ニンニクを初めとする中華系調味料を使った、大根の豚そぼろあんかけ。醤油をしっかり利かせると、やさしい味になってウマイ。
大根は、日本では煮物にするのがやはり常道。中でもひき肉と煮てあんで閉じる「そぼろあんかけ」は、大根の代表料理の一つともいえると思う。
そぼろあんは、肉を使っていながらドロリとやわらかいのが身上。これを大根やカブなどやわらかく煮えるもので作れば、ホッコリとやさしい味になる。
ところでこの大根のそぼろあんかけ、中華料理でほとんど見ないのはなぜだろう。
中華料理でも、もちろんそぼろあんかけはある。「麻婆」だ。麻婆豆腐は、日本語に直せば「豆腐のピリ辛豚そぼろあんかけ」ということになる。
ところが中華料理では、麻婆豆腐や麻婆ナスはあっても、「麻婆大根」は見たことがない。大根餅はあるから、大根を使わないわけではないはずだ。
たぶんこれは、大根は下ゆでしないといけないし、煮込むのにも時間がかかるからではないか。中華料理は「スピード第一」を旨としている感じがする。
でももちろん家庭では、麻婆大根は作ったらいいのだ。作り方は麻婆豆腐とまったくおなじ。ただ豆腐のかわりに下ゆでした大根を入れれば、実においしい料理になる。
きのうはこの中華風・大根の豚そぼろあんかけ、麻婆ではなく、醤油ベースの味つけで作った。
といっても麻婆と入れる調味料はほとんどおなじで、豆板醤を少なく、醤油を多くするというだけの話だ。
中華料理は入れる調味料の数が多いから、そのバランスを変えるだけで、全くちがう味になる。
作るのは、難しいことは何もない。ひき肉から始まって、材料を順番にフライパンに入れて炒め、煮るだけ。
コツは、じっくり炒めることだと思う。ひき肉の水気をきちんと飛ばし、さらに肉に味をしっかりとつけてから煮るのが肝心だ。
中華料理では、ゴマ油や酢など、火を通しすぎると風味が飛ぶものは最後に入れる。実は風味が飛ぶものの一つとして、「醤油」もあるのだ。
なので醤油は、半量を使って煮込み、火を止める直前に半量を入れる。すると醤油の風味が立って、おいしい煮込み料理になる。
まずは大根を下ゆでする。
10センチくらいの大根を1.5~2センチ大のサイコロに切り、水か米のとぎ汁に入れて火にかけて、10~20分くらい、串がすっと刺さるようになるまでゆでる。
米のとぎ汁があれば使えば、大根に味がしみやすくなる。大根の皮は煮ればやわらかくなるので、べつにむく必要はない。
並行し、干し椎茸のだしを取る。
鍋に、
- 水 1+2分の1カップ (1カップのだしが取れる)
- 干し椎茸(中) 2~3枚
を入れ、フタをして中火にかけ、煮立ったら火を止めてそのまま15分くらい置く。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ2
- 豚ひき肉 150グラムくらい
を入れ、弱火にかける。
スプーンで潰してほぐしながら5分くらい、ひき肉から出る水気が「ジュージュー」と弾ける音が収まってくるまでじっくり炒める。
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- ショウガ 2センチ大くらい (みじん切り)
- ネギ (長ねぎなら5センチくらい、青ねぎなら1本のみじん切り)
- 豆板醤 小さじ1
を加え、4~5分じっくり炒めて風味をひき出す。
- 酒 大さじ2
- みりん 大さじ1
- 醤油(濃口) 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1
- コショウ 1~2ふり
- もどした干し椎茸 3枚 (汁気を絞って石づきの先端だけ落とし、みじん切り)
を加え、2~3分じっくり炒めて味を含める。
下ゆでした大根を水を切って入れ、2~3分、じっくり炒めて味を絡める。
- 干し椎茸のもどし汁 1カップ
を加え、中火にして煮立ったら弱火にもどし、5~10分じっくり煮る。
(ちなみに煮たあと火を止めて冷ませば、その間にさらに味がしみる。もし時間があるならそうするのがおすすめ)
弱火の中火くらいにし、
- 片栗粉 大さじ1+2分の1
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を、スプーンで混ぜながら入れてトロミをつける。
- ざく切りのニラ 3分の1把
- 醤油 大さじ1
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
- 粗挽きコショウ わりとたっぷり
を入れ、ひと混ぜして火を止める。
皿にたっぷりよそって食べる。
これは、ウマイ、、
しっかりとしたコクに、醤油の風味が利いている。
とがったところの全くない、ホッコリとしたやさしい味。
酒は焼酎水わり。
シメは、白めし。
大根のそぼろあんかけが酒に合うのは、知れたこと。
きのうもまた飲み過ぎてしまったわけだが、飲み過ぎるのは、おれの運命なのではないかと最近思い始めているのである。
「全然ちがうよ。」
そうだよな。