きのうは、豚肉とニラのカレー。
これは和風にやれば、カレールウを使わなくても、大幅に時間が短縮できるのだ。
※読んでくださった方は、ぜひアマゾンへ、レビューの投稿をお願いします!
https://ossanhitorimeshi.net/?p=15418
インスタントのカレールウを、家事に、仕事に忙しい主婦が使うことをまったく否定はしないのだが、一人暮らしの自炊には、使わないのがオススメなのだ。簡単にはでき、間違いなくおいしいのだが、ルウの部分がブラックボックスになってしまって見えなくなり、「理解」が深まらないからだ。
「料理は、手軽でおいしいのがよい」と考える向きもあると思うが、これは一人暮らしの自炊には当てはまらない。手軽でおいしいだけなら、外で惣菜を買った方がもっと手軽でおいしいからだ。
惣菜を買わない歯止めは、主婦の場合なら「ご主人に文句を言われる」「子供にはきちんとしたものを食べさせたい」などのことがある。でも一人暮らしの自炊だと、ご主人も子供もいないから、「お金がかかる」というだけの話になるだろう。
お金のためだけに何かを「しない」と決めるのは、どうしても侘しい気持ちになる。やはり料理を続けるための積極的なモチベーションが必要で、それには「理解」が最もふさわしい。
料理は、数十万年という人類の歴史を基盤としている、膨大な蓄積をもった文化なのだ。
この文化を愛で、少しずつ理解する喜びは巨大なもので、それを一旦知ってしまえば、もう「自炊せずにはいられない」という気持ちにすら、なるのである。
といって、何もスパイスの調合から自分でやれ、とまでは言わない。
S&Bのカレー粉くらいでやるのが、ちょうどいいのではないかと思う。
欧風カレーを本格的に作ろうと思ったら、「とにかく時間がかかる」というイメージがあると思う。玉ねぎは、1時間くらい炒めないといけないし、煮込むのも、長ければ長いほどうまくなる。
でもこれは、欧風に作るからで、やり方を和風に置き換えれば、欧風と遜色のない味のカレーが、インスタントのルウを使うのと変わらない時間でできる。
要はカレーには、
- だし
- 甘み
- 酸味
の3つが、バランスよく含まれていることが必要なのだ。
欧風のやり方だと、だしは、肉や野菜を時間をかけて煮込むことによって得られる。甘みは、玉ねぎを時間をかけて炒めることで引き出される。
ところが和風のやり方は、だしは削りぶしや煮干しに醤油を使えば、10分もかからずできる。甘みは、みりんを入れればいい。
大幅な時間短縮が図れるのである。
酸味については、酢やレモン汁を入れてもいいが、やはりカレーの酸味はトマトがうまい。
ケチャップやトマトピューレを使ってもいいのだが、今回は、生のトマトを最後に入れることにした。
使う具は、豚コマ肉と、ニラ。ちょっと疲れが、たまり始めていたからだ。
それから、味を吸う役目として厚揚げも入れた。
豚肉は、だしは別に取るのだから、煮込む必要は全くない。豚肉は煮込むと硬くなるから、ほんの5分程度、サッと煮るくらいにとどめておく。
今回は、だしは煮干し。
頭とワタを取って2カップ強の水に入れ、中火にかけて、煮立ったら弱火にし、アクを取りながら10分くらいコトコト煮出す。
だしを取るのと並行して、ルウを作る。
フライパンに、
- ゴマ油 大さじ3
- カレー粉 大さじ2
- みじん切りのショウガ 2センチ大くらい
- 豆板醤 小さじ1
を入れ、弱めの中火で2~3分、じっくり炒める。
スパイスの多くは脂溶性で、水に溶けないから、油で炒めたほうが風味が引き立つのだ。
ルウのフライパンにだしを入れ、
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ1
- 淡口醤油 大さじ2
で味付けする。
この煮汁で、まず1センチくらいの厚さに切った厚揚げを5分ほど弱火で煮て、それから豚コマ肉20グラムを入れ、さらに5分くらい煮る。
この時点で、味をみて塩加減をする。
このあと入れるトマトから水が出るから、やや塩辛めにしたほうがいい。
火加減を中火にし、8等分のくし切りにしたトマトを入れ、煮立ってきたら、
- 片栗粉 大さじ2弱
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を、混ぜながら少しずつ入れてトロミをつける。
ざく切りにしたニラを入れ、ひと混ぜしたら、ご飯を盛った皿によそう。
これは、中途半端な和風味などではなく、完全に普通の、「おいしいカレー」になるのである。
生トマトのさわやかな酸味が、またたまらない。
つけ合わせは、キムチ。
カレーには、らっきょうより福神漬より、キムチが合う。
酒は、冷や酒。
このカレーは、日本酒にも非常によく合うのである。おかげでつい、いつもより飲み過ぎるハメになった。
でもうまいのだから、仕方ないのだ。
「言い訳もうまいよね。」
ほんとだな。
◎関連記事
イカと厚揚のカレー ――カレーは残り汁の再利用にかぎりますわ!