昼は嵐山で桜を見ながら酒を飲み、夜は買ってきた森嘉の豆腐で湯豆腐をした。
嵐山は昼酒をするには最高なのである。
郡山から帰ってきたら、京都の桜がまさに見頃をむかえているわけで、これは仕事などしている場合ではないだろう。
早速嵐山へ花見に行った。
京都は花見をするには山ほど名所があるわけだが、酒を飲むなら嵐山である。
奥まった場所に茶屋があり、観光客もそれほど来ないから、景色を眺めながらのんびりできる。
それからブラブラと散歩して、森嘉の豆腐を買ってかえって、家で湯豆腐をするのをぼくは基本コースとしている。
嵐電嵐山駅を降りたら左へ行き、渡月橋をわたらずに川沿いを右に進む。
すぐに川べりに茶屋が見えてくるのだが、それは通り過ぎ、ボート乗り場も通り過ぎ、さらに川沿いを進んでいくと、本当なら川岸に停められた黄色い手こぎボートが見えてくる。
それを漕いで対岸に渡ったところにある「琴ケ瀬茶屋」が穴場中の穴場であり、わかりにくい場所にあるために、いつもお客さんはほとんどいない。
でもきのうは、まだ風も強く寒かったからだろう、完全なオープンテラスのこの店は本営業になっておらず、もう少し暖かくなってからの楽しみとすることにした。
それで入ったのは、琴ケ瀬茶屋のちょうど向かいあたりにある「亀山家」。
一階はオープンテラス、2階は座敷となっているこの店も、十分奥まった場所にあるからいつもわりと空いている。
きのうも2階の座敷はほかのお客さんは誰もいなくて、ぼく一人の貸し切りとなった。
窓からは対岸の山が一望できる。
桜の木もぽつぽつとあり、それを遠くに眺めながら酒を飲む。
たのんだのは、まずおでん。
それから湯豆腐。
ここは酒の肴はあとはニシン姿煮があるくらいで、大したものはないのだが、べつに十分気分はいいからそれでいい。
カップ酒を2杯飲み、散歩に出かけることにした。
まず向かった先は、「嵯峨豆腐森嘉」。
嵐電嵐山駅をでて右へ行き、清涼寺のどんつきをさらに右に少し行ったところにある。
湯豆腐むきのやわらかめの木綿豆腐「ソフト木綿」はこの店が初めてつくったのだそうで、京都を代表する豆腐の一つといえるだろう。
雑味が全くないすっきりとした味で、ツルツルといくらでも食べられる。
それから清凉寺。
額縁の桜は定番だ。
さらに桜と石碑、それに松。
これも定番中の定番だろう。
清凉寺をぬけ裏の出口から出て嵯峨野を歩く。
道沿いにところどころ植えられている桜を眺める。
嵯峨野は四条大宮から30分もかからずに来られるのだが、昔ながらの田園風景がひろがる何とも気分がいい場所だ。
家に帰って湯豆腐の支度をする。
きのうはほかに、生節とふきの煮付け、カマスゴと菜の花を肴にした。
支度をしながら森嘉で買った厚揚げを焼いたのを食べる。
中火にかけたフライパンでこんがり焼き、ショウガと青ねぎ、味ポン酢をかけるが、これがまた言うまでもなくうまい。
ふきは丸ごとのを買ってあった。
これを下ゆでしないといけないのだが、その手順にコツがある。
普通はふきを、まず鍋にはいる程度の長さに切り、下ゆでしてから筋をとる。
でもそうすると、短く切ってしまった分、筋をとる手間が増える。
しかし筋は、生のままでも問題なくとれるのである。
葉だけ落として長いまま、切り口の筋をつまむとピーッと下まできれいにとれる。
このやり方は、八百屋のご主人も推奨している。
筋をとったら、4~5センチの食べやすい長さに切り、ゆでる。
あとでどうせ煮るのだから、1~2分、固めにしておく。
下ゆでしたら、水にひたして冷蔵庫に入れておけば、2週間くらいは軽くもつ。
さてこのふきは、生節と炊き合せるのが定番の一つとなる。
鍋にだし昆布を敷き、生節とふきをいれたら、生節がかぶる程度の水を張る。
中火にかけ、煮立ってきたら、水が1.5カップなら、酒とみりん大さじ3、砂糖は少なめ大さじ1をいれ、3~4分、酒のアルコール臭さが飛ぶまで弱火で煮る。
しょうゆ大さじ3をいれ、ひと煮立ちさせたら火を止めて、フタをして30分ほどでも置いておき、ゆっくり冷やして味をしみさせる。
きのうは一味をかけて食べた。
しみじみとした春の味である。
それからカマスゴと菜の花。
カマスゴはフライパンでさっと焼き、菜の花はさっとゆでて水に取り、よくしぼる。
ショウガを添え、味ポン酢をかける。
そして湯豆腐。
たっぷりのだし昆布を入れ、煮立てないよう、ゆっくりとあたためる。
タレは味ポン酢でもいいけれど、きのうはみりん1にしょうゆ3。
ここに削りぶしと青ねぎをくわえ、鍋の昆布だしで割ってうすめる。
うまい豆腐を味わうなら、やはり湯豆腐が一番いい。
酒はぬる燗。
2合のみ、気分よく酔っぱらった。
「相変わらずのんきだね。」
ほんとだな。
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コメント
写真ステキですね?確か昨年の桜の写真もすばらしかったです。野方出身なんですね~(^.^)都立家政住人より。これからも応援しています。