いい飲み屋が近くにあるのは「ありがたい」ものなのだ

京子 京都・大阪の飲食店

きのうは、京都大宮・酒房「京子」で食事をした。

京子

いい飲み屋が近くにあるのは、なんとも「ありがたい」ものなのだ。

 

 

きのうは、晩めしに何をつくるか考えても、まったく思い浮かばなかった。

はじめに考えたのは夕方で、ちょっと前に昼めしを食べたばかりだったから、まだ腹が減っておらず、そういう時は食べたいものが浮かばないのはいつものことだ。

「仕事が終わってから考えよう」

としたのだが、夜9時に仕事を終えても、まだ腹が減ってこなかった。

 

昼に食べたのは、おとといの残りの鶏大根。

鶏大根のうどん

いつもと比べて、量が多かったわけでもない。

 

腹が減っていないのなら、めしを食わなければ良さそうなものではある。

でも腹が減っていなくても、「酒は飲みたい」と思うわけで、酒は、飲めば腹も減ってくる。

飲みはじめる時点で何を食べたいのかわからないから、買い物にも行けず、といって後から腹が減ってくるのだから、食べるものは、ないといけない。

「これは、神様が、『きょうは自炊するな』と言っている、、、」

ぼくは悟った。

大宮の飲み屋にも、ちょっとご無沙汰していたから、ちょうどいい。

 

行く店は、「京子」にした。

京子以外の店の場合、食べるものは決まっている。ほとんどの店はそうなわけで、「焼きそば」とか、「パスタ」とか、「串揚げ」とか、店に入る時点で、食べるものを選んでいないといけない。

でも食べたいものがわからないのだから、食べるものでは店を選びようがない。

店に入る時点で食べるものを選ばなくていいのは、「京子」だけなのである。

 

京子には、メニューがない。席に座ると、女将が勝手に、食べるものを出してくる。

といって、「その日のコース」が決まっているのでもない。

仕込んであるものは別として、

「あとは、お客さんの顔をみて、それから出すものを考えるのよ」

とのことだ。

女将がこちらの腹の具合を察してくれるし、「あまり腹が減っていない」とか、「腹にたまるものが食べたい」とかの注文には、できる範囲で対応してくれるから、食べるものを決めずに店に入っても、そのときの気分にピッタリとしたものが、自動的に食べられるのだ。

 

扉を開けると、

「きょうは買い物へ行けなかったから、あまり食べるものがないんだけど、、、?」

とのこと。

でもこちらも、あまりお腹が減っていないのだから、ちょうどいい。

 

まずビール。

京子

出てきたツマミは、じゃこの酢の物、それにホタテの入ったもずく酢で、腹が減っていないときに食べるにはちょうどいい。

 

しばらく待つと、かしわを甘辛く照り焼きにしたのが出てきた。

京子

一味と、挽きたての山椒がたっぷりかかり、これがまた食欲がわく。

 

それから次が、

「さすがシャレている」

と思ったのだが、焼き豆腐。

京子

かしわを焼いた脂を使ったそうで、甘辛い味がコックリとしみている。

 

かしわと豆腐があるわけだから、それを合わせて1品にすれば、「鶏すき」になるだろう。

でもそれをわざわざ分け、かしわと豆腐、それぞれを主役に2品にするのが、まったく心憎いところである。

 

テレビでは、「報道ステーション」がかかっている。

京子

沖縄は辺野古の海に、米軍基地建設のため、国が巨大コンクリートブロックを沈めて、サンゴが破壊されているというニュース。

辺野古では、市民がカヌーで海に漕ぎ出し、必死の抵抗をしているが、海上保安庁の職員がそれを力ずくで排除して、ケガ人もでているとのこと。

「まったく、ひどい話だな、、、」

そう思いながら、酒を飲む。

 

その頃には、酒は、熱燗。

京子

 

切り干し大根の煮たのもでてきた。

京子

 

女将には、

「最後にうどんを出してほしい」

と、伝えてあった。

「しいたけと煮よう」と考えていてくれたみたいなのだが、食べおわった焼き豆腐の鍋をみると、うまそうな鶏の脂がまだ残っている。

それで、

「この脂を使って焼きうどんにしてもらえてもいいかも」

と頼んだら、急遽、その通りにやってくれた。

京子

油あげとほうれん草が入り、また実にうまかった。

 

熱燗は2合飲み、そのあとは焼酎水割り。

京子

 

「あとは自分でやってね」

と言い残し、女将は席にすわって、韓国ドラマを見はじめる。

京子

 

テレビを見ながら酒を飲む、家族がいる人にとっては、何てことない、当たり前の日常。

しかしひとりで暮らす者にとっては、なかなか得がたい、貴重な時間。

 

「神様は、『これを味わいなさい』と言っていたのだろう、、、」

ぼくは思った。

 

静かな、居心地いい時がすぎ、韓国ドラマが終わったから、お勘定をして家に帰った。

 

お腹もふくれ、酒も十分。

歯をみがき、そのまますぐに布団に入った。

 

「いい店が近くにあってありがたいね。」

チェブ夫

ほんとにな。

 

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