きのうは京都・大宮で4軒まわった。
大宮は、垢抜けないところがいいのである。
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京都・大宮の飲み屋街は、実に絶妙なポジションをうまく保っていると思える。
50軒ほどの飲み屋があり、立ち飲み屋から居酒屋、小料理屋、お好み屋に寿司屋、ラーメン屋、小洒落たイタめし屋やバー、スナック、ちょっとした風俗店などなど、一通りが揃っているわけだから、とりあえず「繁華街」ということができる。どの店も、お客さんで賑わっていて、決して寂れているわけではない。
しかし、垢抜けないのだ。
大宮は、木屋町のように、東京でいえば新宿に当たる、「何でもアリ」の王道の繁華街ではない。また烏丸のような、東京でいえば青山・麻布あたりだろうか、オシャレな店が集まるエリアでもない。
さらに西院のように、ミュージシャンが多く集まり、音楽フェスが開催されるという、何か特徴がある街でもない。
泥臭く、特徴をひとことで言い表すとしたら「ディープ」がふさわしい。
だからお客さんも、観光客を見かけることは少ないし、京都市内のほかの場所から、大宮へ出てくる人も多くない。
基本的に近くに住んでいる人と、近くで勤めるサラリーマン。生活の延長に飲みにやって来る人ばかり。
そのことが、何とも居心地がいい雰囲気をつくり出していると思えるのだ。
大宮には、時間がゆっくり流れるように感じられる店が多い。ねぎ焼きができるのを、注文してから1時間も待つ店もある。
収益重視の今の時代、普通なら、効率を上げるなどして時間短縮を図ろうとするのではないだろうか。
しかし大宮ではそうではなく、「待てないお客さんは断る」のである。
この、日本ではすでに貴重といえる、目先の利益にとらわれず、あくまで自分のスタイルを貫く姿勢は、伝統を重んじ、守りつづける街・京都ならではとも思えるところだ。
大宮には、「京都の粋」が集まっているとも言えるのではないだろうか。
きのうはその大宮で、ちょっと相談事もあり、4軒まわった。
まずは、ダイニングバー「Kaju」。
ここは大宮通錦小路東南角にある、ドヤ街のような一角に、厚いドアに閉ざされて、ひっそりと佇んでいる。
しかしドアを開けると、そこにはゆっくりと落ち着ける、ほっこりとした空間がある。
常連さんも、知らないお客さんにみだりに話しかけることはせず、女性が一人で入っても、のんびりとした時間を過ごせるのは間違いない。
Kajuは料理のメニューも色々あり、どれもうまい。
きのう頼んだ水キムチもマスターの自家製で、ほかではそうそう食べられない、本格的な味である。
次に、立ち飲み「てら」。
この店も、怪しい飲み屋アパートの奥の奥、一見さんはまず入ってこない場所にありながら、椅子に座れば5~6人も入れば一杯になる店内に、20人近くがギューギュー詰めになることもある、「知る人ぞ知る」店である。
人気の理由は、料理がとにかくうまくて、そして安いこと。看板メニューは鶏のお造り、それから焼き鳥・串揚げがメインだが、それ以外もすべてうまい。
ぼくがよく頼むのは、
スパサラ・100円、
鶏天おろしポン酢・250円。
飲み始めに、とりあえずの腹ごしらえをするにも打ってつけの店である。
それから、たこ焼き「壺味」。
大宮通錦小路東南角のあたりに通りに面してあるこの店は、できて20年以上、いまは2代目の息子さんが継いでいる、このあたりでは最古参の店の一つで、夏場などは完全にオープンスペースになってお店と通りが一体化し、通りにはみ出して飲むお客さんもいたりして、「大宮の街で飲む」ことをまさに実感できる場所だ。
ねぎ焼きができるのに1時間かかるのは、この店だ。
焼き物を頼んだ場合は、とにかく急がず、すぐにできるツマミをあわせて頼んで酒を飲みながら待つのがよく、お客さんの中には注文しておいてから、一旦別の店へ行き、焼き上がったころに戻ってくる人もいる。
きのう頼んだのは、豚の焼きそば・650円。
肉と野菜がとにかくたっぷり入っているのが特徴で、麺は太めで歯ごたえがあり、ソースがややピリ辛なのが、またうまい。
そして最後は、ギャラリー&バー「スピナーズ」。
ここは家から至近にあり、来る回数はいちばん多い。
30代のマスターは、「カウンター職人」とでも呼びたくなるほど、いつも「お客さんどうしの会話が盛り上がるカウンター」をつくり上げる。
入ってきたお客さんを、その人と話が盛り上がりそうなお客さんの隣に座らせるために、すでに座っているお客さん4~5人に横にずれてもらうという、ほかの店ではまず見ない光景も、この店では日常茶飯事だ。
基本的にショットバーだが、ツマミが1~2品用意されていることもある。
きのうは、ツナサラダを注文した。
マスターは、実はつくる料理もかなりのもので、これもねっとりとしたアボガドが、ツナといい取合せでうまかった。
9時前から飲み始め、家に帰ったのは1時過ぎ。
大宮では、どうしても延々と飲んでしまいがちなのだが、それは楽しかった証拠だから、仕方がないのである。
「言い訳だけはうまいよね。」
ほんとだな。
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