「毎日マーボーだと飽きるからたまには違うのないのかな?」
「豚肉と厚揚げを使ったガッツリいける中華風の炒め物ない?」
と思う人は、1億6,004人くらいはいるでしょう。
マーボーと似て非なる中華料理「家常豆腐(ジャーチャンドウフ)」は、マーボーより2億1倍くらいはガッツリいけます。「中華風炒め煮」の基本的な作り方なので、作り方を体得することにより他の料理への応用も広くききます。
この記事では、家常豆腐と麻婆豆腐はどう違うのか、中華料理屋の家常豆腐の例、家常豆腐を作るポイントおよび作り方を紹介します。
家常豆腐とは?
家常豆腐は、豆腐を使った中華風の煮物です。「豆腐を使った中華風の煮物」といえば、日本人にとっては麻婆豆腐がまず思い浮かぶところ。しかし、家常豆腐は、ウー・ウェン『大好きな炒めもの』によれば「中国で最もポピュラーな家庭料理」だとのことで、名前の「家常」は「家でいつも食べる」という意味なのだそうです。
中国でそれだけポピュラーでありながら、日本では、中華料理屋でメニューとしているところもあまり見かけないですし、知っている人は少ないのではないでしょうか。麻婆豆腐を日本に紹介した陳建民が、なぜ家常豆腐を紹介しなかったのか(「家常豆腐 陳建民」で検索しても本人のレシピは出ない)不思議です。中国人にとってあまりに当たり前な料理すぎ、紹介する対象として思い浮かばなかったのかも知れません。
家常豆腐と麻婆豆腐はどう違う?
家常豆腐と麻婆豆腐の違いは、家常豆腐は、豆腐に揚げたものを使い、豆腐以外にさまざまな具を入れることにより、「飲み物」に近い麻婆豆腐と比較して2億1倍くらいガッツリいけることです。また、味付けも、家常豆腐はかならずしも辛くなくてもいいようです。
豆腐は揚げ、さまざまな具を入れる
麻婆豆腐は、豆腐をそのまま煮込み、ほかに入れる具はひき肉だけです。スルスルっと食べられるのが特徴ですので、カレー同様、麻婆豆腐を「飲み物」と位置づけている人は多いでしょう。
それに対し、家常豆腐はまず揚げた豆腐を使いますので、麻婆豆腐よりその時点で食べごたえがあります。さらに、豆腐以外の具を加えることで家常豆腐は、飲み物とは絶対いえない、ガッツリと食べごたえがあるおかずになります。
肉は、入れればもちろんガッツリ度はさらに赤丸急上昇するわけですが、かならずしも入れなくてもいいようで、上のウー・ウェンのレシピでは肉は使われていません。
かならずしも辛くなくてもいい
また、家常豆腐はかならずしも辛くなくていいようです。やはり上のウー・ウェンのレシピでは、唐辛子は使われていません。
ただし、豆腐は、煮込むと独特の田舎っぽい風味がでます。田舎っぽさを打ち消すにはやはり味にメリハリが必要で、メリハリを出すために家常豆腐に唐辛子を使う例は多いですし、ウー・ウェンは黒酢でコクのある酸味を加えています。
中華料理屋での家常豆腐の例
筆者 高野がこれまでに中華料理屋で食べた家常豆腐の例を2つ紹介します。
渋谷『麗郷』の家常豆腐
最高におすすめなのはシジミ。【渋谷 台湾料理・麗郷】|おっさんひとりめし
渋谷が誇る台湾料理の名店『麗郷』の家常豆腐は、具として大ぶりのタケノコ、ピーマン、それに肉はホルモンが入っていて、味付けはしょうゆベースのうす味。辛さはピリ辛です。ウー・ウェンのレシピでもそうですが、家常豆腐にタケノコが加えられる例は多いので、やわらかな豆腐と食べごたえのあるタケノコの対比も、家常豆腐の楽しさの1つなのかもしれません。
蒲田『香楽園』の家常豆腐
電車賃をかけても行くべき。中国居酒屋「香楽園」蒲田西口|おっさんひとりめし
こちらは、蒲田が誇る中華料理の名店『香楽園』の家常豆腐。タケノコは使われておらず、うす切りの豚バラ肉と大ぶりのピーマン、玉ねぎが入っています。味付けは味噌ベースで、赤唐辛子が10本くらい入る激辛タイプです。
豚肉と厚揚げの家常豆腐を作るポイント
