魚介類は肉と比べてどうしても多少の下処理が必要となり、面倒と感じる人はいると思う。でも下処理といったって、今回のようにいわしをトマト煮にするくらいのことなら、頭を落としてワタを取り、水洗いするというだけ。
家庭用の包丁で余裕でできて、全然大したことはない。
しかもこのいわし、スゴイ栄養があるそうだ。「DHA」や「EPA」が豊富に含まれ、血液をサラサラにして生活習慣病を防ぐとともに、脳神経細胞の働きを活性化して頭の働きをよくし、認知症を予防する効果まであるとのこと。
いわしは旬があまりなく、年中おいしく食べられる。しかも値段も安い。
50を過ぎたら、精々食べた方がいいのである。
トマト煮はイワシ代表料理の1つ
いわしは一番簡単に食べようと思ったら、まずは塩焼き。サンマと同様丸ごと焼いて、大根おろしとポン酢を添える。
あとは「梅煮」が定番で、梅干しを入れて1~2時間コトコト炊くと、骨まで食べられるようになる。
ただしいわしは、世界中で山ほど穫れる。あさりと同様各地でそれぞれの食べ方があるわけで、そういうものを紐解いていくことも料理の一つの楽しみだ。
いわしトマト煮は、そんな世界のいわし料理の中でも代表的なものの一つ。
いわしとトマトソースの相性がこの上なく良いことは、ピザの例をとっても分かる通りでいまさら言う必要もないはずだ。
いわしには独特のクセがある。これをトマトソースのオリーブオイルとニンニク、それにトマトの酸味が見事に中和してくれる。
安いいわしが何となくゴージャスな感じにもなるし、時間もそれほどかからないから、試してみたらいいのではないかと思う。
単純にいわしだけをトマトソースで煮てもいいのだけれど、これにまずジャガイモを入れるとうまい。いわしだけだとちょっととんがった味になるところ、ホックリとやさしい味にしてくれる。
それから、ウインナー。トマトソースにジャガイモ+ウインナーは王道中の王道で、魚のだしに肉のだしが加わることで味の奥行きが一気に広がる。
それに50を過ぎると、体を温めて疲労を取る豚肉とニンニクは欠かせないところ。
いわしトマト煮にウインナーを入れることで、これは頭にも体にもいい、食べ物として理想的なものになるわけだ。
イワシトマト煮の作り方
ジャガイモをトマトソースで煮込む場合、煮汁に粘り気があるために、場合によっては火が通りきらないことがある。なので一番確実なのは、ジャガイモを下ゆでしておき、中盤くらいに入れること。
ただしそこまでしなくても、煮時間は十分とるから「硬くて食べられない」ということはないはず。とりあえず下のレシピ通りにやってみて、もし火が通りきらなければ、2回めからは下ゆでするとしたらいいと思う。
それからトマトソース煮は、完全に洋風に作ってしまうとご飯のおかずになりにくい。
なので白ワインのかわりに酒を使い、さらにみりんと薄口醤油を少し入れて、やや和風の味付けに調整してある。
魚をさばくには、家庭用の普通の包丁で問題はまったくない。ただしそれなりに切れる必要はあるので、事前に簡易研ぎ器でよく研いでおく。
それから魚をさばいて出る頭やワタなどの生ゴミは、そのまま放置すると臭うようになる。非常におすすめなのはこれをビニール袋に入れて冷凍しておくことで、ゴミの日になったらこれを冷凍庫から取り出して、ゴミ袋に入れればいい。
いわしは、きのうは大羽のが2尾。ちょっと小さめの場合でも、普通サイズの1パックを丸々使うのがいいと思う。
包丁で頭を落とし、やや後ろの方にある肛門まで腹を割く。ワタをかき出し、さらに背骨のところに着いている血合いを包丁の先でこそげ取る。
ていねいに水洗いして、ワタや血液はもちろん、表面のウロコも指でやさしく擦りながら洗い落として水気をふき取る。
3~4センチの筒切りにし(大きければ3等分、小さければ2等分くらいとか)、塩・コショウ・片栗粉それぞれ少々を、表と裏にまぶしておく。
フライパンに、
- オリーブオイル 大さじ2くらい
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 赤唐辛子 1~3本 (好みで。ヘタを取って種を出し、細かくちぎる)
- 玉ねぎ 4分の1個 (みじん切り)
- ウインナー 3本ほど (半分に切る)
を入れて弱めの中火にかけ、1~2分じっくり炒める。
次にジャガイモ(中)2個(2センチ大くらいに切る)を入れて、さらに2~3分じっくり炒める。
弱火にし、フライパンの場所を空けてイワシを入れる。表と裏を、それぞれ2分くらいずつじっくり焼く。
- カットトマト 1缶
- 水 1カップ (トマト缶なら2分の1缶)
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 薄口醤油 大さじ1
- コショウ 少々
を加え、強めの弱火、コトコト煮立つくらいの火加減で、水を飛ばすためにフタはせずに30~40分、じっくり煮る。(それでジャガイモも柔らかくなるはず)
最後に味をみて塩を加え、コショウ・少々をさらに加えて火を止める。
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イワシとじゃがいもを交互に食べると死ねる
皿に盛り、みじん切りのパセリをたっぷりかける。
これは、たまらない・・・・・・。
いわしのしみじみとした味が南欧系のきらびやかな味にまとわれ、「しみじみゴージャス」と言いたくなる味。
いわしとジャガイモを交互に食べるのが、また最高に死ねますよ。
あとは、わかめとネギのスープ。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ
- 煮干し 1つまみ (頭とワタを取る)
- 乾燥わかめ 2つまみ
- 長ねぎ 2分の1本 (斜め切り)
を入れて5分くらい煮て、
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口醤油 大さじ1
- 塩 少々
で味をつけ、お椀によそってゴマを振る。
それに白めし。
和風トマトソースなので、バッチリ合います。
そしてまたいわしトマト煮は、言うまでもなく死ぬほど酒の肴になる。
いわしとジャガイモの往復運動に酒が加わってしまうからで、これは飲み過ぎてしまっても無理はないのではないかと思う。
「無理じゃないからね。」
そうだよな。