豚肉とレタスのオイスターソース炒めで酒を飲んだ。
料理の作り方を考えるのは、つくづく癒やされるのである。
料理の作り方を考えるのがとにかく好きで、特にこれを飲みながらやると、「一日でもっとも癒やされる時間」になる。
「食べること」は人間にとって、「最大」ともいえる快楽だ。
快楽をいかに増すことができるかを考えるのも快楽となるように、神様が人間を創っているのだろう。
昨日も豚肉とレタスを炒めることに決め、材料は買ってあった。
以前「酒房京子」で食べ、とてもうまかったからである。
京子では塩ベースの何かコッテリとした味付がされていたが、やり方を教えてもらえなかったから自分で考えないといけない。
銭湯で風呂上がりにビールを飲んでも、気付いたらそれを考えている。
どうやるかがきちんと決まるまで、どんなに考えても飽きることがない。
まずは味付の「方針」をどうするかが問題だ。
京子のように塩ベースは悪くなく、だったらこないだのように醤油やオイスターソースを隠し味にした塩ダレはいい。
でも考えているうちに、
「レタスにはオイスターソースが合う」
と思い始めるわけである。
これは前に作って食べたことがある。
オイスターソースは豚肉にも合うから、今回は趣向を変えて、それをベースにすることとした。
オイスターソースをベースにするなら、酒にオイスターソース、それとショウガくらいがもっとも簡単な組み合わせだろう。
加えて炒めるのにゴマ油と唐辛子をつかう。
それでも悪くないように思ったが、ちょっとシンプル過ぎるようにも思える。
考えるうちに、「オイスターソースだけだとクドくなりそうだ」と思い至り、醤油で薄めることにする。
さらに「ニンニクを入れないのだから味に深みが出ないかもしれない」とも思い、砂糖も少し入れることにし、味付はそれで決まった。
あとは「作り方」についても考えた。
味を吸わせるために油あげを入れたい。
これを入れるタイミングである。
肉を炒め、まず合わせ調味料を入れるとして、油あげをレタスと一緒に入れるか、レタスをサッと炒めたあとに入れるか。
油あげはきちんと炒める必要があるから、レタスと一緒に入れるのがいいが、そうすると油あげが調味料を吸いすぎて、レタスに調味料が回らないかもしれない。
しかしこれは、酒を追加して調味料の量を増やせばいいと、調味料を合わせながらわかった。
以上のような紆余曲折を経て作られた、昨日の「豚肉とレタスのオイスターソース炒め」。
ばっちりナイスな味になったのである。
というわけで材料は、豚のコマ肉200グラム、レタス2分の1玉、油あげ2分の1枚。
豚肉と油あげは食べやすい大きさに切り、レタスは大きめに手でちぎる。
合わせ調味料は、酒大さじ2、オイスターソース大さじ1、醤油と砂糖、おろしショウガを小さじ1。
フライパンにゴマ油と輪切り唐辛子少々を入れて強火で熱し、豚肉を炒める。
豚肉の色が変わったら、合わせ調味料を入れ、少し炒めて味をなじませる。
レタスと油あげを入れ、サッと炒める。
レタスは生でも食べられるのだから、炒め過ぎないのがコツとなる。
皿に盛り、青ねぎをたっぷり振る。
レタスは炒めるのも大変うまいのである。
あとはとろろ昆布の吸物。
ホタテ酢の物の残り。
一味ぽん酢の冷奴。
すぐき。
酒は冷や酒。
肴が酒に合いすぎて、昨日は一杯にするつもりが二杯飲んだ。
「好きだね、ほんとに。」
だよな。
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