自衛隊など失くしてしまえばいいのである。(イワシ梅煮)

イワシ梅煮 イワシ

 
昨日は魚屋にうまそうなイワシがあったから、それを梅干しと一緒に煮た。

イワシ梅煮

これを肴に酒を飲みながら、「自衛隊など失くしてしまえばいい」と改めて思ったのである。

 
ニュースを見ると、北朝鮮の金正恩主席が苛烈な粛清をはじめているようで、「北朝鮮はすごい国だな」と改めて思うのだが、ぼくは北朝鮮をチラチラと眺めながら、

「どうしてこの国が、潰れずに存続できるのだろう」

と、ちょっと不思議に思うのである。

大した産業があるわけでもなし、経済封鎖をされながらも軍備にけっこうな金をかけ、国民の生活を犠牲にしていることは間違いないにせよ、それにしても、それが経済的に成り立つ理由がよくわからない。

だからこの国を見るにつけ、

「独裁国家とは一つの安定的な形なのだ」

とぼくは思うのだ。

安定的で、存続しやすいからこそ、世界中で現在でも、独裁国家は失くならないのだろう。

 

しかしおそらく、これは「コスト」の問題が大きいのではないだろうか。

独裁国家は民主主義国家とくらべ、コストを大幅に減らすことができるのではないかと思うのだ。

 

ぼくは独裁国家を見ると、ぼくのような自由業や、商店のような自営業と似たところがある気がする。

ぼくがブログや酒にこれだけうつつを抜かしながらも、なんとか生活できていたりとか、商店が、魚屋にしても豆腐屋にしても、八百屋にしても、100円、200円のものをチマチマと並べ、飛ぶように売れるわけでもないのに、何の問題もなく子供を育て、生活が成り立っていることは、会社に勤める人から見ると「不思議」と思えることもあるのではないだろうか。

ぼくも実際、会社を辞める際には、「自由業は大変だ」とずいぶんと脅されたものである。

しかし自由業や自営業が、収入がそれほどなくても成り立っていけるのは、企業とくらべて圧倒的にコストがかからないからなのだ。

 

まず小規模の事業なら、人を雇う必要がない。

人件費はコストとしてはとても大きなものになる。

それから人を雇っていないから、「ミーティング」なども必要ない。

企業となるとどうしても、社内の意思統一にかなりの時間を割かなければいけないことになるけれど、それは当然、「コスト」として跳ね返ってくることになるわけだ。

 

これを「国家」に当てはめて考えてみると、実際のところ、「民主主義」にかかるコストは、莫大なのではないだろうか。

「選挙」一つにしてみても、どれだけお金がかかるのだろうと思うのだ。

「民意を反映する」ためには、様々な手続きが必要となるわけで、それには全て、コストがかかる。

コストをかけるのを厭わないからこそ、民主主義は存続しうるわけである。

 

それに対して独裁国家では、それら全ての「民意を反映するための手続き」を省略することが可能となる。

先日処刑された人は、裁判で判決が出て即日の処刑だったというから、刑務所に収監する費用すら節約しているというわけだ。

この「低コスト体質」が、独裁国家の「肝」なのではないかと思うのだ。

だからこそ、北朝鮮のような零細国家でも、潰れずに生き残っていけるのではないだろうか。

 

ただしもちろん、自由業、自営業と独裁国家は違うのであって、こちらは一人だけれども、あちらには「国民」がいる。

国民も、ただコストを削減され、自分たちが惨めな処遇に甘んじているとなってしまうと、大人しくはしていないことになる。

だからこそ「軍備」が必要になるわけだ。

「敵国」を想定し、それに対して「毅然と戦う独立国家」の名目を保つからこそ、独裁国家は人心を集めることができる事になるのだろう。

 

さて以上は北朝鮮の話だったが、日本も今や、それが他人事でなくなりつつあるのを、多くの人が感じているのではないかと思う。

企業がなりふり構わず、派遣社員を使うなどして人件費を節約し、生き残りを図ろうとしているのと同様に、財政破綻寸前の国家日本も、徹底的なコスト削減に乗り出しているのではないだろうか。

小泉改革によって、健康保険を初めとした社会保障費用が削減され、さまざまな弊害が出ているのは周知のことだと思うけれども、さらに手を付けるなら、「民主主義を支えるコスト」になるのだろう。

