その義理もある。

 

でもせっかくの、久しぶりの池井くんの誘いである。しかもぼくはそもそも、若いわりには豪快な飲みっぷりをする池井くんの誘いに弱い。

「じゃあ、そうしようか・・・」

大将には不義理をわび、池井くんと一緒にイタリアンバル「トレオット」へむかった。

 

トレオットは壺味から大宮通をすこし下った西側の、ビル2階の奥にある。

トレオット

わりと最近できた店だが、料金がとても安く、そのくせ出てくる料理はおいしいから、けっこう繁盛しているようだ。

 

まずはビールで乾杯。

トレオット

あとはスパゲティだのピザだの、生ハムだのアヒージョだのを食べながら、赤ワインを飲む。

 

ぼくのことは、池井くん以外の人たちは知らないから、すこし自己紹介をする。

トレオット

すると一人の青年が、『おっさんひとり飯』を買ってくれた。

 

そのうち「名古屋」の話になった。池井くんは名古屋出身、そこにもう一人、名古屋から来ている人がいたからだ。

名古屋には、ぼくは2年いたことがあり、とても水が合ってたのしかった。通いつめた飲み屋でも、友だちがたくさん出来た。

 

「京都と名古屋こそ、日本の伝統文化をいまに残す、二大拠点だとおもう・・・」

ぼくは持論を展開する。

京都は公家の文化、そして名古屋は、徳川家の本拠地なわけだから、武士の文化。京都では「礼儀作法」が高度に発展していて、よそ者が受け入れられるためにはその作法を学ぶ必要があるのにたいし、名古屋では、腹をわって話しさえすれば、すぐに「仲間」として受け入れる・・・。

「なるほど、知らない人にたいしては、まず『こいつは敵か、味方か』と考えるところがありますね」

名古屋からきた池井くんの友だちも、相槌を打つ。

 

しかしぼくは、またエキサイトし過ぎたのだろう。

そのあと場が「しん」としてしまったから、すこし黙ることにした。

 

12時を過ぎたから、「そろそろお開きにしよう」となった。お勘定をして、店をでる。

コンビニへ行き、カップラーメンなどを食べている人もいる。池井くんも、カップ酒をのみ始めたから、もうそれで終わりにするつもりだろう。

 

「これからさらに、なじみの店をまわろうか・・・」

ちょっと思わなくもなかったが、しかしぼくは、まだお腹が空いていた。このごろは一日一食にしているから、食べるときにはガツンと食べるクセがついている。

 

となれば、やはり「餃子の王将」なのである。

餃子の王将

大宮の餃子の王将は、1号店。大宮でもっとも古い店の一つで、ただのチェーン店ではない。

飲み屋でのんで、餃子の王将でシメるのは、大宮では「基本のコース」になっているようにも見える。

 

ぼくが「餃子の王将へ行く」というと、帰る素振りをみせていた池井くんや仲間たちも、けっきょく全員、一緒にいくことになった。

若い人たちの、こういう意志薄弱ぶりは、なかなか好きだ。

 

ふたたび乾杯。

餃子の王将

 

ぼくは「430円」という、餃子の王将でもっともハイ・コストパフォーマンスなラーメンを、ひとりで平らげた。

餃子の王将

 

そのうち池井くんはじめ若い人たちは、寝はじめる。

餃子の王将

どこでもすぐに寝れるのも、若い人の特権だろう。

ぼくはお勘定をまとめる役を引きうける。

もう2時も近かったから、これでみんな、家に帰った。

 

というわけで、けっきょくきのうは、義理を果たすことはできなかった。ご無沙汰しているなじみの店の店主から、見限られてしまわないかと不安である。

 

しかし飲み屋では、何がおこるかわからない。

こういうことになってしまうのも、仕方がないのである。

 

「飲めれば何でもいいんでしょ。」

チェブ夫

そうだよな。

 

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