きのうは、焼きサバ。これは絶対に、京都流に豆腐と炊くべき。
「焼きサバ」は、以前から魚屋で見かけてはいた。
でも買ったことがなかったのは、「サバなど自分で焼けばいい」と思っていたからだ。
ところがきのう、魚屋の若女将に、
「これ、どうやって食べますか?」
と聞いたら、その答えに興味がわいた。
「炊くんですよ。玉ねぎとか、焼き豆腐とかと一緒に、、」
なるほど、「さすが京都だ」とおれは思った。
焼きサバは、北陸の海沿いなどでは焼きたてを売っていて、そのままむしゃむしゃ食べるそうだ。また上の焼きサバの包装に書かれている「お召し上がり方」のところには、
「レンジで温めて生姜醤油、ぽん酢などでお召し上がりください」
とある。
もちろん、脂が乗った焼きサバは、そうして食べたらうまかろう。しかし京都の人は、それをわざわざ手間ひまかけて、煮るのである。
「京都はだしの文化だ」と、つくづく感じる。新鮮な魚が手に入りにくかったからだろう、干したり、火を通したりした魚介類を、だしに使うやり方に長けている。
だいたい、だしの王道「昆布と削りぶし」がそういうものだ。それ以外にも、身欠きにしんや生利節なども、実にうまいこと煮物にする。
しかし、焼いたサバまで煮物にするとは思わなかった。
そこできのうは、若女将に教わった通りに「焼きサバと豆腐の炊いたん」を作ってみたわけなのだが、実にしみじみとする優しい味で、焼きサバは、絶対にこうして食べるべきである。
焼きサバに合わせるのは、玉ねぎか長ねぎと、焼き豆腐。
若女将に、
「しめじとかも入れてもいいんですかね?」
と聞いてみたら、
「それはちょっと、、」
とのことだったから、やはりネギと豆腐だけがいいようだ。
火を通した魚を煮る場合、「煮過ぎ」に気をつける必要がある。
パサパサになってしまうからで、短めに煮たら、あとは火を止め、冷ましながら味をしみさせるようにする。
フライパンに2カップの水を入れ、10センチくらいのだし昆布をあらかじめ浸しておく。
焼きサバは、刺してある串を抜き、頭を落として、骨にそってタテに割り、三等分くらいに切る。
昆布を浸しておいたフライパンに、
- 切った焼きサバ
- 焼きサバと同じくらいの高さに切った、焼き豆腐
- くし切りにした玉ねぎ
を、できる限りフライパンが一杯になるくらい入れる。
隙間が多いと、そのぶん水の量を増やさないといけないことになり、焼きサバのだしが薄まってしまうからで、キチキチに入れれば、水は2カップくらいで、ひたひた加減になるはずだ。
中火にかけ、煮立ってきたら弱火にし、落としブタをして2~3分煮てだしを取る。
ここで煮過ぎると、サバが出がらしになってしまうので気をつける。
2カップの水に対して、
- 酒 大さじ4
- 砂糖 大さじ2
- みりん 大さじ4
を加え、やはり弱火で落としブタをして2~3分煮、さらに醤油・大さじ4を加え、1~2分煮たら火を止める。
火を止めたらフタをして、最低でも30分くらいは置いて味をしみさせる。
皿に盛り、小口切りにした青ねぎを散らして、一味をかける。
「こ、これは、、うまい、、」
焼いたサバの香ばしい風味が豆腐にしみ、またそれが玉ねぎにもよく合って、たまらない。
あとは、梅干し入りのとろろ昆布吸物。
お椀にとろろ昆布と削りぶし、梅干しと青ねぎを入れてお湯を注ぎ、淡口醤油で味つけする。
万願寺とうがらしの焼いたん。
グリルで軽く焦げめが付くくらいに焼き、味ポン酢と削りぶし、一味をかける。
ナスの塩もみ。
皮をタテ縞に剥き、3ミリ幅くらいに切って、塩1つまみで揉み、10分くらい置いたら水洗いしてよく絞ったナスを、からし酢醤油で和え、ひねり潰したゴマをふる。
酒は、冷や酒。
飯を作る前と飯を作りながら、すでにしこたま飲んでいるから、飯を食べ始める時点では、ほぼ「ベロベロ」の状態になっている。ところが飯を食べ始め、それがまたうまいものだから、さらに酒が進むわけだ。
おかげできのうも、また記憶がなくなるくらい飲んでしまったわけなのだが、記憶などなくなったって、べつに損するわけでもなし、それでいいのである。
「早くボケるよ。」
そうだよな。
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