中華料理屋の家常豆腐としてあげた上の2つの例だけ見ても、家常豆腐にはさまざまな作り方があることが察せられると思いますが、今回、筆者 高野が作った家常豆腐のポイントは、まず豆腐は市販の厚揚げを使うことです。また、豚肉のほかに具として入れるピーマン、玉ねぎ、タケノコは先に炒めて最後に加えシャッキリさせること、およびみりんと豆板醤、酢を加えて「甘辛酸っぱい」味にするのもポイントです。
豆腐は市販の厚揚げを使う
豆腐を分厚く切って揚げた「厚揚げ」は、中国では市販されていないのかもしれませんが、日本にはふつうにあります。上のウー・ウェンのレシピでは豆腐を揚げ焼きさせるようになっていますが、日本では、別に厚揚げをお店で買ってくれば用が足ります。上の麗郷の家常豆腐は、豆腐は自分で揚げているみたいでしたが、香楽園は市販の厚揚げを使っていました。
野菜は先に炒めてシャッキリさせる
上の中華料理屋の家常豆腐を見てもわかるように、ピーマンや玉ねぎなどの野菜は先に揚げ、最後に加えることによりシャッキリとしています。この、「豆腐のやわらかさと野菜の食べごたえの対比」は、家常豆腐を作る際の大きなポイントかと思います。
今回のレシピでは、揚げるまではしませんが、先に炒めて皿に取出しておきます。タケノコは、豆腐といっしょに煮込んで味を含ませるのも悪くないですが、今回はピーマン、玉ねぎといっしょに炒め、油をなじませるようにしました。
甘辛酸っぱい味にする
味付けは、豆板醤を使ったピリ辛味としましたが、ピリ辛味は、甘みと酸味を加え「甘辛酸っぱい」味とすることで引立ちます。煮込む際にみりんを入れ、でき上がる直前に酢を入れます。
家常豆腐の作り方
豚肉と厚揚げの家常豆腐を作る手順は、
- ピーマンなどの野菜を炒め皿に取出す
- 豚肉と厚揚げを炒める
- 調味料を加えて煮込む
- 取出しておいた野菜を戻す
の4工程です。ピーマンなどの野菜をしゃっきりすることだけを心がければ、あとはそれほどの失敗はないと思います。
1. ピーマンなどの野菜を炒め皿に取出す
フライパンに、
- サラダ油 小さじ1
- ピーマン 1個(1~2センチ幅の乱切り)
- 玉ねぎ 4分の1個(1~2センチ幅のくし切り)
- 水煮タケノコ 適量(5ミリ厚さくらいの、わりかし厚めに切るのがいいです)
を入れて中火にかけ、1~2分、ピーマンと玉ねぎが「しんなりし始めたかな(まだかな)」というくらいまで、歯ごたえを残して炒め皿に取出す。
2. 豚肉と厚揚げを炒める
あらためて、フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- にんにく 1かけ(みじん切り)
- ショウガ 1センチ大くらい(みじん切り)
- 豆板醤 小さじ1
を入れて中火にかけ、1分くらい炒めて味を出したら、
- 豚肉 100グラムくらい(部位や厚さは好みで。今回は、肩ロースのブロック肉を3ミリ厚さくらいにそぎ切りにしました。コマ肉とかでも問題ないです。塩コショウと酒それぞれ少々をもみ込み、片栗粉小さじ1をまぶし付ける)
- 厚揚げ 100グラムくらい(1センチ厚さくらいの食べやすい大きさに切る)
を入れ、2~3分、じっくり炒める。途中で油がなくなってしまったら、少し足してもいいです。
このあとさらに煮込みますので、念入りに炒める必要はありません。
3. 調味料を入れ煮込む
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- オイスターソース 小さじ1
を入れてひと混ぜしたら、
- 水 100cc
- 鶏ガラスープの素 小さじ1
- コショウ 2~3振り
を加え、煮立ったら弱めの火にしてコトコト5分くらい煮込む。
4. 取出しておいた野菜を戻す
強火にし、取出しておいた野菜を戻し、30秒~1分くらい、野菜が温まり煮汁が絡みつくまで炒め、
- 酢 大さじ1
を入れてひと混ぜし、皿に盛る。
粗挽きコショウをかけて食べます。
まとめ
この豚肉と厚揚げの家常豆腐、甘辛酸っぱいしょうゆ味が厚揚げによく合い、タケノコと厚揚げの食べごたえの対比も楽しく、マジで7億101回くらいは死ねます。お酒やご飯に合うことも、むせび泣くほどですので、作るのは難しくありませんからぜひ試してみてくださいね!