豚肉とキュウリの炒め物で酒を飲んだ。
わかめを加え、豆板醤と酢を入れて、ピリ辛酸っぱくするのである。
豚コマ肉を買い、炒めることにした。冷蔵庫には、キュウリ、ナス、トマト、万願寺・・・、夏野菜があれこれ入っている。
「豚肉は、ナスと合わせるのが定番だよな・・・」
万願寺も入れたらいいかもしれない。みそなどで味付けすれば、夏のいいおかずになるだろう。
「しかし・・・」
と思うのである。
「それだとちょっと、普通過ぎる・・・」
べつに、変わったものを作らなければいけないわけではない。自分が食べたいものを、作ればいいだけの話だ。
でも作るのに、「これはうまいかな、うまくないかな、うまいはずなんだけど、どうかな」と、ドキドキできる方がおもしろい。
となれば、脳裏にクローズアップされてくるのは・・・。
「キュウリ」である。
キュウリは日本では、あまり火を通して食べないが、中国などでは普通に炒めるのだそうだ。西洋で、ズッキーニを煮物に入れたり焼いたりするのも、似たようなものだろう。
前にキュウリの古漬けを、豚肉と炒めたのはうまかった。
「生のキュウリも、豚肉と炒めたらうまいのでは・・・?」
やってみることにした。
まずは、何を炒め合わせるかを考える。ナスやトマト、万願寺も入れて、「夏野菜の炒め物」にするのも、悪くなさそうには思えた。
でもそれだとちょっと、複雑になり過ぎる。初めてチャレンジするものは、もう少しシンプルな方がいいだろう。
あくまでもキュウリを主役に据え、キュウリの味を引き立てるものだけを、一緒に入れることにする。
火を通したキュウリは、あまり特徴がない、ぼんやりとした味になる。だから合わせるものは、何かクセが強いものがいいだろう。
「クセが強いものは、何があるかな・・・」
冷蔵庫にあるものを、頭に思い浮かべてみる・・・。
「わかめだ!」
わかめとキュウリは、酢の物でも黄金のコンビである。わかめは、炒めてもうまいのは経験済みだ。
わかめを炒めるのなら、ゴマ油がうまいのである。さらにネギとショウガをたっぷりと刻み込み、油あげも加えれば、キュウリもわかめも引き立つだろう。
味付は、キュウリがぼんやりとした味だから、豆板醤をたっぷり利かせ、アクセントをつけることにする。
夏らしく、しょうゆベースのさっぱりとした味にして、最後に酢を利かせるのがいいだろう。
あとは、キュウリは味がしみにくいから、すりこ木で叩いて割るようにする。
塩もみもしてアクを抜き、軽く塩味をつけておくのがいいに違いない。
「これで構想はまとまった・・・」
あとは作るだけである。
でもその前に、酒をもう一杯飲むのは、言うまでもないことだ。
キュウリ2本は、すりこ木で叩いて割り、一口大にちぎる。塩一つまみで揉み、10分ほど置いて水洗いし、水気をよく拭き取る。
冷凍してあるゆでわかめは水で解凍し、油あげ2分の1枚は食べやすい大きさに切る。ネギは大さじ2くらい、ショウガは大さじ1くらいの分量のみじん切りにする。
調味料も合わせておく。酒としょうゆを大さじ1ずつ、オイスターソースと砂糖を小さじ1ずつ。
フライパンに、ゴマ油少々と、大さじ2くらいの白ねぎみじん切り、大さじ1くらいのショウガみじん切り、小さじ1の豆板醤を入れ、中火にかける。
豚コマ肉200グラムを炒め、火が通ったら合わせ調味料を加え、少し炒める。
キュウリとわかめ、油あげを入れ、さらに炒める。
味を見ながら塩一つまみほどを入れ、計2~3分炒めて汁気がなくなったら、酢大さじ1を入れ、ひと混ぜして火を止める。
これは大成功し、とてもうまかった。
酒にもよく合い、お陰できのうも、また飲み過ぎてしまったのである。
あとは、とろろ昆布の吸物。
お椀にとろろ昆布、削りぶし、青ねぎ、淡口しょうゆを入れ、お湯をそそぐ。
万願寺の焼いたん。
万願寺をグリルかフライパンで焼き、削りぶしとショウガ醤油。
ナスの塩もみ。
3ミリ厚さくらいに切り、塩一つまみで揉んで5分くらい置き、水で洗って水気をよく絞ったナスを、からし酢醤油で和え、ゴマを振る。
酒は、冷や酒。
飲むとツイッターで、質の悪い酔っぱらいになるのである。
「すぐ人に絡むのはよくないよ。」
そうだよな。
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