京都駅前「新福菜館本店」はマズイの?!グーグルサジェストに「まずい」が出る理由

新福菜館本店 ラーメン 京都・大阪の飲食店

行列ができるラーメン屋の一つである、京都駅前「新福菜館本店」。戦前に創業された、京都でいちばん古い店だ。

この新福菜館、グーグルで「新福菜館」と入力し、スペースを1つ空けると、「京都」「本店」「天神川店」など店の所在地をしめす言葉のほかに、「まずい」と出てくる。

え!?どういうこと?新福菜館ってまずいの??

いえ、新福菜館は決してまずくありません。でもこのグーグルの検索に「まずい」と出てくることは、この店の性質をよく示していると思うのだ。

 

グーグル検索するときに言葉が色々出てくるのは「グーグルサジェスト」と呼ばれるもので、入力した言葉と関連が深い言葉を、グーグルが自動的に予測して表示している。この予測は、他の利用者が多く入力した言葉が反映されているそうだ。

ということはこの場合、「新福菜館」という言葉につづき、「まずい」と入力する人が多いことを意味する。これはどういうことなのでしょう?

 

新福菜館のラーメンは、他のラーメンと大きくちがう。

ラーメンは戦後になって、味の骨格が完成した。化学調味料を使うようになったのだ。本来は相性が悪い動物のスープとしょうゆの味を、化学調味料はうまくつなぎ合わせる役目をする。

老舗のラーメン屋のなかには、化学調味料を「サーッ」と音がするかと思うほど大量に入れるところもある。「ラーメンは化学調味料」の味であり、そのイメージはインスタントラーメンでさらに強化されたと思う。

比較的最近のラーメン屋は、化学調味料のイメージが悪くなってきたことから、化学調味料のかわりに魚介だしを使うところもある。化学調味料のグルタミン酸は昆布の成分、イノシン酸は魚の成分だから、魚介ダシも化学調味料と同様、動物性スープとしょうゆをつなぎ合わせる作用がある。

 

ところが新福菜館本店は、戦前の創業で、そのときに作った味をいまも変わらず出している。だから化学調味料も魚介だしも使われておらず、豚骨スープとしょうゆはケンカしたままなのだ。

いわゆる「ラーメン」の味がしないから、はじめて新福菜館本店のラーメンを食べて「おいしい」と思える人は少ないのではないかと思う。

それでたぶん、

「このラーメンは本当にウマイのか?実はマズイのではないか?」

と思い、新福菜館が「まずい」と言っている人を探そうと、「新福菜館 まずい」と検索するのだと思う。

 

新福菜館本店 ラーメン

 

でも新福菜館本店が本当にマズイのなら、行列ができているわけはない。戦前のラーメン屋でいまでも残っている店は、全国的にも少ないわけで、新福菜館本店は風雪に耐えるだけの魅力を備えていることになる。

その魅力が何なのかはここでは敢えて言わないですが、新福菜館のラーメンは奥が深いのだ。だから一度で「ウマイ」と思えなかったからといって「マズイ」と決めず、何度か食べてみるのがおすすめだ。

するとそのうち、新福菜館の魅力に取りつかれ、中毒になっている自分に気づくはず。

そしてもはや、新福菜館なしでは生きていかれないようになるのだ。

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