スタミナ焼きの「焼き」とは、すき焼きや焼きラーメンなどと同様、タレをくわえて炒め煮にすることです。
ニンニクを加えた焼肉のタレ的なもので豚肉を炒め煮にするこのスタミナ焼きは、炒め物としては手軽であっという間にできるうえ、同系の料理であるショウガ焼きより味が決まりやすくて、初心者にはおすすめです。
豚肉とニンニクの組み合わせはスタミナがつく
スタミナ焼きにつかうタレは、要は焼肉のタレとまったくおなじで、しょうゆ・砂糖(みりん)+ニンニクが基本です。
しょうゆと砂糖の組み合わせは、すき焼きや煮物でおなじみの、日本料理で定番の味つけですが、ここにニンニクを加えた焼肉のタレは、在日朝鮮人によって発明されました。
焼肉のタレで牛肉を焼いたものは「焼肉」とよばれますが、豚肉をつかう場合は「スタミナ焼き」と呼ばれます。これは豚肉とニンニクの組み合わせが、スタミナをつける働きがあるからです。
そのポイントは、豚肉に豊富に含まれるビタミンB1と、ニンニクに含まれるアリシンです。両者をいっしょにとることで、糖質の代謝が促進され、体内でエネルギーが活発につくり出されるようになって、身体をあたため、疲れをとります。
40歳をすぎてくると、疲れが抜けにくくなったり、身体が冷えやすくなったりします。
豚肉とニンニクは、とくに中高年には欠かせない食品だと思います。
スタミナ焼きはショウガ焼きより味が決まりやすい
一般に肉はしょうゆとあまり相性がよくありません。焼き魚ならしょうゆだけかけて食べてもうまいのに、とんかつにしょうゆだけかけて食べてもおいしくないということから、これは分かると思います。
ニンニクは、この肉としょうゆを強力に結びつけます。なのでスタミナ焼きは、シンプルにつくっても味が決まりやすいのが特徴です。
スタミナ焼きと同系の日本の料理に、ショウガ焼きがあります。ショウガ焼きのタレは、しょうゆ・砂糖+ショウガが基本で、これはたぶん焼肉のタレを、ニンニクが苦手な日本人がアレンジしたものではないでしょうか。
ところがこのショウガ焼き、基本通りに作ってしまうと、やってみると分かるのですが、ひと味足りない感じになってあまりおいしくありません。これはショウガがニンニクと比較して、肉としょうゆを結びつける働きが弱いからです。
そのためショウガ焼きには、どうしても隠し味が必要です。隠し味はレシピによって、みそ・酢・バター・ごまなど色々あって、それを研究するのはたのしいですが、初心者向きとはいえません。
その点、味が決まりやすいスタミナ焼きは、初心者がつくっても失敗は少ないと思います。
ただし今回のレシピでは、基本のしょうゆ・砂糖(みりん)・ニンニク以外に、やはり味をまとめる働きがある酒・コショウ・オイスターソースを使っています。
豚肉の選び方
豚肉は、スーパーなどで売っているうす切り肉については、まず部位としては、
- バラ
- 肩ロース
- ロース
- もも
の4つがあり、この順に脂身が多いので、好みのものを選びます。
また日本産のものについては、
- 切り落とし
- コマぎれ
があり、切り落とし肉は「ロース切り落とし」「バラ切り落とし」など部位が指定されていることが多く、要はその部位のハンパで余った部分という意味。やはり余った部分であるコマぎれ肉は、部位の指定はされていませんが、バラの近辺であることが多いようです。
これらは値段が安いので、炒め物や豚汁などにつかうなら、切り落としまたはコマぎれで十分です。
あとスーパーなら、アメリカ産の豚肉も売っていると思います。値段は安く、バラやロース・肩ロースなどの厚めの肉が、日本産豚肉の切り落としやコマぎれとおなじくらいの値段です。
ただし味は、日本産豚肉のほうが断然おいしいので、値段がおなじなのなら、日本産の切り落とし・コマぎれ肉を選ぶのがおすすめです。
作り方
スタミナ焼きは、タレを生肉にあらかじめ漬けこむか、漬けこまずに生肉をそのまま焼いて、タレをあとから入れるかの、大きく分けて2通りの作り方があります。
漬けこむと、肉がやわらかくなり、味がよくしみるのがメリットですが、出来あがりがちょっと煮えたようになってしまって、香ばしさにかけるのが欠点です。
今回は、タレをあとから入れるようにしました。
ただしその場合、肉が生の段階で、塩・コショウを少しふって味を入れておくようにします。またタレは肉がまだ赤いうちに入れ、少しでも味をしみさせるようにします。
タレを肉が赤いうちに入れるのは、肉に完全に火が通った時点で、野菜にもちょうどいい加減で火が通るのでおすすめです。
作るコツは、炒めすぎないこと。炒めすぎると肉は硬く、野菜はクタクタになってしまって、いいことないです。
STEP1 フライパンに肉と野菜を全部入れて炒める
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1~2かけ(みじん切り)
- 豚うす切り肉 150グラムくらい(大きければ食べやすい大きさに切る)
を、豚肉についてはなるべく重ならないように並べて入れ、まずその時点で豚肉に、
- 塩 小さじ4分の1
- コショウ 少々
をふる。
さらにその上に、
- 玉ねぎ 2分の1個(ヨコに5ミリ厚さくらいで切る)
- ピーマン 2個くらい(タテに1センチ幅くらいに切る)
をのせて、中火にかける。
はじめはそのまま動かさず、ニンニクと豚肉を1分くらいじっくり焼く。豚肉の色が変わりはじめたら、全体をまぜて野菜に油をなじませる。
STEP2 タレをいれて炒め上げる
一度火を止め、
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- しょうゆ 大さじ1
- オイスターソース 小さじ1
をいれて、また中火にかける。
全体をまぜながらさらに1~2分火を通し、豚肉の色が完全に白くなったら火を止める。
STEP3 皿に盛ってコショウをかける
皿に盛り、(粗挽き)コショウをかけて食べる。
ご飯にも酒にもこの上なく、946回は死ねると思います。
おまけ 最近ハマっている冷奴
みじん切りにしたニンニクとたっぷりの一味、それに味ぽん酢をかける。
ちりめんじゃこを加えるとさらにウマイです。