京都大宮を離れることはもうできなくなっているのである。

へそまがり 京都・大阪の飲食店

 
京都大宮で3軒をまわった。

へそまがり

大宮を離れることは、もうできなくなっているのである。

 

 

立ち飲み「てら」へ入って行ったら池井くんがきむくん、深キョン似の女性といっしょにいて、ぼくの顔を見るなり、

「おーーー、こわーーーい!!!」

大騒ぎをする。どうしたのかと思ったら、

「『高野さんを呼び出そう』と携帯電話をとり出したら、その瞬間に高野さんが来たんですよ」

とのことである。

実はぼくも、「今夜は池井くんと飲みたいな」と思っていた。11時頃、たこ焼き「壺味」に来るのではないかと見て、「その前に」と思っててらへ来たら池井くんがいたわけだ。

「気持ちが通じ合ってるね。相思相愛かな。」

てら

ぼくも軽口を叩きながら乾杯した。

 

京都大宮で飲み始めて5年目になる。初めのうちは、知っている人は誰もいなくて心細い思いもした。

京都の人は、仲良くなるのに時間がかかるのが特徴で、初対面のうちから話しかけてきてくれる人は少ない。また逆に、初対面で社交的な会話をかわす人とは、結局あまり仲良くなれない感じもする。

何度か顔を合わせながら、相手の人柄を推しはかる。

そのうち「ガチャン」と噛み合うような感覚があり、そうすると、それからは親しく話すようになる。

 

そうして一人また一人と大宮でも親しい人が増え、今ではこうして、「呼び出そう」とまで思ってもらえるようになった。

「ローマは一日にして成らず」と言うが、「時間」はこのように、幸せな世界を育んでくれるものだと思う。

 

てらは久しぶりだったから、いつも食べるものを頼むことになる。

豚天。

てら

 

スパサラ。

てら

 

アジフライ。

てら

 

厚揚げ焼き。

てら

 

揚げ物は家ではやらないことにしていて、外で食べる。

たっぷりの油でやった方がおいしいに決まっているのだから、わざわざ家で、少ない油で苦労してやるまでもないという考えである。

 

池井くんはお馴染みの、キレのある下衆いジョークを若いきむくんや、深キョン似の女性にかましている。「いかに下衆いことが言えるか」に日々心を砕いているそうで、最近では「その日のテーマ」も決めることにしたという。

きのうのテーマは「セフレ」だとのこと。

「おれきょうは200回くらいは『セフレ』って言うから」

と宣言し、「セフレの作り方」について講釈する。

 

またこれが、大学で講義したりもする人だから、非常な説得力があるのである。

きむくんも「フムフム」とうなずき、深キョン似の女性も、

「さすが頭のいい人には、何でも丸め込まれそうになるわ」

と感心する。

 

といいつつ、池井くんは「浮気はしない」と決めている愛妻家なのである。

「言うこととやることが違う」とはこのことだ。

 

てらには閉店時間近くまでいて、それから4人で、「もう1~2軒行こう」となった。

へそまがり

飲み屋街「寛遊園」に新しい店ができたというから、行ってみることにする。

 

寛遊園は「いかにも昭和」という趣きのある古い古い飲み屋街で、平屋の飲み屋が狭い路地の両側に軒をつらねている。菅原文太やら梅宮辰夫やらが今にも店から飛び出して来そうな感じで、このような場所はもう全国でも少ないのではないだろうか。

以前は昔ながらの、古いタイプの飲み屋ばかりだったようだが、10年ほど前から新しい店ができるようになっている。今は飲み屋の半分くらいが、わりと若い人が経営する新しい店になる。

 

新しくできた店は「へそまがり」という名前で、これまで空いていた場所に入ったそうだ。今までは暗かったところに明かりが灯ると、あたりが一層にぎやかになった感じがする。

へそまがり

「牛テール」の店だそうが、要は「煮込み屋」だ。京都では最近、八丁味噌で煮込んだ料理を出す店が増えている。

 

とりあえず「メイン」の2品を頼んでみた。

牛テール。

へそまがり

 

牛すじ。

へそまがり

やわらかく煮られていて、味噌の味加減も甘すぎなくていい。

ほかに味噌煮込みおでんなどもあるようだ。

 

先客が5~6人いて、マスターの知り合い関係なのだろう。話になると、池井くんはさっきまで、あんなに下衆い話をしていたのに、礼儀正しく応対する。

1時間ほど、あれこれと話して店を出た。

 

最後は「スピナーズ」へ行くことにした。大宮通を北上すると、途中で閉店したばかりの「壺味」や「ピッコロジャルディーノ」に、まだマスターがいる。

「きょうは行けなくてすみません、また行きますね・・・」

ていねいに挨拶しながら歩いて行くのである。

 

スピナーズはカウンターは満席、立っている人もいて、テーブル席にもお客さんが入っていた。

スピナーズ

空いていたテーブルに座ると、カウンターで立っていた人も合流して乾杯。

しかしすぐに、池井くんは酩酊し、寝はじめた。

スピナーズ

そのうち奥さんから電話があり、きむくん、深キョン似の女性に送られて帰っていった。

 

残ったぼくは、トマト酎ハイをお代わりし、カウンターに立って若い男女と話をした。

スピナーズ

二人とも20代半ばだが、こうしておっさんの相手もしてくれる。

こういう時、チェブ夫は人気だ。

スピナーズ

きのうもギャルに可愛がられていた。

 

3時頃になり、引き上げた。

家に着いたら歯磨きだけして布団に直行。

 

しかしこうして、相手をしてもらえる人がいるのはありがたいことである。

京都大宮を離れることは、もうできなくなっている。

 

「おっさんも十分下衆いよ。」

チェブ夫

そうだよな。

 

 

 

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