菜の花と豚肉の、干しエビのだしを使ったチャンポン。 わりと簡単にできるのに、春らしいさわやかな味で大変ウマイ。
菜の花の季節なのだ。
この冬は暖冬だったせいか、菜の花は去年の暮れから出ていたが、やはり菜の花はこの季節、まだ気温は低いけれど日差しに春の気配がし、暖かくなるのが待ち遠しい、というころに食べるのが感じが出る。
菜の花は、青菜の一種。だからおひたしはまずはうまいし、炒めるのも当然定番。
あとは、吸物に入れるのがうまいのだ。
京都には「菜っぱ汁」などと呼ばれる青菜の吸物が、家庭料理にある。昆布とかつお節のだしで仕立て、油あげやしめじを加えるのが定番で、この菜っぱを菜の花にすると、コクのある汁で菜の花の苦味がいっそう映える。
また菜の花は、青菜と相性がいい豚肉とも合う。なので豚肉との炒め物は、菜の花の食べ方としては、やはり定番。
なので豚肉の吸物(豚肉の肉吸い)に青菜を入れれば、「これまたうまい」という話になる。
ここまでくれば、「菜の花は豚肉と合わせてチャンポンにするべきだ」ということになるのである。
スープは干し椎茸のだしに薄口醤油、それにニンニクなどの中華素材を加えたもの。和風吸物に中華のコクをつけたという味で、菜の花を炒めて入れれば完璧だ。
そしてきのうは、いつのは干し椎茸に加えてだしとして入れるオイスターソースを、さらに干しエビにした。
青菜炒めに干しエビが入ることがあることからも分かる通り、干しエビと青菜は相性がいい。
干しエビをチャンポンのスープに入れると、まさに春らしい、さわやかな味になるのである。
入れる具は、菜の花と豚肉、それにだしにも使う干し椎茸、それに青菜とは相性がいい、コクの出る長ねぎ。これだけでも最低限、味のバランスは取れると思う。
きのうはさらに、歯応えのあるタケノコと、彩りのニンジンも入れた。こうしてある程度華やかにしておけば、晩飯でもこれ一品で十分満足できるから、あれこれ作るのに比べれば「かえってラク」だともいえる。
中華料理はどうしても作る手順が多くなる。でも難しいわけではないわけで、一つ一つ順番にやっていけば別にどうってことはない。
火加減も、菜の花と中華麺に火を通す場合だけは中火だけれど、あとは弱火か、強めの弱火くらいでやるのがおすすめだ。
そのほうが作業がゆっくりできるからで、野菜を切るのが間に合わなかったりした場合、麺を入れる前ならば、火は何度でも止めてしまって問題ない。
まず干し椎茸と干しエビ(写真には入っていないが)をもどす。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ (2カップのだしが取れる)
- 干し椎茸(中) 2~3枚
- 干しエビ 1つまみ(大さじ1くらい)
を入れ、フタをして中火にかけ、煮立ったら火を止めて15分置く。
菜の花も、先に炒めておく。
菜の花は5センチくらいの短いやつなら、そのままで。10センチくらいの長いのは、半分に切って茎と葉を分ける。
フライパンに、サラダ油・大さじ2分の1を入れて中火にかけ、まず菜の花の茎だけを30秒くらい炒める。つづいて菜の花の葉をくわえ、さらに1分炒める。
食べてみて多少まだ硬くても、後から煮るし、菜の花は歯応えが身上だから、気にせず火を止め皿にとり出す。
フライパンに、サラダ油・大さじ1を入れて弱火にかけ、まず、
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 赤唐辛子 1本 (ヘタを取って種を出し、小さくちぎる)
- もどした干しエビ (汁気をしぼる)
を入れて、2~3分じっくり炒めて味をひき出す。
つづいて、
- 豚コマ肉 100グラム (食べやすい大きさに切り、酒・小さじ1、塩・小さじ4分の1、コショウ・1ふりをやさしくもみ込み、片栗粉・小さじ1をまぶしておく)
を入れ、肉の色が変わるまでじっくり炒める。
- タケノコ 4分の1本 (3~5センチ高さ、2ミリ厚さくらいに切る)
- ニンジン ちょっぴり (タケノコと同じくらいの大きさ・厚さに切る)
- 長ねぎ 10センチ (斜め薄切り)
- もどした干し椎茸 (汁気をしぼり、石づきの先端だけ切り落として1センチ幅くらいに切る)
を加え、2~3分、油が絡みつくまでじっくり炒める。
- 干し椎茸のもどし汁 2カップ
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口醤油 大さじ2 (絶対に薄口である必要がある)
- コショウ 1~2ふり
を入れて、5分くらい、ニンジンがやわらかくなるまで煮る。
火加減を中火にし、
- 中華麺 1人前 (ゆででも蒸しでも。片側に寄せて入れるようにすると、よそいやすい)
- とり出しておいた菜の花
を入れ、麺を箸でほぐしながら1分煮る。
(「1分」は沸騰してからではなく、麺を鍋に入れてからの時間。「再沸騰を待つあいだ煮る」という意味。麺を先に入れるわけなので、葉の花を煮る時間は1分を切っても問題ない)
1分たったら間髪入れずに、(ここからはスピードが肝心だ)
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
を溶き混ぜた水溶き片栗粉をスプーンで混ぜながら加えて、麺がそれ以上伸びるのを防ぎ、
- ゴマ油 小さじ1
- 粗挽きコショウ 少々
をかけて、ひと混ぜして火を止める。
まずは麺、つづいて具と汁をどんぶりによそう。
これは、マジでうまい。
炒めてやや歯応えがある菜の花が、干しエビの風味がついた薄めの汁に入っているのは、もう最高。
「青菜そば」の一種なわけで、菜の花と中華麺の相性も完璧だ。
酒は、焼酎水わり。
きのうは食事を始めてからは、飲み過ぎなかったのだ。でも食事の支度を始める前と、してる最中、たらふく飲んでしまったから、結局は飲み過ぎだった。
どちみち飲み過ぎるのだから、だったら初めから「飲み過ぎよう」と思ったほうが、精神衛生上はいいのである。
「体にはよくないよ。」
そうだよな。