きのうは京都駅前を3軒まわった。
古びた居酒屋にこそ、京都のよさがあるのである。
最近は、何と、朝型の生活にシフトできているのである。7時に起き、ブログの更新を9時頃には始め、途中昼酒と昼寝をはさみながら8時頃まで仕事して、それから酒を飲んで12時過ぎに寝るという生活だ。
朝早く起きるのが気持ちいいのは言うまでもなく、おれもやっと、真人間になった気分だ。夜早めに寝ると、アルコールの分解効率も高いのだろう、おなじだけ飲んでも朝、酒の残りが少ない気がする。
さてきのうも、7時半まで仕事をし、それから飲みに出た。この時間から飲んでしまうと、以前なら仕事がほとんどできなかったのが、今ではほぼ終わらせてから飲めるのもいいところである。
出かけたのは、バスに乗って京都駅前。
このごろは、京都駅前を集中的に探索しているのだ。
地方から京都へ来て、「京都らしい店へ行きたい」と思う場合、まあもちろんまずは、料亭へ行くのが一番いいのは言うまでもない。しかし料亭はカネがかかるから、おいそれと行くことはできないわけだ。
そこで食べログなどで調べ、総額一人1万円くらいですむ懐石料理の店へ行く人が多いのではないか。
もちろんそういう店も、「悪い」と言うわけではない。それなりにおいしいものは出てくるし、満足して帰れることとは思う。
でも、「それほどいい」とも思わないのだ。
料理も、決して悪くはないけれど、ビックリするほど良くもない。全てにおいて「そこそこ」で、中途半端な感じがする。
それならば、思い切って、古びた居酒屋へ行ってみたらいいと思う。
古びた居酒屋などどこでも同じと思うかもしれないが、京都の古びた居酒屋は、やはり京都らしいのである。
まずは出てくる料理の端々に、京都らしさが散りばめられている。
料理に関する京都の流儀は、べつに上流階級だけに存在するものではなく、一般庶民にまで広く行き渡っているものだ。家庭料理も、京都は他の土地とは違う。
だから居酒屋の料理も、べつに普通といえば普通だが、よく見ると、「実に京都らしい」と思うものが多い。
それから居酒屋には、常連のお客さんがいるものだ。その人達と、ゆっくり話ができるのも、居酒屋の魅力である。
京都は、居酒屋での振る舞いの流儀も独特だ。付かず離れずの距離感を味わえるのも、京都ならではのことだ。
きのうは京都駅前で、そういう古びた居酒屋を探して歩いた。
駅前も、ロータリーの周りはチェーンの新しい店ばかりだが、ちょっとだけ奥へ行くと、いい店があるのである。
まずは、ヨドバシカメラの西側にある立ち飲み屋「ひょうたん」。
ここはかなり長い店とのことで、きのうも杖をついた、ヨボヨボのおじいさんの常連さんが、店から出てきていた。
店内には、広いコの字型のカウンターが据えられている。
代金は、品物と引き換えに払うキャッシュオン制。
料理は、基本は普通の居酒屋料理。
日本酒が、東日本のものも含めて各種とり揃えられているのが特徴だ。
頼んだのは、砂ずり。
塩煮されたものにレモンを絞る。
それから、とうふ煮。
これが京都らしさを感じるところで、魚の煮汁を再利用して、煮てあるのである。
営業時間と定休日。
「お得なセットメニュー」も、他の人が頼んでいるのを見たが、料理の量はかなりのもので、オススメだ。
ビールを一杯飲んだら店を出て、ヨドバシカメラの北側にまわる。
すると見えてきたのは、赤い提灯。
「おふくろ」というあまりにベタな店の名前に思わず吸い込まれてしまったのだが、これがまたいい店だった。
女将さんが一人で切り盛りする、カウンターのみの小さな居酒屋。
どう見ても60代にしか見えない女将なのだが、もう78歳なのだそうだ。
まずは、女将がおすすめの湯葉。
どう見ても豆腐にしか見えないのだが、なんと5枚重ねになっているそうだ。
それから盛合せ。
タラを卵で絡めて焼いたのやら、鴨やらナムル、稚鮎やらで、700円。
この店、もう20年になるそうだ。各地から出張で京都へくるビジネスマンが、何人も常連さんでいるのだとか。
それもそのはず、気の利いた女将とゆっくり話しながら、京都らしいものを食べられて、しかも値段もそれなり。
5時~11時までの営業で、定休日は日曜日。ただし、旅行などへ行くときは、一週間くらい休んだりもするようだ。
それから行ったのは、ヨドバシカメラの北側の、さらに一本北側の細い路地沿いにある「リド飲食街」。
南北に長細い敷地の中に、通路の両側に20軒くらいの店がひしめいている。
この一番手前の、「あけ美」という店に入ってみた。
男女のお客さんが、楽しそうにカラオケをしているのが、ドア越しに見えたからだ。
ここはひとことで言えば、「スナックのような居酒屋」。
ぼくより少し年下くらいの、わりと美人のママがいて、カラオケをしたりのスナック的な楽しみ方ができるのだが、値段は居酒屋というやつだ。
常連さんは、非常にフランク。
すぐに隣に座っていた女性と話になり、写真まで撮ってもらった。
勧められるままに、カラオケも歌う。
また常連さんがほめ上手なのも、この店のいいところだ。
「素人料理」となっていて、
「その前に、さらに『ド』を付けたいくらいなんですよ」
とママは謙遜するのだが、「小さなハンバーグ(手作りです)500円」を頼んでみた。
ほっくりとやわらかく、これはオススメ。
カラオケを歌ううちに常連さんとも仲良くなり、「まだいなよ」と引き止められはしたのだが、バスの終電が近かったので、涙を飲んで店をでた。
営業は、6時から~11時まで。
大宮へ戻り、餃子の王将でシメのラーメン。
腹もふくれて、家に帰った。
チェーンの居酒屋は、日本全国、どこへ行っても同じである。
でも古びた個人経営の居酒屋は、地元に根を張り、土地の空気を感じることができるのだ。
「早起きが3日坊主にならないといいね。」
ほんとだな。
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