きのうは、マーボーかぶ。中華風・かぶのピリ辛そぼろあんかけになるわけで、ホクホクのかぶがたまらないっす。
今さら言うまでもないことだが、きのうもまた飲み過ぎた。毎日、規則正しく飲み過ぎているのである。
おれがここまで毎日飲み過ぎられるのは、料理を考えながら、および作りながら、飲むのが大きいのではないかと思う。
これがまた、ウマイのだ。
まず食事前だから、腹が減っているということがある。空きっ腹で飲む酒は、うまい。
さらに酒を飲んでいると、アルコールを分解するために、体内の栄養が消費されるからだろう。飲むほどに腹が減ってきて、酒がなおさらうまくなる。
しかし料理前、および最中の酒は、単に空きっ腹で飲むにとどまらない。
「食べたいもの」を妄想しながら飲むわけだ。
よく「料理の写真を見ながら酒が飲める」という人がいる。これがご飯なら、写真はおかずにはならないだろう。酒だから、肴になる。
酒の醍醐味は、やはり「妄想」にこそある。社会で生きるための鎧を脱ぎ捨て、本能が解放されて、あらぬことをあれこれ思い浮かべるからこそ、酒はたのしい。
その本能にとって、食べることこそ最重要課題であるだろう。本能は、まずは物を食べるために存在する。
してみると、酒を飲みながら本能が思い浮かべる妄想として、「食い物」ほど打ってつけなものはなのである。酒が食い物の妄想をかき立て、妄想が浮かぶほどに気分が高揚して、酒がまたうまくなる。
「黄金のループ」ともいえるのだ。
このループにハマると、努力せずともいくらでも酒が飲める。
おれが毎日規則正しく、料理を考えながら2~3杯、しながら5~6杯飲めるのは、このループのおかげなのだ。
さてきのう、妄想に妄想を重ねて作ったのは、「マーボーかぶ」。
マーボーの気分だったのだ。ただし入れるのは、夏野菜で体を冷やすなすではなく、冬らしいものにしたいと思った。
そう考えながらスーパーへ行くと、かぶが目についた。
かぶは、今がまさにシーズン。7~8センチもあるデカめのが、けっこう安く売られている。
と、そのとき、
「マーボーかぶは、絶対うまい」
おれは気づいた。
かぶの代表料理の一つとして、「そぼろあんかけ」が挙げられる。ホックリとやわらかく煮えたかぶに、そぼろあんが纏わりついているのは、冬の食べ物として最もうまいものの一つだ。
考えてみればマーボーは、「中華風ピリ辛そぼろあんかけ」なのである。
それで実際に作ってみると、このマーボーかぶ、またマーボーのピリ辛味がかぶによく合い、たまらないうまさだった。
作り方も簡単だし、
「冬のマーボーは、かぶだ」
と、おれは主張したいところだ。
マーボーは、マーボーなすを作るのと全くおなじでかまわない。
マーボーなすの場合だと、なすはあらかじめ揚げておくが、かぶは事前に揚げたり、下ゆでしたりする必要は一切なく、そのまま入れてしまって問題ない。
かぶを料理につかう際のコツは、皮をとにかく厚くむくこと。
それからかぶが小さめの場合には、煮過ぎると一気に溶けてしまうから、煮時間の確認だけは、慎重におこなうことが必要だ。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ゴマ油 大さじ1
- 豚ひき肉 150グラム
- みじん切りにしたニンニク 1~2かけ
- みじん切りのしょうが ニンニクとおなじ量
- 豆板醤 小さじ2
- 赤出しみそ 大さじ1
を入れ、中火にかける。
スプーンで押しつぶしてほぐしながら、5分くらい、水気がパチパチはじける音が収まってくるまでじっくり炒める。
厚く皮をむき、大きさによって6~8等分のくし切りにしたかぶ・1~2個と、ざく切りにしたかぶの葉を加え、さらに軽く炒めて油をからめる。
- 水 1カップ
- みりん 大さじ1
- 淡口醤油 小さじ1~2(味を見ながら、うすめにしておく)
- コショウ 1振り
を入れて、フタをして、弱火で5~10分、竹串でかぶの硬さを確かめながら煮る。
かぶがやわらかくなったら中火にし、
- 片栗粉 大さじ1
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を、スプーンで少しずつ入れては混ぜ、しながらトロミをつける。
最後に、酢・小さじ1をまわし入れて、火を止める。
皿に盛り、青ねぎをかける。
やわらかく煮えたかぶに、ピリ辛のマーボー。
酒も、さらに進んでくれるのだ。
あとは、わかめスープ。
わかめと、頭とわたを取った煮干し、それに1かけのニンニクを、酒少々をふりいれた水で、20~30分、わかめがトロトロになるまで煮る。
塩とみりん、淡口醤油、コショウそれぞれ少々で味をつけ、おわんに装って青ねぎとゴマをふる。
それに、白めし。
酒は、焼酎の水わり。
きのうも飲み過ぎたため、きょうはまた、酒が残って気持ちわるい。
しかしそのくらいのことに音を上げているようでは、酒飲みは務まらないのだ。
「がんばって。」
そうだよな。
◎関連コンテンツ