今の流れを見るにつけ、ぼくは日本が、北朝鮮までとは行かなくても、「低コスト体質の独裁国家」を目指しているのではないかと思うのである。

 

しかしぼくは、そのような日本は嫌である。

何がどれだけできるかは、まだはっきりとは分からないのだけれど、この流れを止めるために、少しでも力になることをしたいと思う。

 

ただそれならば、その先日本がどちらへ向かって行ったらいいのか、自分なりの目標を持つ必要があるだろう。

ぼくはそれは、

「自衛隊など失くしてしまう」

ことだと思うのだ。

 

「軍備を拡大する」とまでは言わなくても、

「自衛のための最低限の軍備は必要だ」

と思う人は、少なくないのではないかと思う。

その理由として、

「売られたケンカは、買わなくてはいけない」

というのがあるだろう。

たしかに最近、尖閣諸島やら竹島やらのことをめぐって、近隣の国々と摩擦がある。

もしそれらの国が日本へ攻め込んでくることがあったら、その際に最低限の防戦はしないといけないことになる・・・。

 

しかしこれが、「盲点」ではないかと思うのだ。

考えるべきなのは、今、

「誰が日本にケンカを売ってくるのか」

ということである。

 

今近隣の国々が、あれこれと言ってきたり仕掛けてきたりすることは、多分に「自国民向けのポーズ」なのではないだろうか。

北朝鮮にしたところで、莫大なお金をかけて他国と戦争をすることに、メリットを感じるとは思えないのだ。

「他国に侵略され、日本が植民地化されるのではないか」と思うこともあるかもしれない。

他国を侵略するくらいの戦争を仕掛けてくる可能性があるのは、唯一「アメリカ」だと思うけれども、アメリカによる日本の植民地化は、武力などによらずとも、すでにもう始まっているのではないだろうか。

 

TPPの交渉過程は明らかにされていないけれど、漏れつたわる話を聞くと、日本側が大幅に譲歩して、かなりの「屈辱的内容」になっているようである。

「植民地」が、「現地の利益を収奪する」ことを意味するとすれば、TPPこそが、まさにその「植民地化」なのではないか。

今どき武力などによって利益を得ようとすることは、もう誰もしないのだ。

それならば、それに対抗するための武力も、要らないことになるのである。

 

さらに武力がなければ、近隣諸国との摩擦も減ることになる。

近隣諸国が自国民へ反日宣伝する名目は、

「日本がふたたび侵略主義に転じようとしている」

ことだろう。

自衛隊すらなくなれば、そんな名目は一気になくなり、相手は何も言えなくなる。

そうしたら、ご近所同士の付き合いも、もっとやりやすくなるだろう。

 

狭い国土に多くの人が住む日本は、古来から、争い事をできるだけ避け、周りの人とうまくやっていくための政治的なノウハウを、膨大に積み重ねてきていると思う。

それをもっと、国際政治の土俵の上で活用したらいいと思うのだ。

国内外で事情が違うのは言うまでもないことなのだが、軍事力などではなく、もっと「政治力」で、日本の立場を高めていくことが可能なのではないだろうか。

「幼稚な考え」と思われるかもしれないが、ぼくは本当に、そう思うのである。

 

というわけで、昨日は「イワシの梅煮」を食べたのだ。

イワシ梅煮

煮汁をうすめ、さらにゴボウを煮たのだが、これがまたうまいのである。

 

さて「イワシの梅煮」を作るのだが、煮魚は、作り方自体はそれほど難しいことはない。

ただ煮汁を煮詰めていくことになるから、出来上がりの状態をイメージするのが難しく、調味料の加減がわかりにくいのが特徴だ。

鍋の形やレンジの火力によっても、同じ「中火」で煮詰めても、煮詰まり具合は変わってくる。

だから煮魚は、実際に何度かやってみて、自分好みの調味料などの加減をつかむようにするのがおすすめだ。

 

まず鍋にだし昆布を敷き、洗ったイワシと、後でゴボウを煮る都合もあるから、水は多めの2カップをいれ、酒とみりん、砂糖をそれぞれ大さじ5、しょうゆは、梅干しにも塩があるから、やや少なめの大さじ3、さらに穴を開けて味がしみ出るようにした梅干し2~3個、ショウガのせん切り少々をくわえて中火にかける。

