ツバスを煮付けて酒を飲んだ。
飲み過ぎるには、料理を作るのがいいのである。
ひとり酒は、つくづく「料理しながら飲むに限る」と思うのである。
家に帰り、まずはいの一番に酒を作り、ツイッターなどを相手に飲みはじめる。
これが仕事の疲れが癒やされる、至福の時間であるのは間違いがないのだけれど、1時間、3~4杯ほども飲むと、ぼくの場合はぼんやりしてきて、「もう十分」という酔い加減になってくる。
しかしこれで終わってしまっては、何も面白いことはないだろう。
ただ「酒を適量飲み、酔っ払った」というだけの話である。
ところがここから料理を作り始めると、次の段階に入ることになる。
料理をすることは、どういうわけか分からないのだが、酒との相性が抜群にいい。
「あれを作ろう、これを作ろう」などと考えたり、それを実際に作り始めたりすると、酒でぼんやりとしていた頭が冴えてきて、ワクワクと楽しくなってくる。
また料理をすると、つまみ食いができるのもいい。
これが絶好の酒の肴になるのである。
そうすると、「もう十分」だったはずが、ふたたび酒が進むようになる。
それで料理をしながら、さらに2~3杯飲むことになる。
さらに料理が出来れば、食べながら飲むのは言うまでもない。
ちょっとでも長く飲み続けるため、肴はできるだけチビチビ食べる。
そしてここからは日本酒を、2杯ほど飲むのである。
以上のように、料理をしながら酒を飲むと、3つの段階を経て、酒が進んでいくことになる。
それにより、無事飲み過ぎることができるわけだ。
酒は、飲み過ぎるからこそ面白い。
ちゃんと飲み過ぎるには、料理を作るのが大変いいのである。
きのう作ったのは、冷凍保存してあったツバスの煮付け。
魚は何でも、とりあえず煮付ければうまいのである。
魚をおいしく食べるには、まずは「塩焼き」があり、これはほぼ間違いなくどんな魚でも通用する。
ただ塩焼きだけだと、あいだに肉を挟んだとしても、毎日の献立としてはバラエティーに乏しい。
ここに「煮付け」を加えられるようになると、献立の幅はグッと広がる。
煮付けは何も難しいことはないから、もしまだ「やったことがない」という人は、是非チャレンジしてみることを勧めたいところである。
煮付けで一番重要なのは「煮時間」で、これは普通の魚なら「10分」くらいだ。
10分を超えて煮てしまうと魚はパサパサになり、食べられたものではないことになるけれど、あとはどうでも、食べられないということはない。
水や調味料の量によって味はさまざまに変わるのだが、これは基本的に「好み」の範囲内である。
臆せず思ったとおり、やってみるのがいい。
ぼくはこの頃は、やや薄めに煮付けることに凝っている。
鍋に5センチ角くらいのだし昆布を敷き、水で洗い、皮に2本くらい切込みを入れたツバスを入れる。
切り込みを入れるのは、味をしみさせるためと、皮が縮まり、身が丸まってしまうのを防ぐためである。
洗って5ミリ厚さくらいに切り、水にさらしたゴボウも入れる。
ツバスはブリの子供だから、大根がおいしいところだろうとは思ったけれど、なければ別に、ゴボウでも悪くはない。
水は2カップ、調味料は酒、みりん、砂糖、しょうゆをそれぞれ大さじ3ずつ。
ただししょうゆは、味をうまくしみさせたり、風味を残したりするために、時間差で入れていく。
水としょうゆ以外の調味料をまず入れて、強火にかけ、煮立ったらアクを取りながら1~2分煮る。
そのあとしょうゆを大さじ2だけ入れ、落としブタをして10分煮る。
火加減は「強めの中火」くらい、煮汁の泡が、しっかり上まであがってくるくらい強くするのがポイントとなる。
10分煮たら、しょうゆ大さじ1を入れ、ひと煮立ちさせて火を止める。
フタをして、そのままゆっくりと冷まして味をしみさせる。
きのうは青ねぎをかけて食べた。
好みで七味を振ってもいい。
コボウも味がしみている。
煮付けはやはり、この一緒に煮た野菜がまたうまいのである。
あとは若竹汁。
吸物だしでタケノコを少し煮て、わかめを加えて火を止める。
吸物だしは、一番だし1カップにたいし、酒大さじ1、うすくち醤油大さじ1弱。
おとといの残りの和風麻婆ナス。
やはりおとといのレタスの酢の物。
すぐき。
酒は冷や酒。
また魚の煮付けが、日本酒に合うのである。
「飲み過ぎばかりだと体に悪いよ。」
そうだよな。
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