京都大宮飲み屋街で、3軒をはしごした。
言うまでもなく、またいつものごとく飲み過ぎたわけである。
夜は京都大宮飲み屋街をはしごした。
大宮は、飲み屋街全体が「一つの飲み屋」のようになっているのが特徴で、常連さんも、多くがはしごしながら飲む。ほとんどの店がチャージを取らず、一軒の店で3杯飲んでも3軒の店で一杯ずつ飲んでも、「料金はおなじ」という計算になるからだ。
はしご酒が楽しいのはまちがいなく、店を替えると気分も替わるし、お客さんの顔ぶれが替わるからまた新たな出会いもある。
ただしその分、酒も進むことになるから気を付けないといけないのである。
きのうは家を出る前、「Kajuとスピナーズへは行こう」と考えた。週一ぺんの外飲みで複数の店と顔をつないでおくためには、行く店は慎重に選ぶ必要がある。
「そのほかにもう一軒くらい」と思うわけだが、これが怖いところがある。
飲み屋では、何が起こるかわからない。
下手に盛り上がってしまうと、どこまでも飲んでしまうことになるからだ。
しかしそれは、とりあえず考えないことにして、まずはKajuへ向かった。
表の大宮通を通ると誰に会うかわからないから、裏から入る。
Kajuには知り合いはいなかった。
なのでマスターと言葉をかわし、ゆっくり飲む。
Kajuは落ち着いた雰囲気が特徴だ。
お客さんも、「話をする」というよりは、「のんびり一人でグラスを傾けたい」と来る人が多いと思う。
それからKajuは、ツマミもうまい。
きのうはチャンジャ。
ゴマ油がかかっていて、たっぷりの青ねぎと混ぜて食べる。
Kajuでビールを2杯のみ、店を出て、つい何の気なしに、表通りに出てしまった。
するとそこにはたこ焼き「壺味」があるわけで、しかも壺味にしては珍しく、店はガラガラ、大将と店員のかわいらしい女の子が暇そうにしている。
そうなれば、入らないわけにはいかないだろう。
レモン酎ハイを飲むことにした。
女の子はほんとにかわいく、ぼくは「ファン」なのである。
また瞳の奥に、こちらを小馬鹿にしたような表情が見えるところがたまらない。
頼んだツマミは、つぶ貝わさび漬け。
壺味は魚介のツマミもうまい。
タコを仕入れるからだろう、大将は中央市場へマメに行くし、時々小浜まで足を伸ばして仕入れをしている。
そのうちお客さんが増えだして、知り合いの常連さんも入ってきた。
そうなると腰を落ち着ける態勢になるわけで、レモン酎ハイをもう一杯。それに「すぐできるツマミ」を大将に聞いて、「山芋バター」を注文した。
ところが壺味は、のんびりとした店なのである。
山芋バターは大将のお母さん「ケイちゃん」の担当なのだが、ケイちゃんは前に注文があったたこ焼きを焼いていて、いつまでたっても山芋バターにとりかかる気配がない。
でもそののんびりとしているところが壺味の持ち味なのだから、催促をする気もせず、ぼくものんびりと待っているうちに、ようやく山芋バターが出てきた頃にはレモン酎ハイを飲み終わってしまった。
すると言うまでもなく、「もう一杯」となるわけだ。
その頃にはマチコちゃんを初めとして人がドサドサと入ってきて、壺味の店内は賑やかになった。
そうすれば話もすることになり、気付いた頃にはあっという間に、11時をまわっていたわけである。
それからぼくは、予定の最終地点スピナーズへ向かった。
昼にはビールを2本飲み、家を出る前にも焼酎を3杯飲んでいたから、すでに完全に出来上がっている。
でも行かないわけにはいかないだろう。顔をつながないといけない店には、つながないといけないのである。
スピナーズでは、トマト酎ハイ。
なじみの常連さんと話しながら、あっという間に3杯飲んだ。
かなり酔い、記憶が途切れる寸前だったが、財布の金が乏しくて、それ以上飲めば足りなくなるのはかろうじてわかっていた。
それできのうは、何とか記憶があるうちに家に帰れた次第である。
毎度毎度、酒を飲めば飲み過ぎる。
飲み過ぎて、その分店に貢献するわけだから、それで世の中丸くおさまるということだろう。
「酒飲みはほんとにアホだね。」
まったくな。
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