きのう食べたのは、「しめサバ丼」。
サバ寿司をつくるのが面倒なら、しめサバ丼をつくればいいのだ。
魚屋へ行くと、だいたいいつも、手前から奥までを、ひと通り見てまわる。
手前には、イワシだのスルメイカだの、比較的小さな魚と、あと大きな魚は切り身、あらなど、一般家庭で使いやすいのが並んでいる。
しかし奥へ入ると、甘鯛やらハモやら、そしてこの時期は「サバ」など、大きな魚がまるごと一本、「ゴロン、ゴロン」と置かれている。
サバに関しては、今シーズンはまだ、「やり切っていない」という想いがあった。
11月のサバの旬に入ったころは、
「今シーズンは、4~5回は、サバ寿司を作ってやろう」
そう思っていた。
何しろしめサバは、ぼくの一番の好物で、そのしめサバの一番おいしい食べ方といえば、やはり「サバ寿司」だからである。
ところがこの冬が、寒くて寒くて、あまりに寒すぎたものだから、「鍋」以外は食べる気がしなくなった。
おのずと、サバ寿司も作ることができず、旬も終わってしまったのだ。
大将には、先日、
「まだ大丈夫ですよね?」
と確認していた。
旬のまっ盛りではなくても、まだそこそこ脂が乗っているうちに、サバ寿司を作りたいとは思っていたからだ。
しかしおととい、サバを眺めに行ったぼくに、大将が耳打ちした。
「そろそろ子を持ってきちゃいましたよ、、、」
これが何を意味するかといえば、魚は産卵すると、一気に脂が抜けてしまう。だから、
「しめサバを作るなら、今のうちですよ」
ということだ。
これは、のん気にしている場合ではないだろう。
「急がねば!」
そこでサバ1本、950円を、大将に3枚におろし、塩をふってもらい、持ち帰ってきたのである。
しめサバは、魚屋で3枚におろし、塩をふるところまでやってもらえば、あとは拍子抜けするほど簡単に、誰でも作ることができる。
手順を守れば、まず失敗することもない。
塩をふったサバは、冷蔵庫に5時間おく。
おとといは、サバを買ったのがもう夕方だったから、朝までおいた。
塩がしみたら、水で塩を洗いながして水気をふき取り、酢に漬ける。
酢には、10センチくらいのだし昆布と、酢のカドを取るために、小さじ1くらいの砂糖をいれておく。
酢のつけ時間は、「3時間」。
これは外は白く、中はまだ赤みが残る、「レア」の状態にするための時間だ。
酢から出したら、酢をふき取り、皮を剥ぐ。
皮は、前の方の端を指でつまむと、簡単に剥がすことができる。
裏返すと、背骨のあったところに沿って、中骨がならんでいる。
中骨は、取るには越したことはないのだが、サバの骨は元々それほど硬くなく、さらに酢でやわらかくなっているから、ひっ張ってもすぐに折れてしまったりして、取ろうとすると、「死ぬか」と思うほどイライラする。
だから、真ん中あたりの、太いのだけ5~6本取り、あとは放っておいてかまわない。
骨があっても、ちょっとコリッとするくらいなもので、喉に引っかかったりはしないから、心配ない。
ここまでやったら、ラップに包み、冷蔵庫にいれて酢をなじませる。
数時間で食べられるが、「翌日」が一番の食べごろだ。
さてきのうの晩は、ここまでやって、そろそろ食べごろになっているしめサバが、冷蔵庫に入っていた。
あとは酢飯を炊いて、しめサバと合体させれば、サバ寿司ができあがる。
ところがきのう、仕事を終えたのが10時をすぎた。8時ごろから、のみながらやっていたから、すでに焼酎を3杯くらいのんでいる。
さらにそれから、のみながらツイッターをチェックしたりしていたら、「さて、そろそろめしを作るか」となったのが、12時近くになってしまった。
たっぷりのんで、すでに完全に出来上がっている。
「もう今から、サバ寿司をつくる気にはならないな、、、」
サバ寿司をつくるには、酢飯をこしらえたり、巻きすでサバと酢飯を合体させたり、ちょっとした手間がかかる。
酔っぱらいには、そういう作業は面倒だ。
「何かもうちょっと、サバ寿司的なものを手軽につくることはできないか、、、」
そう考えて、思いついたのが、「しめサバ丼」。
白めしの上に薬味をのせ、ぽん酢をたらりと、控えめにかけ回して食べるのである。
しめサバの食べ方として、京都で代表的なのは、「ショウガにぽん酢」。
丼にして、上から味ぽん酢をかけるようにすれば、それがご飯にしみて、ご飯がちょうと、酢飯的な味になる。
薬味は、まずは、青ねぎ。青ねぎは、しめサバにはとてもよく合う。
あとはゴマをひねり潰してかけることにした。
作るのは、一瞬だ。
サバは、ちょうどいい加減にシマっている。
これが、死ぬかと思うほど、ウマかった。
まずはしめサバがうまいことはあるのだが、それが、ぽん酢がちょっと、しみたご飯と、この上なく、よく合う。
サバ寿司をつくるのが面倒な場合には、非常におすすめなメニューである。
あとは、菜の花の吸物。
昆布と削り節のだし2カップに、
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 淡口しょうゆ 大さじ2
で味をつけ、まず細く刻んだ油あげ、それからシメジ、最後に菜の花をサッと煮る。
塩もみ玉ねぎのマヨ和え。
うすく刻んだ玉ねぎを、塩もみしてしばらくおき、水で洗ってよく絞り、ちりめんじゃことマヨネーズで和える。
それに、すぐき。
酒は、熱燗。
きのうもまた、大変うまい酒をのんだ。
食事の時は、ネットを見ないことにしたから、イライラすることもないのである。
「仕事はもうちょっと早くから始めなよ。」
そうなんだよな。
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サンマの次は「サバ」が控えているのである(サバ飯、ショウガ煮)