あさりご飯で酒を飲んだ。
あさりご飯は簡単にでき、しかも最もうまいものの一つである。
魚屋であさりを買った。このごろは、買物をするとき、何を作るかはあまり考えない。素材として、「食べたい」と思えるものを選ぶようにしている。
といって、全く考えていないわけでもない。作る料理の候補がいくつか、ぼんやりと頭に浮かんではいることになる。
あさりを料理する場合、考えなくてはいけないことは、「あさりの汁をどう活用するか」になる。
あさりは体の中に、うまみのある塩水を抱えていて、火を通すとそれが出てくる。このうまみの汁をムダにしてしまうのはもったいない。
だからあさり料理として最も代表的であり、しかも簡単な「酒蒸し」は、どうしてもその汁が器に残ってしまうことになるから、「贅沢すぎる料理法」とも言うことができる。それよりはみそ汁や吸物にしたほうがムダがないし、酒蒸しにする場合にも、そうめんを下に敷いて汁を吸わせたりするのがいい。
しかしそのあさりの汁を、最も有効に活用できる料理法は、やはり「炊き込みご飯」なのである。
炊き込みご飯は、あさりの汁をご飯が吸うことになる。一滴もムダにならない。
さらにうまみをご飯が吸うと、また格別だ。汁をそのまま味わうのと比べると、「別次元」とも言いたくなる満足感があるだろう。
というわけできのうは結局、あさりご飯を作ることにした。
炊き込みご飯は、作るのはほんとに簡単、それでいてうまいという、家庭料理の代表選手のような料理だ。
あさり200グラムは水カップ1に対して塩小さじ1くらいの塩水に、30分~1時間ほど浸しておく。
砂を一通り吐き出したところで、両手であさりを包み込み、ガシガシとこすり合わせるようにしながらよく洗う。あさりの殻には臭みの元になる汚れが付いているから、これをよく落とすことが、おいしいあさり料理を作るコツとなる。
鍋に5センチ角くらいのだし昆布を敷き、研いで水を切った米1カップを入れる。
その上にたっぷりの細切りショウガ、やはり細切りにした油あげ2分の1枚、その上に、あさりを並べる。水1カップ、酒大さじ1、みりんと淡口しょうゆ小さじ2ずつをいれ、フタをする。
あさりが塩水を吐き出すから、水気と塩分はやや少なめにするのである。
中火にかけ、湯気が勢いよく噴き出してきたら弱火にする。
10分炊き、湯気のにおいにおこげの気配がしてきたところで火を止めて、10分蒸らす。
炊き込みご飯はフタを開けるときが、ほんとに楽しい。
ぷんとショウガのいい香りがする。
青ねぎ、それにひねり潰したゴマを混ぜ込む。
やはりあさりご飯は、最もうまいものの一つだろう。
あとはインゲンのツナマヨ。
ヘタと、筋があれば取り、食べやすい大きさに切ったインゲンをサッと塩ゆでし、水で冷やして、ツナとマヨネーズそれぞれ少々で和え、一味を振る。
それに先日の残りの鶏とナスの塩味煮。
わさび醤油の冷奴。
酒は冷や酒。
きのうもまた絶好調となり、べらべらとツイッターで呟いた。
「さっさと早く寝ればいいのに。」
そうなんだよな。
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ナスは鶏肉とトマトといっしょに洋風っぽい和風で煮るのである。