京都ラーメン界の両横綱・「第一旭」と「新福菜館」が、京都駅からほど近い、高倉通塩小路を少し下がったところにある。しかしこの両店は、なぜ隣り合わせることになったのか。第一旭のほうが後にできたわけだから、たぶん元々新福菜館があったところの隣に、第一旭がお店をオープンしたのだろう。
両者は友好的に話をしたのか?「仲が悪い」という話は聞かないから、隣同士で仲よくやっているものと見える。
韓国などでは、まったくおなじ業態の店が隣り合わせで並ぶことはよく見かけるが、日本では珍しいから、この両雄あい並ぶ姿は興味深い。
それはいいとして、京都で初めてラーメンを食べる人が、このどちらに入るかについては、「第一旭をおすすめする」と以前にも書いたとおりだ。
第一旭は、数ある京都ラーメンのなかから「一つを選ぶ」といえばこれになるという、京都の代表的なラーメンだ。初心者にもわかりやすい味の作り方がされていて、もちろん好みはあるとしても、食べて後悔することはないと思う。
ただし第一旭は、並ぶのだ。行列の長さはいつも新福菜館より長い。といっても20~30分くらいなものだが、「それも耐えられない」という人もいると思う。
僕は今日、第一旭に、午前10時40分に到着した。朝めしを食べに来たのである。朝めしを食べるために、わざわざバスに15分ほど揺られてくるのもそうそうはないのではないかと思うが、この第一旭のラーメンは、そこまでしても食べる価値がある。
そうしたら、並んでいるのは一人だけだった。
つまり午前中は、店内は満員になっているとはいえ、そこまでの行列にはならないのだ。また午後2時~5時くらいの時間帯も、それほど人は並んでいない。
「そんな時間に腹は減らない」と言うかもしれない。しかしそれは、間違っている。もし第一旭の行列が嫌ならば、行列しない時間に合わせて腹を減らすべきなのである。
まずビール。
第一旭は餃子もうまいから、朝であってもやはりビールは欠かせない。
そして餃子。
餃子が到着するのが遅れたから、仕方なくビールは2本飲んだ。
ここの餃子は、皮はカリッと焼かれていて、中はやわらかいタイプ。ビールのアテには最高なのだ。
そして「特製ラーメン」。
しかも、ネギ多め。
特製ラーメンはひとことで言えば「大盛り」で、ではなぜ大盛りと言わないのかといえば、通常大盛りといえば麺とスープだけが増量されるものであるところ、第一旭はチャーシューも増量されてくるからだ。
これに「ネギ多め」指定をするのが、第一旭でもっとも注文すべきメニューとなる。
大盛り指定で増量されるネギの量は、まじでスゴイ。
ちなみにこちらは通常指定。
ネギ多め指定をすると、「これでもか!」というくらいにネギが入ってくるわけで、しかも九条ねぎも安くないのに、値段はおなじ。
ここに京都ラーメン人の心意気を見るのである。ネギをたっぷり入れることで、豚肉との相乗作用が発揮され、疲労回復・滋養強壮効果が高くなる。
京都の労働者は、このラーメンを食べることで体力をつけてきたのだろう。第一旭は労働者の味方なのだ。
しかしビールを2本も飲んでのんびりしてしまったものだから、ラーメンが到着したのは、次の用事で電車に乗る20分前だった。
大急ぎでラーメンを食べ、駅へ走って、電車になんとか間に合った。
駅へ向かって走りながら、何だか涙が止まらなかった。
第一旭のラーメンが、あまりにもウマかったのだ。