きのうは大阪でのカウンターのあと、十三・あらい商店で牛スジカレーを食べた。このカレー、牛すじのリッチなコクに、強めのスパイス、フルーツの甘味もあって、さらにオムレツとキムチがよく合い、大変うまい。
約1年前まで、デモには一度しか参加したことがなく、完全に「ノンポリ」だったおれが、今ではこうしてデモやら、カウンターやらに参加するようになっているのは、煎じつめていえば、「責任を感じているから」だ。
いま日本は極端に右傾化し、戦争法案も可決され、自衛隊を戦地へ送る準備がされている。マスコミへの弾圧も程度を増し、物言えばくちびる寒し、まさに戦前のような時代に急速に近づいている。
そんなことは、30年前には考えられなかったことだ。
でもなぜ、30年のあいだにこんなことになってしまったのかといえば、おれたち上の世代が、まさにノンポリ、政治のことを何も考えず、何もしてこなかったから。
バブルに浮かれ、バブルが終わったあとも、バブル時代のやり方から抜け出せず、ここまで来てしまったからだ。
そのことに、3.11の福島原発事故を境に、気がついた。それ以来、悪化の一途をたどる政治・社会状況を見ながら、せめて太平洋戦争敗戦のような、最悪の事態は避けないといけないと、1年前から、運動に参加するようになった。
安保法制や維新にたいする反対デモは、まさにそれと直結するし、人種差別団体も、現政権が水面下でそれら団体を煽っていて、カウンターも、そのための具体的な行動だと思っている。
ただ、そのような運動は、山ほど行われている。そのなかで、おれが「カウンター」を中心に運動に参加しているのは、カウンターが、ひとこで言えば「居心地がいいから」だ。
目的以外の余計なことが、最低限ではないかと感じる。
おれなんかの世代だと、社会運動にたいしては、「アレルギー」を持っている人も多いと思う。学生だった頃は、学生運動は下火になり、中核派などの過激派だけが、内ゲバなどをくり返していた時代。
また労働組合系の運動も、あまりイメージが良くなかった。運動家は組織のために、甘言を弄する印象で、運動の現場へ行けば、勧誘されるのではないかと怖かった。
しかしいまの、カウンターを中心とした新しい運動は、そのようなことは、まったくない。運動は「非暴力」を徹底していて、警察とムダに揉めることも少ない。
組織への勧誘も、一切ない。というか、組織自体がもともとない。
現在のカウンターには、いちおう「C.R.A.C(対レイシスト行動集団)」という組織がある。これは東京に本部があって、全国に支部もある。
ただこの組織、情報集約のキーステーションと、警察などとの不測の事態にたいするバックアップが目的の中心で、メンバーは、とても少ない。関西には、4~5人なのではないだろうか。
カウンターに集まってくる人間は、あとはすべて、組織とは関係なく、ツイッターを見ている。カウンターをするのに必要な情報は、すべてツイッターに公開される。
なのでカウンターは、参加者をたばねる組織自体が必要ないから、自然、組織にたいする勧誘も、ないのである。
多くの人は、カウンターへ来て、やることをやって、そのまま帰る。カウンターのメンバー同士、よっぽど仲が良ければ別として、挨拶もたいしてしない。
「ドライ」といえば、非常にドライ。
でも余計なことがない分、面倒もないわけだ。
何かをやろうと思うと、人間関係なしにはできない場合も多い。その人間関係が、たまたまいいものなら幸運だが、変な人間関係に巻き込まれると、面倒を背負い込むこともある。
カウンターは、そのような心配は、まったくない。
人間関係は、自分から希望するのでない限り、ツイッターさえ見ていれば、まったく関わらなくても問題ないのだ。
おれは、カウンターが終わったら、気の合う人とは飲んだりする。
でもそれは、あくまでその場の流れであって、カウンターの前からそのあとの約束をするようなことは、ほとんどない。
というわけで、きのうは大阪で、在特会の差別デモにたいするカウンターがあった。
デモは1時間あまりで終わり、そのあと、十三にある「あらい商店」へ流れた。
あらい商店は、まずは出てくる料理がうまい。しかも店主も、カウンターやデモに参加するから、カウンターのあとで行くには、話がしやすいということもある。
とりあえず、ビール。
カウンターの仲間と2人で連れ立って行ってみたら、やはりカウンターの参加者が2人、すでに来ていて、さらにあとから1人来た。
まずは、キムチ。
あらい商店は、もともとはキムチ屋をやっていたのだそうで、キムチは言うまでもなくうまい。
それから、ホルモン串焼き。
おまかせで5本頼んだ。
どれも、やわらかくて、味がある。ホルモンには、やはり酒は、チャミスルが合う。
そして、きのうはこれが目当てだった。
牛すじカレー、オムレツのせ。
あらい商店は、最近でこそ、新メニューの鍋が人気。でももともとは、この牛すじカレーが人気料理の筆頭だ。
もちろん、大将が一から仕込む。牛すじのリッチなうまみに、スパイスが強めにきいて、さらにフルーツの甘みもある。
このカレーに、オムレツ、さらにキムチが、この上なく合うわけで、これは毎日食べても、飽きない気がする。
さらにきのうは、裏メニューの期間限定、サッポロ一番・塩ラーメン。
サッポロ一番は、関西では、圧倒的に「塩」だそうだ。
これを卵で閉じで、水菜の刻んだのがのせてある。
カレーの辛みが口に残っている、その後のフィニッシュとして、このさっぱり塩ラーメンは、最高だ。
きのうもこれを食べ、酒はいつもどおり飲み過ぎて、家に帰った。
もう疲れたから、9時に布団に入ったら、なんと起きたのは、今朝10時。
カウンターは、人種差別主義者の悪意にさらされるから、どうしても神経が疲れるのだ。
でもそれも、これだけ寝れば、さすがに取れた。
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