きのうは豚のしょうが焼き。これにニンニクを入れると、味が一気にリッチになって、たまらないのだ。
豚のしょうが焼きは、豚汁と並んで日本を代表する豚肉料理。
でもこの豚のしょうが焼き、ふつうにしょうゆと酒、みりんだけで味をつけると、「一味足りない」と思わないか?味の大事なところにボコンと空洞が空いているというか、コクが足りないというか、、、
これは「日本の豚肉料理の味」の特徴であるともいえると思う。古手のラーメンも、そういう味の空洞がある場合がある。
その足りないところが、また「愛おしい」という気持ちにつながるわけで、これは決して「悪い」というわけではない。
しかしその空洞の原因を究明し、空洞を埋めてみるのも、また悪くない。
その原因とは、ひとことで言うと「ニンニクを使わないから」なのである。
豚肉としょうゆの相性が悪いのだ。
魚なら、塩焼きしたのにしょうゆをかければ十分うまい。でも豚肉を塩コショウで焼いてしょうゆをかけても、それだけではウマくないのは分かるはず。
バターを乗せるとか、カラシを添えるとか、おろしポン酢にするとか、何かを加えないとしょうゆは豚肉に合わせられない。
しょうが焼きは、そのしょうゆを豚肉に合わせるための「何か」を、しょうがに担わせたもの。しょうがは豚肉としょうゆを合わせるための、日本の基本ツールとなっている。
でもしょうがだけだと、イマイチ役不足というわけなのだ。そのため味の空洞はふさぎ切れず、「一味足りない」感じがしてしまうことになる。
なので豚のしょうが焼きの場合、レシピを見ると、かならず隠し味が入っているはず。隠し味はいろいろで、みそが定番だと思うけれど、バターやゴマ、酢、ウスターソース、オイスターソースなどがある。
これが実は、「ニンニク」を入れれば、すべて解決というわけなのだ。味の空洞は完全にふさがる。
ウソだと思うのなら、試してみたらいいのである。1かけのニンニクを入れるだけで、実にリッチな味になる。
要はしょうが焼きに隠し味を入れる努力は、「何とかしてニンニクを使わないため」とも言えるのだ。
それも尊いことなのだが、現代の日本人はニンニクをふつうに食べるのだから、ニンニクを入れて手軽に解決してしまうのも、賢い方法だと思う。
ニンニクは、しょうがと一緒にすり下ろしてしまっても悪くはない。しかしきのうはニンニクの刺激をおさえるため、はじめに炒めてきつね色に焦がすことにした。
味つけは、酒としょうゆ、みりん、それにコショウだけでももちろんいい。でもさらにコクをつけるため、きのうはオイスターソースを少し入れ、皿に盛ってからゴマを振った。
しょうが焼きの作り方は、タレを肉にひたしてから焼くのと、後から絡めるようにするのと、やり方が2つある。きのうはひたしてから焼くことにした。
こうすると、肉はタレといっしょに煮える感じになるために、香ばしさに欠けるところはある。
本当は、ジンギスカン鍋や韓国のプルコギ鍋などのように、まん中が盛り上がった鍋があれば、あらかじめ肉をひたしていても、汁を落としながら香ばしく焼くことができるのだ。
でもそれはないから、今回は「肉にきちんと味がしみている」ことを優先させることにした。
しょうが焼きに添えるキャベツは、せん切りにするのがもちろん定番。でもきのうはざく切りにしたのを蒸して使った。
広島のお好み焼きでわかる通り、キャベツは蒸すと、甘みが増してうまいのだ。
まずはキャベツを蒸す。
鍋にざく切りのキャベツ・4分の1個を入れ、
- 酒 4分の1カップ
- 塩 1つまみ(小さじ2分の1)
くらいを上からかけてフタをして、10~15分、キャベツがしんなりするまで弱めの中火くらいで蒸す。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニクみじん切り 1かけ
を入れて弱火にかけ、ニンニクがきつね色になるまで熱する。
一旦火を止め、豚うす切り肉(きのうはコマ肉)を広げて入れ、タテのうす切りにした玉ねぎ・2分の1個を上に乗せ、
- おろしたショウガ 2~3センチ大分
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ2
- しょうゆ 大さじ2
- オイスターソース 小さじ1
- コショウ 1~2ふり
を上からかけ、5分くらいおいて味をしみさせる。
弱めの中火くらいで炒め、肉の色が変わったら火を止めて、最後に味をみて必要なら塩を加える。
皿に蒸したキャベツを敷いて、肉を汁ごと上に乗せ、青ねぎとゴマ、好みで粗挽きコショウをふる。
これは、うまいっス。
味がしみた、プリプリの豚肉はたまらない。
しんなりとしたキャベツに味がしみるのも、また最高。
あとは、残り野菜の赤出しみそ汁。
鍋に水と、頭とワタを取った煮干し、つぶしたニンニクを入れて5分くらい弱火で煮て、酒と赤出しみそ、コショウで味をつけて残り野菜を煮て、お椀によそってゴマ油をちょっぴりと一味をかける。
酒は、焼酎水わり。
シメは白めし。
豚のしょうが焼きが、また酒が進むわけなのだ。
おかげできのうも飲み過ぎて、後半は記憶がないのだけれど、べつに酒を飲んだら、覚えていないといけないことなどないのだから、それでいいのだ。
「早くボケるよ。」
そうだよな。