昨日はさすがに肉が食べたくなり、豚の粕汁をつくった。
これを肴に酒を飲みながら、「料理ができない男性は結婚できなくなるのではないか」と改めて思ったのである。
年末から年始にかけてのこの一週間ほど、ブリ大根やらおせちやらと魚の料理がつづいたので、そろそろ肉を食べたくなってきたのである。
これは単に「味」だけの問題ではなく、肉の絶大なる栄養を「体」が求めるからだろう。
しかしこれはあらかじめ計算済みで、年末のうちに豚肉と酒粕を冷蔵庫に入れておいたのだ。
それで昨日はそれを使い、豚肉の粕汁をつくることにした。
豚肉の粕汁は京都人の「ソウルフード」とも言えるくらいだと思うけれども、実際のところ実にうまく、豚肉の脂のおかげで味がまろやかになるのと共に、豚肉の疲労回復効果のおかげだろう、ほっこりと温まる。
酒粕という「廃物」を利用して、肉も安いコマ肉でいいのが、いかにも「庶民の食べ物」という感じなのもいい。
具は豚肉のほかには、大根とニンジン、油あげというのが京都の場合は基本となり、その他にゴボウやら里芋やら、コンニャクやらを好みで入れるようなのだが、昨日はまだおせちも残っていたし、シンプルに基本の野菜のみで作ることにした。
薬味に青ねぎかセリをかけるが、昨日は青ねぎなのである。
粕汁を作るには、まずはだしを取る。
鍋に4カップ半の水と、5センチ角くらいのだし昆布2枚、かつお節のミニパック4袋をいれて中火にかける。
煮立ってきたら弱火にし、アクを取りながら4~5分煮て、ザルで濾す。
ここにうすくち醤油大さじ2、塩少々で味つけをする。
あとは短冊に切った大根とニンジン、油あげをやわらかくなるまで煮る。
煮ているあいだに、煮汁を少し器にとり、たっぷりの酒粕をふやかしておく。
野菜がやわらかくなったら、豚こま肉と酒粕をいれる。
2~3分煮て、酒粕が煮汁に溶けたら火を止める。
器によそい、青ねぎをかける。
粕汁は、酒の肴にもよく合うことは言うまでもないのである。
あとはおせちの残りの芋棒。
究極に味がしみているのだ。
真ダラの子とフキの炊き合わせ。
これは今回、実にうまくて、ぼくは「子」のうまさと共に、「フキの威力」をつくづく思い知ったのである。
もやしと竹輪の酢のもの。
もやしはサッと塩ゆでしてよく絞り、キッチンペーパーに包んでから、ラップかジップロックにいれて冷蔵庫で保存すると、生のままよりはるかに日持ちする。
これは八百屋の奥さんに教えてもらったやり方だ。
酢のものは、うすく切った竹輪といっしょに砂糖小さじ1、酢大さじ1、塩少々で和える。
それにすぐき。
三条会商店街の豆腐屋の隣で、上賀茂の農家のおばさんが売っているものだ。
酒はぬる燗。
これを飲みながら、ぼくは、
「料理ができない男性は結婚できなくなるのではないか」
と、改めて思ったのである。
さて「結婚」なのだが、ぼくは家で飲むときは、相手はツイッターのことが多いのである。
人の「つぶやき」を眺めているのも楽しいし、自分でもあれこれ結構つぶやく。
ツイッターでのつぶやきは、まさに「ひとり言」に近いから、愚痴っぽいこともつぶやきやすい。
嫌ならフォローを外してもらえばいいだけだから、それほど遠慮の必要がないのである。
流れてくる愚痴にも色んなものがあるのだが、一つ代表的なのに、
「女性が自分のご主人や、一緒に暮らしている彼氏にたいする不満を漏らす」
というものがある。
「相手はツイッターを見ていないのか」と心配になることもあるくらいなのだが、
「もう別れたい」
などとキレていることも少なくない。
「夫婦げんかは犬も食わない」と言うから、それも愛情表現の一つなのかと思わないこともないけれど、やはりぼくも男性だから、相手の男性のことが心配になる。
女性がキレるのには共通した理由があり、
「男性がそこを直せばうまくいくのに・・・」
と、ぼくも結婚に失敗したクチであり、人のことはまったく言えない身分ながら、思ってしまうからである。
共通しているのは、まず「女性が仕事をしている」ことだ。
そして女性の男性への不満は、「生活能力の低さ」に向けられている。
「自分も相手と同様、仕事から疲れて帰ってきているのに、なぜさらに自分だけ、料理を作らなければいけないのか・・・」
「料理ができないなら後片付けくらいしてくれてもいいのに、なぜそれすらできないのか・・・」
以上のようなものである。
ぼくが結婚に失敗した原因も、煎じ詰めれば、そういうことではなかったかと思っている。
このことは、ぼくは男性が、
「時代が変わったことに気づいていない」
のだと思うのだ。
今や女性が仕事をするのは、「当たり前」の時代である。
そうなれば、「家事の分担」も「半々が当然」という話だろう。
それなのに、男性はいまだに「専業主婦」が普通だったころの考え方のままでいるのではないだろうか。
さらに深刻なのは、男性が「家事のやり方を知らない」ことだろう。
多くの場合、男性は、炊事や洗濯、掃除のやり方について教育を受けていない。
「やらないといけない」と思っても、やり方がわからないから、ついやらずに済ませてしまうのではないだろうか。
そうなってしまうと「結婚」は、ますます遠ざかるのではないかと思うのである。
一人っ子政策のおかげで男性が多く、男性は熾烈な競争を勝ちぬかなければ結婚できない中国では、「男性が結婚するには料理の腕はぜったい必要」と言われているとも聞く。
実際中国人の男性は、ぼくが知るかぎりほとんどが、料理はとても上手である。
日本もこれから、そうなっていくのではないだろうか。
男性は一念発起して、料理を初めとする「家事」を学ぶ必要があるのではないかと思うのである。
「おっさんは料理するけど結婚はできないね。」
ほんとだな。
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