酒房「京子」で、きのうは合コン。
京子は、長居になるのも仕方ないのである。
きのうは友だちの小泉進次郎似の男性30歳が、友だちの広瀬香美似、岡本真夜似の美女2名、どちらも29歳を引きつれ、大阪からやってきて合コンを開いてくれるという、52歳おっさんにとってはウハウハもの、「こりゃたまんないですぜ、奥さん」ともいうべき企画だったのだ。
美女は「料理が好き、カラオケが好き」とのことだったから、これはもう会場は一択、酒房「京子」なのである。
酒房京子は、四条大宮の飲み屋街「寛遊園」の北側の路地、入って2軒目・南側にある。いちおう「会員制」と札が貼ってあったりするが、べつに一見でも、ふつうに入って問題ない。
とにかく料理がおいしく、雰囲気が楽しい店で、ぼくは府外から友だちが来るときなどは、かならずここを案内する。
いかにも京都らしい、小憎い料理がでてくるし、女将・京子さんの心配りも細やかで、いままで一度も「失敗」だったことはない。
京子の料理の特徴は、「気取らないけど洒落ている」ことである。
京都には、「おばんざい」の店がたくさんある。おばんざいは「家庭料理」。主婦経験の長い京子さんも、もちろん家庭料理は基礎にしているだろう。
でも、「ただの家庭料理ではない」のが京子のいいところなのだ。
京子さんは、京都の高級料亭で、長く仲居さんとしても働いていてきているそうだ。有名ホテルの日本料理屋などでは、女将も務めていたとのこと。
だから、料亭料理を「知っている」。
その経験をうまく自分で取りいれて料理するから、ただの家庭料理ではなく、「割烹料理」といえるものになっている。
勉強熱心な京子さんは、店をはじめた今になっても、頼まれると料亭へ手伝いに行き、どんなものを出すのか学ぶそうだ。
それでいて、値段はへたな居酒屋より安いくらい。
とくに若い人には安くするから、敷居がとても低いのだ。
きのうは7時に、まず小泉進次郎くんと待ち合わせた。
彼も料理が大好きで、休日などにはわざわざ岡山の市場まで魚を買い出しにでかけ、凝った料理を作ったりもする。
有名大学を卒業し、泣く子もだまる有名企業に勤めているが、それを辞め、自分で飲食店をひらくのが夢だそうだ。
賢くて、気配りも細やか。相手を見ながら話題をえらび、話を進める様子などは、自分勝手にしか話をしないぼくからみると、「脱帽」のひとことだ。
京子さんは、まずはちょっとした料理をあれこれ出す。
春菊の煮びたし、赤こんにゃくとフキ・真鱈の子の煮物、ナスにしん。
京子には、品書きや料金表が一切ない。京子さんは、お客さんの顔をみて、それから何を出すかを決めるそうだ。
初めてだと不安だろうが、高く取られることはないから心配ない。
そうやって、ただ「料理」にだけでなく、「何を出すか」にも京子さんの心配りがこもるから、出されるものは一層おいしく感じられるわけである。
それから鶏スキ。
鶏は、京子さんは「ひね鶏」と呼んでいたが、親鶏で、しっかりとした食べごたえがある。
厚揚げと水菜の白みそ汁。
昆布だしに、からしをすこし入れるのがコツらしい。
ハモの酢の物。
わかめは、気が利く小泉くんが手土産として持参した鳴門わかめをその場ですぐ使ったものだ。
すこし遅れて、広瀬香美、岡本真夜の両美女も到着。
小泉くんの進行で、話に花が咲くわけだ。
料理の話にもなった。小泉くんは、
「男性が家に来るとなったら、どんな料理を出しますか?」
女性2人にお題をふる。
「最近はフォーに凝ってるから、フォーかな」
と広瀬香美。
「焼きうどんとか出すかも」
と岡本真夜。
なるほど、やはり「腹にたまるガッツリ系」になるわけだ。
小泉くんは、今度はぼくに、
「女性が来るなら何を出しますか?」
と聞く。
これにはちょっと考えた。
やはり女性だからといって、媚びるのは嫌なわけだ。
「そうですよね、わざわざそのためにアマゾンで、チーズフォンデュ用の鍋をポチったりするのはダメですよね」
と小泉くん。
最近では「料理男子」がブームになり、女性にモテるために料理する男性も多くなっているそうだ。
ぼくなどの時代には、全く考えられなかったことである。
考えた末、
「鯛のあら炊きかな」
ぼくは答えた。
これならば、媚びてはいないし、といって料理屋で出されることも多いから、それなりに洒落ている。
「おふくろの味」的なところもあるから、女性には好まれるのではないだろうか。
さらに、
「その場合、そうめんは入れるんですか?」
と突っ込んでくる小泉くん。
でもそうめんだと、あまりに「おふくろ感」が増してしまうから、ゴボウくらいにしておいた方がいいだろう。
そのうちカラオケがはじまった。
美女2名の登場で、居合わせたほかのお客さん(おっさん)も張り切って、京子は大盛り上がりとなった。
広瀬香美と岡本真夜は、終電が近くなったので帰っていった。
入れ替わるようにはいってきたのが、深津絵里似の女性。
一人で来ているのだが、歌はうまいしノリもよく、ただ者とは思えない。
8月から、仕事が大阪勤務だったのが京都に変わって、大宮へ来るようになり、まだ4ヶ月なのに寛遊園の飲み屋は軒並みまわっているそうだ。
「スゴイ女性がいる」と思ったら、聞くと元々、大阪・天満の飲み屋街で飲んでいたそう。
さすが天満育ちは鍛えられ方がちがうと、おそれいった。
12時も近くなり、小泉くんは帰っていき、深津絵里も帰っていった。ならばそろそろ、ぼくもお暇したらよさそうなものである。
7時からだから、もう5時間はいることになる。
お腹は一杯、酒も十分。帰るのに不足はない。
しかしそのタイミングを見計らったかのように、京子さんは「なに飲む?」と聞いてくる。
聞かれれば、「それじゃあ、焼酎」と答えてしまうわけである。
それから延々、ほかのお客さんがすべて帰るまで、ぼくは焼酎をお代わりし、カラオケを歌いつづけた。こうなってしまうと、もう止めようがないのである。
店がはねたら、さらに京子さんと「ひよこ寿司」。
ビールに、、、
寿司。
京子さんとも別れ、本当に誰もいなくなって、ようやく家に帰りついた。
今朝は、目が覚めたのは、10時過ぎ。梅酒の梅になったかとおもうほど、まだ体は酒にひたっている。
2度寝、3度寝をくり返し、ようやく12時になって布団をでる。
とろろ昆布の吸物は、こういう場合に欠かせない。
本当は、朝早くおきる生活に憧れてはいるのである。ブログや仕事を早めに終わらせ、さっくりと飲んで早く寝る。
でもこの、酒を飲みだすとすぐ掛け金がはずれる性格、それはむずかしいだろう。
ましてや近所に酒房「京子」があった日には、それは「不可能」なのである。
「やる気がないだけなんでしょ。」
そうだよな。
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