きのうは、えんどう豆と高野豆腐の卵とじ。
「ああ、うまい」と思えることが、幸せの第一なのだ。
こないだ4月23日に、国連が「世界幸福度ランキング」を発表したそうだ。
アメリカの大手世論調査会社「ギャラップ」が、世界150カ国で行っている調査の結果を元にしたものだそうで、対面の聞き取り調査もしているらしい。
それによると、日本は46位だったとのこと。1位・スイス、2位・アイスランド、3位・デンマークで、アメリカは15位、ドイツ26位、台湾38位、韓国47位となっている。
調査では様々な質問をするようで、幸福度に差をつけているのは、
●一人当たりのGDP
●平均余命
●国家権力の不正度合い
●個人の選択の自由
●国民の寛容度
●自分が信頼を置ける人の多さ
だとのこと。
調査結果から、幸福度をどのように算出するのかよく分からないから、このランキングが妥当なのかどうかはちゃんと言うことができないにせよ、日本の幸福度が低いのは、「そうだろうな」と思うところもある。
何しろ、「在日朝鮮人が特権をもっているから、自分たちの生活が圧迫されている」などという妄想をもち、ヘイト犯罪にまでおよぶ輩が増えているのだ。
アベノミクスの失敗で、実質賃金は下落の一途をたどっているし、非正規雇用や長時間労働も増えているから、「生活が苦しい」と思う人は多いだろう。
現在の、企業の利益を優先し、国民の生活を切り捨てる政策を改めさせなければいけないのは、まずはその通りである。そのために、一人ひとりが立ち上がり、努力する必要がある。
しかしもう一方で、「幸せ」とは、単に政策や社会の状況だけで決まるものではないとも思う。
カネもなく、彼女もおらず一人きりでも、十分な幸せを感じることはできるからだ。
きのうも、えんどう豆と高野豆腐の卵とじを作った。
ひとくち食べ、「ああ、うまい」と思わず声が出る。
その瞬間、幸せ感がジワリと湧き上がってくる。気分がよくなり、カネがないのも一人なのも、安倍晋三に頭にくるのも、すべて忘れる。
食は生き物である人間にとり、まず初めに必要となるものだ。だからその欲求が満たされたとき、幸せになるように、神様が設計しているのだろう。
もちろん幸せはそれだけでなく、愛する人や子供がいれば、もっと大きいにちがいない。
でも最低限、前を向いて生きていくのに十分なだけの幸せが、「ああ、うまい」と思えるものを食べることで、得られると思うのだ。
ただしこの「ああ、うまい」、モノを食べればいつでも思えるわけではない。
不味いものを食べてしまえば、もちろん思えるわけがないのだが、ではうまいものならいいかといえば、そうでもない。
外食の場合なら、中途半端にうまいのではなく、「名人級」に上手な人が作ったときだけ、それを思えるような気がする。その場合、
「オレはまさに、これが食べたかったんだ」
という気持ちになり、じわりと幸せ感が湧いてくる。
あとは、やはり「自炊」なのだ。それも、いつもというわけではない。
まずは「自分が何を食べたいか」をよく考えることが必要で、やはり「ああ、うまい」には、「自分食べたいと思っていたものを食べた」ということが含まれているようだ。
それからそれを、ていねいに作り、さらにそれが上手くいって、思った通りの味になったとき。
しかも、それをテレビなどを見ずにきちんと味わったときだけ、「ああ、うまい」と思える気がする。
だからこそ、めしには真剣にならざるを得ないわけだ。
一日に数時間を使っても、けっして「ムダ」とは思わない。
どんなに状況が悪くても、人間は生きていかなくてはならない。
そのためには、食で得られる小さな小さな幸せが、必要だと思うのである。
さて、きのうのえんどう豆と高野豆腐の卵とじは、ツイッターに投稿されているのを見て作りたくなったものだ。
献立を考えるときには、人が作ったものを見ると、アイディアが浮かびやすい。
基本は、だしでえんどう豆と高野豆腐を煮て、卵でとじることになる。ただしそれだと、メインの料理になりにくいから、きのうは鶏肉も入れることにした。
高野豆腐は、きのうは5センチくらいの大きさ。
これを水に十分浸して、両手を合わせるようにしてよく絞る。
高野豆腐は、最終的に倍くらいの大きさに膨らむから、入れ過ぎないようにするのがポイントだ。
100グラムほどのえんどう豆もサヤから出し、しばらく水に浸しておく。
鍋に2カップ強の水を煮立て、一つかみの削りぶしを入れ、アクを取りながら弱火で5分ほど煮出す。
だし殻をザルで漉し、絞ってとり出してから、
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ2
- 淡口醤油 大さじ2
で味をつける。
食べやすい大きさに切った高野豆腐を、まず5分くらい、落としブタをして弱火で煮る。
鍋は、皿とおなじくらいの大きさの、小さなフライパンがやりやすい。
つづいてえんどう豆と、食べやすい大きさに切った鶏(きのうは胸)肉を入れ、落としブタをして、やはり弱火で10分煮る。
溶き卵2個分をまわし入れ、フタをして、火加減を調節しながら好みの固さにする。
皿に、滑らせるようにしてよそい、一味を振る。
とろけるかと思うくらい、やさしい味だ。
あとは、しじみの赤だし。
塩水に浸けて砂出しし、よく洗ったしじみ・100グラムを、1カップ強の水で煮て、殻がひらいたら、酒少々を入れ、赤だし味噌をとき入れる。
それに、長芋のわさび醤油。
おかかポン酢の冷奴。
酒は、冷や酒。
きのうもダラダラと食べるうち、気が付いたらソファで寝ていて、鼻風邪を引いたのである。
「そこまでダラダラしなくてもいいと思うよ。」
そうだよな。
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