昨日はいつものラーメン屋でビールを飲み、昼寝をしてから、四条大宮で外飲みをした。
飲みながら、「ご褒美は忘れた頃にやってくる」と改めて思ったのである。
土曜日は、ブログの更新を終えてから、新福菜館三条店へ行くのである。
本当なら、ビールは昼に飲みたいのだけれど、昨日はブログに時間がかかり、夕方になってしまった。
しかしもちろん、それでも悪いことはない。
キムチをつまんでビールを飲み、餃子の到着を待つひとときは、変わらずに幸せなのである。
この店に通うようになったのは、もちろんまずは「ラーメンがうまい」からではある。
初めて食べ、体験したことのない味に感動した。
そしてそのうち、「中毒」になった。
週に一ぺん、このラーメンを食べないと、気が済まないようになったのだ。
そうして通って、1年半がたった時、席に座るとお店の人から「いっしょで?」と尋ねられるようになった。
「はい」とひと言答えるだけで、いつもの品が出てくるようになったのだ。
余計な愛想がない店だし、お店の人ともほとんど話したことはなく、まさかぼくを覚えているとは思わなかったが、やはりそうして「常連扱い」をしてもらえるのは嬉しくないわけがない。
しかもそれが「1年半」という長い月日が経ってからのことだから、期待してはいなかっただけに嬉しさもひとしおだったのである。
ぼくは酒についても、家では同じものを飲みつづけるタチである。
昨日四条大宮のいつも行くバー「スピナーズ」で、隣りに座った男性は、
「ぼくは料理にあわせて酒を選ぶ方で・・・」
と言っていたが、もちろんそれが酒を楽しむ一つのやり方だということは、ぼくも承知しているのだ。
でもぼくは日本酒は、同じものを毎日飲むと、よりうまくなると思っている。
体の方が、その酒を迎え入れる体勢を整えるのではないかという気がするのである。
まず日本酒は、焼酎やウイスキーなどとは違い、「日本酒」自体に慣れるまでに時間がかかる。
初めのうちは独特の臭いが鼻についたし、飲んでもすぐに、眠くなってしまっていた。
それが飲みつづけるうちに、おいしく飲め、気持ちよく酔えるようになってくる。
日本酒に体がなじんできたということなのだろう。
銘柄についても同じで、一つのものを飲みつづけると、おいしくなってくるのである。
これは特に日本酒について、言えるのではないかと思っている。
あまり安い酒ではダメだが、「高ければいい」というわけでもない。
「いつも飲んでいる酒」がぼくは一番うまいのだ。
スピナーズでは昨日、マスターキムくん特製の「うずら卵とニンジン、セロリのピクルス」をツマミに食べた。
「秘伝のタレ」に漬け込んだそうなのだが、ちょっと聞くと、しょうゆなど和風調味料が使われているようで、これもまた気が利いていると思った。
さて昨日はスピナーズで焼酎を2杯飲み、そのあと立ち飲み「てら」へ向かった。
このところ通い続けているてらで、ぼくは昨日、大きなご褒美をもらったのである。
というわけで「てら」なのだが、ぼくはべつにご褒美がほしくて通っていたわけではないのである。
まずは「料理がうまい」からだし、通うほどに常連さんとなじんでいくのも心地よかった。
あまり誰とも話をせずに帰ってきてもいいのである。
飲食店はタイミングによっては知っている人が全くいないこともある。
しかし昨日はてらへ行ったら、いたのはアラサーの女子6名と、40~50代の男性2名。
女性のうち3人は、初めてのお客さん3人組で、ぼくも初めてだったのだが、あと3人は常連さんで、ぼくも何度か言葉を交わしたことがある。
男性は二人とも常連さんで、やはり何度か顔を合わせ、話をしたことがある。
もうこの設定だけで、「10年に一度」と言ってもいいくらいのパラダイスなのである。
場所を空けてくれ、常連さんの女性二人の横にぼくは立つことになったのだが、乾杯を、常連さんはそこそこなじみができていたし、初めての女性3人組も雰囲気につられてで、全員がしてくれる。
てらがこれだけ盛り上がっているのは、ぼくは初めての経験だ。
てらさんの手が空いたところで料理をたのむ。
昨日は鶏天おろしポン酢と・・・、
アジフライ。
鶏天はふんわりとやわらかく、アジフライはさっくりと歯応えよく揚がっている。
やがて横にいた、常連さんの浅野温子に似た女性が、ぼくに耳打ちする。
「あの子達が何歳くらいか、ちょっと聞いてみて・・・」
初対面だと、女性どうしではなかなか話しにくいのだろう。
そちらはそちらで盛り上がる初めての女性3人組の、話に割り込むのに苦労しながらも、なんとか聞き出し、
「30歳前くらいのようですよ」
と浅野温子に伝えると、
「エライねー、よくやったねー」
と、ぼくは20歳ほども年が下の女性から、お褒めの言葉をもらうのである。
そのうち常連さんの女性3人と男性2人が、選りすぐりに選りすぐったと思われる、関西流の下ネタトークをし始めた。
到底ここには書けないような内容なのだが、あまりにおかしく、腹がよじれるほどなのだ。
初めのうちは呆気にとられ、ポカンとしていた初めての女性3人組も、やはりさすが関西人、そのうち話に参加する。
てらは下ネタ話で埋めつくされ、そこに参加するには腕が不足しているぼくは、ただひたすらずっと、ゲラゲラと笑っていた。
やがて時間は12時をまわり、話も一段落がつき、お客さんも一人、二人と帰っていく。
ぼくもお勘定をし、てらさんと常連さんにお礼を言って、帰ろうとするその帰り際、常連さんの男性の一人がぼくに言った。
「テレビに出たの、ぼくも見たから知っていたけど、今までそんなことおクビにも出さないで、普通の人扱いしてゴメンな・・・」
いやいや、もちろんそれでいいのである。
特別扱いされないで、常連さんと徐々になじんで来れたからこそ、昨日の、まさに「ご褒美」とも思えるほどの圧倒的な楽しさを経験できたのだろうと思う。
どんなことでも「本物」を生み出そうと思ったら、時間がかかるものである。
しかもそれが形として見えてくるのは、「結果を出そう」ということすら、忘れてしまった頃なのではないだろうか。
「ぼくのことは忘れないでよ。」
お前はいつも一緒だからな。
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コメント
高野さん。ありがとうございます。