干し椎茸とオイスターソースの「中華的スープ」で作ったもの。麺が味を吸い、さらにトロミが絡んだのは、たまらない。
家でラーメンを作るのは、あの鶏ガラや豚骨のスープを取るのが、1杯分や2杯分だと異常に効率が悪いため、これまではやろうと思わなかった。
お店の料理と家庭の料理は、お店がたくさんの人に少数のメニューを出すのにたいし、家庭は少数の人にたくさんのメニュー(しかも毎日変わる)を出すわけだから全く別のものなのであり、お店でおいしいものはお店で食べるべきというのがおれの考え。
ところが最近になり、干し椎茸とオイスターソースで「中華的スープ」を作れるようになって、話が変わった。これに中華麺を入れてみたら、言うまでもなくうまいのだ。
そこできのうも、五目チャンポン。
中華麺の選択に多少の課題はあるものの、これまた大変うまかった。
「チャンポン」としたのは、麺を煮込むから。家庭で手に入る麺は、どうしても専門店にくらべればハンデがあると思うけれども、麺を煮込んで味をしみ込ませることで、そのハンデはある程度カバーすることができると思う。
ラーメン店では、やはりその都度麺を煮込むのは、その分時間がかかって効率が落ちるわけだから、多少おいしくなったとしてもやらないのではないだろうか。
なので煮込むというこのチャンポンの作り方は、家庭料理に起源があるのではないかという気がするところだ。
「五目」としたのは、冷蔵庫に入っている白菜を食べなければいけなかったから。白菜は色が白いし、煮込んでやわらかくなるのが持ち味だから、色合いや歯応えを補えるものを一緒に入れたほうが楽しくなる。
色合いとして、赤のニンジン。それに青いニラを入れるつもりだったのが売り切れだったし、小松菜も高かったので、ピーマンを入れることに。
ピーマンを入れるなら、やはりあらかじめサッと炒めたのを最後に加えるようにして、シャキシャキとした歯応えを残したいところだ。
コクが担当の玉ねぎも、ピーマンといっしょに炒めて歯応えを残すようにする。
それから、黄色い色と歯応えのタケノコ。水煮のタケノコは、保存容器の中に水にひたして冷蔵庫に入れておけば、1週間くらいは軽くもつ。
あとは、これは完全に歯応えのみが担当の、プリプリとした木クラゲ。それにだしに使う干し椎茸と、肉は豚肉で、具は決定とした。
中華屋などで、ここに「もやし」が入ってくることは多いと思う。でも中華屋がもやしを使うのは、安くカサを増やせるからではないかと思う。
白菜をたくさん入れれば、もやしの色も食べ応えもほとんどカバーできてしまう。
もやしは悪くなるのも早いし、白菜を買うのなら、もやしは買わないのがおすすめだ。
入れる具の数が増えると、その分、切ったり下ごしらえしたりする手間も増えてしまうことになる。でもこれは1つは、料理は「楽しみ」としても捉えることができるのだから、酒でも飲みながらのんびりやるのがおすすめなのだ。
その際、火を強くしないことは大きなポイント。
火を小さくしてゆっくりと炒めれば、フライパンを火にかけながらその都度野菜を切ったりできるから、作業はそれほど面倒とも感じない。
麺は、スーパーで売っている袋入りの「ゆで麺」を使った。
生麺を自分でゆでた方がうまいかとは思うのだが、それは今後の課題とする予定。
まずは干し椎茸と木クラゲをもどす。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ (2カップのだしが取れる)
- 干し椎茸(中) 3枚 (サッと洗う)
- 乾燥木クラゲ 3個 (サッと洗う)
を入れ、フタをして中火にかけて、煮立ったら火を止め、15分くらい置く。
ピーマンと玉ねぎを炒める。
フライパンにサラダ油・大さじ2分の1を入れて中火にかけ、よく温める。
まず玉ねぎ・4分の1個(1センチ幅くらいのくし切り)を30秒くらい炒め、ほぐれてきたら、ピーマン・1個(1センチ幅くらいに切る)を入れて、さらに30秒ほど炒め、皿にとり出す。
ピーマンと玉ねぎは歯応えも担当するから、炒め過ぎないようにするのが大切。
あらためてフライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 赤唐辛子 1本 (ヘタを取ってタネを取りだし、小さくちぎる)
を入れて弱火にかけ、ニンニクがきつね色になってくるまでじっくり熱する。
豚コマ肉・100グラム(酒・小さじ1と塩・小さじ4分の1、コショウ少々をやさしくもみ込み、片栗粉・小さじ1をまぶしておく)を入れて、さらに弱火でじっくり炒める。
豚肉の色がほぼ変わったら、
- 白菜の芯 2~3枚 (1~2センチ幅のそぎ切りにする。そぎ切りは味がしみ込みやすくなるため)
- 白菜の葉 同上 (ざく切り)
- ニンジン ほんのちょっぴり (2~3ミリ厚さに切る)
- 水煮タケノコ 4分の1個 (2~3ミリ厚さに切る)
- もどした干し椎茸 3枚 (石づきの先端だけ落として1センチ幅くらいに切る)
を加え、強めの弱火くらいにして、2~3分、白菜がややしんなりとして全体に油がからまるまで炒める。
中火にして、
- 干し椎茸のもどし汁 2カップ
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口醤油 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1
を加え、煮立ったら弱火にし、白菜がしんなりとしてくるまで、1~2分煮る。
ここで醤油が「薄口」であるのが肝心なのだ。濃口醤油を使うとまったくちがう味になるので、注意が必要。
- 中華ゆで麺 1袋 (鍋の片側に入れるとよそいやすい)
- もどした木クラゲ 3個 (食べやすい大きさにちぎる)
を入れて、中火にし、再沸騰してくるまで1~2分煮込む。
きのうは中華麺2袋を入れたのだが、やはりそれでは多すぎて、汁を吸われすぎてしまった。
煮立ってきたら、
- 片栗粉 大さじ1
- 水 大さじ1
の水溶き片栗粉を、スプーンで混ぜながら加えてトロミをつける。
- 皿にとり出しておいたピーマンと玉ねぎ
- 粗挽きコショウ わりとたっぷり
- ゴマ油 小さじ1
を加え、ひと混ぜして火を止める。
どんぶりにまず麺をよそい、上から具と汁をかける。
これは、うまい、、
麺がスープの味を吸い、さらにトロミをまとったのは、たまらない。
具をこれだけたくさん入れると、やはり見た目も食べ応えも豪華になるのは、手間をかけただけの価値はあることだ。
麺類にする欠点は、とにかく酒が進むこと。
おかげで麺類が続いていることのところ、飲み過ぎに拍車がかかるようになり、真剣に悩んでいる。
「別に悩んでいないよね。」
そうだよな。