普通にマーボーをつくり、豆腐のかわりに牡蠣を入れるという話。ドロリとしたピリ辛マーボーに、プリプリ牡蠣は最高の相性。
牡蠣は、今が一番おいしいときなのだ。年が明けて、本格的に寒くなるとともに身が肥えてくる。3月に入ってしまうと、身は肥えたままでも「味が濁ってくる」と、牡蠣の本場・広島の人はいう。
牡蠣は「海のミルク」といわれるほど、栄養が豊富なのだそうだ。代謝を促進する力も強く、食べた翌日は体がポカポカする。
寒い季節に食べるものとしては打って付けというわけだ。
牡蠣はまずは生か、殻のまま焼いたの、サッと湯がいたのなどを、青ねぎにもみじおろし、ポン酢で食べるのが、簡単だしうまい。広島の人も、牡蠣をガッツリ食べるときは、こうして食べることが多いと聞いた。
またもちろん、鍋もうまい。みそ味の「土手鍋」が有名だけれど、普通に水炊きにしてポン酢のタレで食べるので、文句がない。
ご飯のおかずにしようと思えば、まずは牡蠣フライとなる。あとはニラと一緒にオイスターソースで中華風に炒めたのもとてもうまい。
そして、このマーボー牡蠣。
これは、以前ツイッターで作った人がいるのを見た。ネットを検索してみると、広島の牡蠣屋がレシピを公開しているなど、それなりに知られた食べ方みたいだ。
たしかに牡蠣は、そのままではご飯のおかずになりにくい。豚ひき肉にピリ辛味のマーボーなら、それをうまく補ってくれそうだ。
それに「マーボーに入れるもの」という視点で考えてみた場合にも、牡蠣はいい。ひき肉にトロミがついた「そぼろあんかけ」であるマーボーは、豆腐やナス、それに大根・白菜などなど、やわらかいものに合う。
プリプリの牡蠣に、ドロリとしたピリ辛マーボー。考えただけでヨダレがでるという企画である
牡蠣は、「生食用」と「加熱用」がある。本当に生で食べるのでなければ加熱用のほうがうまい。
字面をみると何となく、生食用のほうが鮮度がよさそうな感じもする。でも実はそうではなく、加熱用のほうが活きがいいのだ。
牡蠣は菌を持っていることがある。そのため生食用では牡蠣を水揚げしてから数日間、きれいな水で飼って殺菌するのだ。
それに対して加熱用は、水揚げしたらそのまま出荷する。だから生食用は加熱用とくらべると身が痩せて、うま味も少なくなるそうだ。
加熱用でも、きちんと火を通せば殺菌される。「中心温度80度以上で1分以上加熱が必要」ということになっているから、2~3分煮れば十分だ。
ただし牡蠣は、それ以上煮てしまわないよう注意が必要。煮過ぎると身が縮まり、硬くなってしまうからだ。
マーボーは、じっくりと炒めていけばちゃんとおいしく出来るはず。
特にひき肉を、水気が完全に飛ぶまで炒めるのが最大のコツとなる。
だしは干し椎茸を使う。
鍋に、
- 水 1+2分の1カップ (1カップのだしが取れる)
- 干し椎茸(中) 1~2枚 (サッと洗う)
を入れ、フタをして中火にかけ、煮立ったら火を止めて15分くらい置いておく。
(時間がない場合には弱火で5分ほど湯がいてしまえば、だしのうま味は減るものの、それだけできちんと戻る)
牡蠣・100グラム(1パック)は、生食用なら水洗いすればいい。加熱用なら、片栗粉・少々を振ってもみ洗いし、そのあと水を2~3回替えてゆすぐ。
よく水を切り、片栗粉・大さじ1くらいをまぶしておく。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- 豚ひき肉 100グラム
を入れて弱火にかけ、スプーンで押しつぶしてほぐしながら5分ほど、水気が「ジュージュー」という音が収まってくるまでじっくり炒める。
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- ショウガ 1~2センチ大 (みじん切り)
- 長ねぎ 5センチくらい (みじん切り)
- 豆板醤 大さじ1
を加え、弱火で再び5分くらいじっくり炒め、味をひき出す。
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ2
- 薄口醤油 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1
- コショウ 1~2ふり
- もどした干し椎茸 (水気を切り、石づきの先端の部分を切り落として、みじん切りにする)
を入れ、さらに2~3分炒めて肉に味を含ませる。
干し椎茸のもどし汁・1カップを入れ、中火にし、煮立ってきたら弱火にもどして、2~3分煮て味をなじませる。
洗って片栗粉をまぶしておいた牡蠣を入れ、1~2分、サッと煮る。
中火にし、
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉をスプーンで混ぜながら入れてトロミをつける。(水溶き片栗粉は全部だと多いかもしれないから、様子をみて加減する)
- ニラ 4分の1把 (ざく切り)
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
- 粗挽きコショウ わりとたっぷり
を入れ、ひと混ぜして火を止める。
皿にたっぷりと盛って食べる。
これは、たまらん、、
なるほど、クセのある牡蠣とピリ辛マーボーは、味的にも相性はこの上ない。
「酒もご飯も死ぬほど進む」というやつだ。
酒は、焼酎水わり。
シメは、白めし。
言うまでもなくマーボー牡蠣にやられてしまい、きのうは激しく飲み過ぎた。
べつに「飲み過ぎよう」と決めて飲みはじめるわけではなく、結果として、毎日新しい気持ちで飲み過ぎているわけで、事故みたいなものなのだから、そうである以上おれに反省すべき点はなく、飲み過ぎるのは仕方ないのだ。
「事故でも責任は取るんだよ。」
そうだよな。