イワシ梅煮 作り方

煮立ってきたらアクを取り、落としブタをして15分くらい煮る。

イワシは頭がついて売られているのは、「それなりに新鮮」という意味だから、ワタもぬかずに食べてしまって問題ない。

煮時間は、普通の魚は10分くらいでいいのだけれど、イワシは脂が乗っているから、心持ち長めのほうがおいしくなる。

 

イワシが煮えたらそのまま煮汁にひたして味をしみさせ、さらに煮汁を少し、別鍋にとってゴボウを煮る。

イワシ梅煮 作り方

ゴボウを煮る煮汁は、味を見ながら倍くらいにうすめるようにする。

ゴボウはナイロンたわしでよく洗い、昨日は3ミリ幅くらいの斜め切りにし、水にさらす。

煮時間は10分程度、少し歯応えが残るくらいにしておいて、煮えたらやはり煮汁にひたし、味をしみさせる。

 

味がしみたら、温めなおして器に盛る。

イワシ梅煮

梅干しやショウガ、だし昆布なども、もちろんおいしく食べられる。

 

そしてこの、イワシと梅の味がしみたゴボウが、またうまいわけである。

イワシ梅煮

 
 

あとは豆腐と春菊の吸物。

豆腐と春菊の吸物

だし2カップに酒とうすくち醤油大さじ1、塩少々で味をつけ、まず豆腐、つづいて春菊の茎、それからしめじ、最後に春菊の葉をいれて、火を止める。

豆腐と春菊、しめじは黄金の取り合わせなのだ。

ここにゆずの皮を浮かべれば、「料亭の味」になる。

 

もやしと竹輪の酢の物。

もやしと竹輪の酢の物

もやしはさっとゆで、水に取って水気をしぼる。

うす切りにした竹輪といっしょに、酢大さじ1、砂糖小さじ1、塩ほんの少々で和える。

もやしは全部ゆで、水気をしぼって冷蔵庫にいれておくと、生のままより日持ちがすると、八百屋のご主人が教えてくれた。

 

酒はぬる燗。

酒はぬる燗

コンロが一口しかないぼくは、お燗をするのに火は使わずに、給湯器の熱湯を鍋にいれ、そこにしばらく浸けておくのである。

 

「ぼくはロシア生まれだから、ロシアとも仲良くやってほしいな。」

チェブラーシカのチェブ夫

仲良くやれるさ。

 

 

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コメント

  1. 渡部 より:

    初めてコメントさせて頂きます。
    国防の件ですが、楽観的と思いました。

  2. 渡部 より:

    2年来ブログを読ませて頂き、高野さんのライフスタイルや思いに共感や親しみを感じています。

    只、国防と自営業のコスト意識は同じ感覚で論じる事に危機感を感じます。

  3. 渡部 より:

    世界が日本人にとって気持ちの良い性善説を前提に考えるのは危険が多いと常に経験を通じ感じております。
    勿論、国の支出予算等に腹がたつ事も多いです。特に既得権にむらがる寄生虫は粛清されるべし!などと思ってしまいます。

    日本の諺で、衣食足りて礼節を知るとあります。
    そして過去も現在も食べる事、住まい事にままならない人達が大勢いてその方から搾取し騙す権力者が政治の中枢にいる以上、言葉悪いですがお花畑思想は危うく思いました。
    若輩者が高野さんにコメントしてしまい、恐縮と思うのですが率直な思いと受け止めて頂ければ幸いです。

  4. 高橋 より:

    今回のASEAN首脳会談での各国首脳の発言を調べていただければ
    判ると思いますが、日本の軍事力に対しては懸念するどころか
    歓迎,もしくは容認している国ばかりです。
    これは中国の動きを東南アジア諸国が恐れているためです。

    確かに中国なり北朝鮮が日本に直接侵略してくる可能性は相当低いです。
    ただこれは両国が自制が効くためではありません。(故に東南アジア諸国は
    中国を恐れている)
    単に「バックにアメリカがいる」この一点に尽きます。

    残念ながら中国は未だ旧西側諸国の様な人権意識も他国への配慮も足りない
    状況なのです。

  5. ねぎこ より:

    ぶり大根の煮汁でおから炊いたら、煮汁入れすぎてしょっぱくなってしまいました…(T-T)ハァー
    塩は後から入るのよく分かりました!
    チビチビつまみます(^^;

    • 高野 俊一 より:

      ぼくもブリ大根で、塩辛くなってしまったことが何度かあります。
      味をしみ込ませる料理は、おっしゃる通り、しょうゆを後から入れるようにし、さらに甘めに味を調整するのが大きなポイントなんですよね(^_^)

