昨日はカキとニラのオイスターソース炒めを作った。
作りながら、「趣味の料理は自己流がいい」と改めておもったのである。
昨日ツイッターを見ていたら、たぶん40歳前後ではないかと思われる独身の女性が、
「仕事で忙しい自分に代わり、炊事洗濯をしてくれる『嫁』のような男性がほしい」
と、半ば冗談で発言していた。
ぼくはそれはいいとおもうし、女性も忙しければそういう風に考えるようになるだろうと理解できる。
だから決してこの発言にケチをつけようとするわけではないし、ましてやその女性がそれをぼくに求めているわけではないのは重々承知しているのだ。
しかしぼくはそれを見て、
「ぼくはそういう立場にはならないぞ」
と心からおもったのである。
ぼくは仮に女性と暮らすことになったとしたら、たぶん食事の半分以上はぼくが作るのではないかとおもう。
ぼくの舌に一番合う料理を作れるのは、ぼくではないかとおもうからだ。
またその時、相手の女性の好みは考えるとはおもう。
一緒に暮らしているのなら、「二人でおいしい」ことは大切だからだ。
でも「相手の注文を聞く」ことは、それを自分も食べたいのでない限り、御免被りたいとおもうのだ。
それをしてしまうと、ぼくが感じている「料理の楽しさ」のほとんどを、失うことになるとおもうからである。
料理の楽しさは、「何を作るか」を考えることにほぼ全てがあるとおもう。
といってもこの「何を作るか」を考える時間そのものは、「楽しい」とはあまり言えない。どちらかというと「苦しい」のである。
作るものは、すぐに思い浮かぶこともある。でも苦しいのは、なかなか思い浮かばない場合だ。
ぼくはそれがやっと思い浮かぶまで、1時間ほども頭をひねることがある。
苦しいのは、「考えを進められない」からである。
一旦作るものが決まってしまえば、あとは「どうやって作るか」を考えればいいことになる。味つけや段取りを決めるなど、考えを進めていける。
でもあれこれ思い浮かぶ料理がどれもピンとこない時には、立ち止まっていなければいけない。時間がたつと、焦りなども感じてきたりすることもある。
人間は、前に進めないのを「苦しい」と感じるのではないかとおもう。
でもこの立ち止まっている時間こそが、料理の「肝」なのである。
自分が「作りたい」と思う料理を作るときには、料理は自分自身の「分身」になる。
「分身」を作るからこそ「楽しい」のだ。
注文などされてしまうと、立ち止まっていられなくなるではないか。
ぼくは同じことが、「レシピ」にも言えるとおもう。
初心者は、まず料理をレシピを見て作りはじめることが多いだろう。
でもぼくは、それはあまり勧めない。
まずレシピを見ずに、自己流に好きに作ってみるのを勧めたいのである。
レシピを見れば、おいしい料理が作れるのは間違いない。
でもレシピから料理を選ぶと、「何を作るか」を考えるところを省略することになる。
レシピを見るから、「テクニック」は付いてくることになる。
でもそれだけでは、「料理の楽しさ」を感じることは難しいとぼくはおもう。
初心者がレシピを見ないで料理を作ると、初めのうちは、「ヘボい」ものが出来るとおもう。
でもべつに、「自分が食べたい」とおもうのなら、ヘボくてもいいのである。
そうして「作る楽しみ」を知ったあと、レシピを見るのは役に立つ。
「ああ、あれはこうやったらいいのか」と得心することが多いのだ。
自分の中にまだ何もない時には、何かにすがりたくなるものだ。
でもすがってしまうと、肝心なものを見失うことになるとぼくはおもう。
不安でも、多少みじめな気持ちがしても、まずは自分の足で立つ。
そうしてこそ前に進めるようになるとおもうのである。
というわけで、昨日はカキとニラのオイスターソース炒めを作った。
これはわりと安産で、カキは今年まだ2回めだから、作りたいものはたくさんあるのだ。
カキはおいしい食べ方が色々あるが、ぼくはこのオイスターソース炒めは最もうまいものの一つではないかとおもう。
中華だから、本来はニンニクを使うわけだが、ぼくは調味料を工夫して、ニンニクがなしでもいいようにするのである。
さてカキとニラのオイスターソース炒めを作るのだが、カキ150グラムは生食用を買ったから、水洗いするだけでいい。
加熱用の場合は、片栗粉をふって揉み、そのあとよく水洗いする。
水洗いしたら水気をふき取り、酒少々をもみ込んで、片栗粉大さじ1くらいをまぶしておく。
調味料は、中華なら、ニンニクとショウガ、酒とオイスターソースくらいで十分おいしく出来るとおもう。
でもここからただニンニクを抜いてしまうと、コクと刺激が足りなくなる。
そこでまずコクを補うために、ゴマ油と砂糖を使う。また刺激を補うためには唐辛子と酢を使う。
合わせ調味料の分量は、酒とオイスターソース大さじ1、砂糖としょうゆ、おろしショウガ、酢を小さじ1、塩小さじ4分の1。ゴマ油と唐辛子は初めにいれる。
炒めるのは一気である。
カキもニラも生でも食べられ、炒め過ぎるとダメになるから、炒めるというよりは、ほとんど「和える」感覚でやる。
フライパンにゴマ油と輪切り唐辛子少々をいれて強火にかけ、フライパンが温まったら、まずはカキをいれサッと混ぜる。
つづいてざく切りにしたニラ1把をいれ、やはりサッと混ぜたら合わせ調味料をいれ、調味料がなじむまで混ぜたら火を止める。
カキとニラも、相性は大変いいのだ。
一気にやれば、カキも縮まないのである。
あとはとろろ昆布の温奴。
鍋に水をいれて豆腐を温め、とろろ昆布をいれたお椀に注ぎ、うすくち醤油で味つけしたら、青ねぎと一味をかける。
水菜の煮びたし。
1カップの水に、かつお節のミニパック1袋、酒大さじ2、みりん大さじ2、うすくち醤油大さじ1、おろしショウガ小さじ2分の1、塩小さじ4分の1をいれ、まず細く切った油揚げを少し煮て、つづいてざく切りの水菜をいれてサッと煮る。
カブの甘酢和え。
厚く皮をむいたカブをうすく切り、小口切りにしたカブの茎少々と一緒に一つまみの塩で揉む。
5分ほどおいたら水で洗い、水気をよく拭き取って、酢大さじ2、砂糖小さじ2、塩ほんの少々の甘酢で和える。
一味をふって食べると、これがまたうまいのである。
カブの皮と茎のじゃこ炒め。
フライパンを中火にかけ、細くきざんだカブの皮とざく切りにしたカブの茎を、ゴマ油とちりめんじゃこ、輪切り唐辛子でじっくり炒める。
酒とうすくち醤油少々をいれ、汁気がなくなるまでさらに炒める。
酒はぬる燗。
昨日もカキのあまりのうまさに朦朧としたのである。
「誰もおっさんに『嫁に来い』とは言わないよ。」
そうだよな。
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コメント
コメントが面白すぎます!
おっさんひとり飯の重版がされたみたいですね。
コンビニや書店でも見かけましたよ。
今度買おうと思います。