きのうのめしは、豚肉とレタスのピリ辛みそ炒め。
うまいものは、自分で料理しないと食えないのだ。
「料理などしなくても、お店へ行けば何でも食べられる」と思うかもしれないが、それは全く、浅はかな考えだ。
まずだいたい、そのとき自分が食べたいものを、その通りの形でお店が用意してくれることなどあり得ない。お店はあくまで、自分の都合でメニューを決めるわけであり、お客はそのメニューから、選ぶだけの話となる。
もちろん食べたいものに近いものは選ぶだろうが、そうやって選ぶことと、自分が食べたいと思うものを食べることとは、まったく別の話である。
それからお店には、「なぜこのメニューがないのか」と思うようなことが多い。
代表なのは、「常夜鍋」。ほうれん草と豚肉を水で煮て、ポン酢で食べるだけという、非常に簡単でありながらバツグンにうまいこの料理、お店にあるのを見たことない。
たぶん、簡単すぎるのだろうと思う。
お店はやはり、家では作れないものを出すからこそ、存在価値があるだろう。
簡単で、誰でも作れるようなものなど、「出す意味がない」と思うのではないかと思う。
それから、この豚肉とレタスのみそ炒め。
似た料理として「豚肉とキャベツのみそ炒め」があり、これは中華では「ホイコーロー」と呼ばれる定番中の定番料理だ。
しかしキャベツより、むしろレタスの方がうまいのだ。
レタスが味を吸ってややしんなりし、しかしシャキシャキ感を保っている状態は、トロトロ・こってりとした豚肉に、非常によく合う。しかも味付は、ピリ辛のみそ味がいいのであり、これはちょうど、焼き肉と肉みそをサンチュで包んで食べる、あの感覚と同じである。
ところがこれも、まずお店では食べられない。たぶんこの食べ方が、あまり知られていないからだろう。
お店は、多くの人が注文するものを出さないと、商売が成り立たないのは言うまでもないことだ。
なのでうまいものは、自分で料理しないと食えないのだ。
料理をしない男にとっては、残念なことである。
豚肉とレタスのピリ辛みそ炒めに入れる具材は、豚こま肉・200グラムと、レタス・2分の1玉。これだけでもいいのだが、きのうは香りのシメジ・2分の1パックと、味を吸う役目の油あげ・2分の1枚も入れた。
ゴマ油・大さじ3と、2センチ大のみじん切りショウガ、豆板醤・小さじ2、それにきのうは2分の1個分のみじん切り玉ねぎで炒め、
- みそ 大さじ2
- 砂糖 大さじ1
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ2
の合わせ調味料で味をつける。
最後に酢・大さじ1でさわやかな酸味を付けるのが、最大のポイントだ。
フライパンにゴマ油とみじん切りのショウガと玉ねぎ、豆板醤を入れ、中火にかける。
2~3分じっくり炒め、香りが立ってきたところで、豚こま肉と、細く刻んだ油あげを入れてさらに2~3分、豚肉の色が変わるまで炒める。
合わせ調味料を入れ、1~2分炒めて味をなじませる。
ほぐしたシメジと食べやすい大きさにちぎったレタスを入れ、上下を返しながら炒める。
レタスがしんなりし始めたくらいのところで酢を入れ、一混ぜして火を止める。
これはくれぐれも、レタスを炒め過ぎないことがコツとなる。
「まだ硬いかな」と思うくらいで、火から上げてしまって大丈夫。余熱でちょうどよくなるはずだ。
皿に盛り、好みでネギを振ってもいい。
コッテリとしながらさわやかで、酒にもご飯にもバツグンだ。
あとは、とろろ昆布のぬく奴。
とろろ昆布と削りぶしを入れたお椀に、お湯であたためた豆腐をお湯ごと入れ、淡口醤油で味つけして、ネギと一味をかける。
ホタルイカの酢みそ。
水で洗い、水気をふき取ったゆでホタルイカを、白みそと、それと同量くらいの酢、砂糖とカラシをちょっとずつ、それに青ねぎ少々で和える。
ナスの塩もみ。
3ミリ幅くらいに切り、ひとつまみの塩で揉んで10分くらい置き、水洗いしてよく絞ったナスを、おろしショウガとひねり潰したゴマ・それぞれたっぷりと、味ぽん酢で和える。
酒は、冷や酒。
料理は、非常にちんたら作る。おれは世界で一番ちんたら、料理を作っているのではないかと思う。
料理をしながら酒を飲むから、食べ始めるころには泥酔状態になるのだが、それが好きなのだから、仕方がないのである。
「何でも好きなことをすればいいってモノじゃないよ。」
そうだよな。
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