  6. Hirofumi より:

    高野さん、かわりましたね。昔は読売新聞の社説のコピーみたいなことばかり書いてたのに。

  7. 通りすがる より:

    『武力がなければ、近隣諸国との摩擦も減ることになる。

    近隣諸国が自国民へ反日宣伝する名目は、

    「日本がふたたび侵略主義に転じようとしている」

    ことだろう。』

    とのことですが、武力を失えば近隣諸国との摩擦はなくなるかも
    しれませんが、主権侵害と嘲笑の対象となるでしょう。

    近隣諸国、特に中国、韓国による反日宣伝は日本の侵略主義による
    などという正論ではなく、単に日本が嫌いだからに過ぎません。
    そしてそれを政治的に利用しようとしているだけです。

    これは日本にも言えることで、中国人、朝鮮人というだけで
    毛嫌いし、低く見る人がいます。

    歴史的に日本と中国、朝鮮とは仲良くできない関係でしたし
    これからもよほどのことがない限り、その関係は続くでしょう。

    残念ながら武力を持たない国は21世紀の世界では単に嘲笑の対象
    でしかありません。世界有数の経済大国であれば、なおさらです。

    自衛隊がなくなればいいという考えは、本当に恐ろしい考えだと
    思います。理想論だけでは、国の主権を守ることは出来ないと
    思います。

  8. 佐藤 より:

    新福菜館三条店の一ファンです。

    高野さんの主張に対し、
    「お花畑思想」と批判されている方がいますが、
    こと、隣国問題に関しては、異論を許さないような
    昨今のギスギスした風潮が嫌だなあと感じています。
    (保守は保守でも「寛容な保守」ではなく
    「偏狭な保守」とも言うべき様な…)。

    憎悪・敵対を煽り、富国強兵を正当化する思想に対し、
    融和を求め、政治力による解決を優先する思想は
    今の時代風潮の中では、
    批判・攻撃の対象になってしまうのかもしれませんが、
    高野さん的な生き方が貫かれており、僕はとても共感しています。

    「おっさんひとり飯」なのに、
    場違いなコメントですみません。
    チェブ夫の「仲良くやれるさ」に唱和したくて
    投稿してしまいました。

  9. にほんしゅ より:

    先日、習い事の師匠のお宅で、牛肉の粕汁をいただきました。

    うちの粕汁は野菜とおあげさんだけでした。
    鮭は焼いて、別添えしてました。

    豚肉ためしてみようかな~とおもっていたタイミングでいただいた
    牛の粕汁。いけてます。おいしいですよ(^o^)

  10. より:

    独立国家には軍隊は必要です。自衛隊って名前がいけませんね。日本軍で良いと思います。侵略してたのは欧米でしょう。日本はそれを救っていた立場です。

  11. 111 より:

    ウイグルやチベットの現状を見てもそう言える高野さんが凄いと思います。
    中国の学者は尖閣のみならず沖縄も中国の領土と言ってますよ。
    自衛隊のみならず在日アメリカ軍がいなければ中国が行動すると
    考えるのが自然では?

    また、災害のときに自衛隊にあれだけ助けていただいているのに
    自衛隊を無くせば良いなんて口が裂けても言えません。

  12. イカワタ炒めしょうゆバター より:

    ちょっと残念。

    はじめまして。
    つまみや料理を楽しみにコッソリ見ていました。

    狭い国土でうまくやっていくことの出来た日本人が減り
    在日外国人がわんさか増えてメディアをおさえられている今
    のんきに構えていられない気がします。
    国を捨ててみなさん自由にどーぞー、ってな訳にいきません。
    日本人ならそんな事を言っている場合じゃないです。

    実際に、街で喧嘩になった時に
    何があっても絶対に殴らない主義の人と
    怒らせたら手を出すかもしれない相手と
    どちらがこわいですか?
    殴らない人はナメられるでしょう。

    戦争はいけません。暴力はいけません。
    活躍することがなくても
    こぶしを隠していることが大事だと思っています。

    と、幼稚なのは私の方ですが。失礼致しました。
    いかわたのつまみ、何度も真似して作りました、ありがとうございます。

  13. ジュピター より:

    中国が核兵器を持ち、なおかつベトナムやフィリピンを侵略している現在、国防の要である自衛隊がいらないというのはちょっと極論すぎると思います。

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