檀一雄流・梅干しの作り方(1) 漬込み編

梅干し 野菜料理

梅干しを作るというと、「手間がかかる」と思う人が多いと思う。しかし手間がかかるのは塩分濃度を下げるからで、檀一雄流に塩分30%で漬け込めば、カビは生えず、消毒などの手間が一切なくなる。

自分で作った梅干しは、愛着が湧いてカワイイものだ。さらに梅酢を存分に使えるのも、梅干しを作るメリットだ。

 

「日の丸弁当」からも分かる通り、梅干しは日本のおかずの中心的存在だ。これを自分の手で作ってみて、悪いことがあるはずがない。

しかし「梅干しは手間がかかる」と思っている人が多いと思う。たしかにネットなどのレシピを見ると、カビが生えるのを防ぐため、ずいぶんと消毒の手間がかかるようだ。

 

そこで檀一雄の出番である。檀一雄は著書『檀流クッキング』の中で、次のように書いている。

梅干だの、ラッキョウだの、何だか、七めんどうくさい、神々しい、神がかりでなくちゃとてもできっこない、というようなことを勿体ぶって申し述べる先生方のいうことを、一切聞くな。檀のいうことを聞け。

梅干だって、ラッキョウだって、塩に漬ければ、それで出来上がる。嘘じゃない。

『檀流クッキング』は、おれにとってはバイブルのようなものである。その檀一雄に「おれのいうことを聞け」と言われれば、「はい、わかりました」と答えざるを得ないのだ。

 

要は梅干し作りが「七めんどうくさい」ことになるのは、塩分の濃度を下げるからなのである。いまは15%くらいで漬けるのが普通になっていると思うが、それだとカビが生える可能性がある。

カビを予防するために、梅や器具をすべてきれいに消毒し、さらにビニール袋で包んだりして菌が入り込むのを防がないといけない。

梅干し作りに手間がかかるのは、このカビ予防のための作業なのだ。

 

ところが檀一雄は、塩分を30%で漬ける。これならば、カビが生えることはない。

だから漬け込み作業は本当に、「塩に漬ける」だけであり、簡単なことこの上ない。

あとから赤じそを加えたり、天日干ししたりの作業はあるが、全体として手間は激減するのである。

 

自分で作った梅干しは、愛着が湧いてカワイイものだ。たしかに30%の塩分だとちょっと塩っぱいが、食べる時に水で洗ったり、それでも塩辛ければ塩抜きすればいいのだから、問題はまったくない。

梅干しは、本来保存食なのである。「保存に耐える」ことを第一に考えるのが正しいのであり、あとのことは二の次だ。

 

いままさに、梅のシーズンとなっている。

この機会に梅を2キロばかり買い、さらに漬物用のバケツと重石を買って、梅干しを漬けてみるのはおすすめだ。

 

梅干しは、売っているのはまだ青いと思う。

梅干し

これを3~4日常温の部屋に置き、赤みがかった黄色になるまで熟成させる。

青いままでも漬け込めるが、熟成させればさせるほど、仕上がりが柔かくなるそうだ。ただし表面に茶色い斑点が出てきたら「限界」を意味するから、すぐに漬けてしまわなくてはいけない。

 

青い状態の梅を漬ける場合は、一晩水に浸け、アク抜きするのがいいようだ。しかし熟成したのはその必要がないから、水で洗ってそのまま漬けてしまえばよい。

梅干し

一応ヘタは、竹串でとり去った。でもこれは、「やればていねい」という話であって、やらなくても問題ない。

 

塩分30%だから、2キロの梅にたいして塩は600グラム。

梅干し

 

洗った梅と塩をバケツに交互に入れながら、まぜ合わせていく。

梅干し

 

最後に中ぶたをして、重石をのせる。

梅干し

重石は2.5kg。重石の重さは、「途中で重石を減らす」と「増やす」と、両方の説があるから、まあ梅の重さと同じくらいでいいのである。

 

あとはこのままフタをして、台所の隅に置いておく。

次の作業は、赤じその季節になったら、それをまぜ込むこととなる。

 

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