豚のソテーはニンニクに塩コショウでシンプルに行くか、しょうが焼き、てり焼き、トマトソースがけあたりが定番。でもこの「梅ガーリックソースがけ」は、まじでウマイのだ。
この料理を作ったのは、きのう買った豆苗があと半分余っていたから。豆苗の袋に「お鍋に。サラダ、炒め物にも」と書いてあったから、「それではサラダにしようじゃないか」と。
本当は、当ブログの人気レシピである「鶏もも塩焼きレモンバターソースがけ」を作ろうと思っていた。鶏ももを塩焼きにし、蒸したざく切りキャベツの上に乗せ、レモンとバターのソースをかけたやつだ。
このブログを書いたときに使った蒸しキャベツのかわりに、生の豆苗を使っても、問題なくうまいはず。
でもスーパーへ行ってみたら、鶏もも肉が売り切れていたのである。
「ガーン……」
決めていたメニューが作れないとなると、ショックで立ち直れなくなりそうになるのだが、気を取りなおして売り場をみると、豚肩ロースのソテー用が安く出ている。
「鶏肉のかわりにこれを使おう(炎)」
そう決めて、その豚肩ロース肉ソテー用を買ったのだった。
しかし家に帰ってあらためて考えると、豚肉とレモンはイマイチ合わないことに気がついた。豚肉の味が強いから、レモンではちょっと役不足なのだ。
「どうしよう。もう豚肉を買ってしまった……」
決めていたメニューが「おいしくない」となると、ショックで立ち直れなくなりそうになるのだが、気を取りなおしてさらに考えると、豚肉には梅干しが合うことに思い当たった。梅の酸味は個性がつよく、豚肉にはバッチリ合う。
「豚ソテー梅ソースがけを作ろう(炎)」
いったんはそう決めた。
しかし豚肉を使うなら、豚肉との相性が、味的にも栄養的にも最高なニンニクを使いたいところである。しかし
「梅干しとニンニクは合わないのでは・・・」
そう思いはじめた。
梅干しといえば「日本の味の代表」ともいえる存在。その梅干しと、日本の料理で基本的に使われることがないニンニクとは、どうみても合わない気がした。これまでも、梅ソースは何度も作っているのだけれど、その際にはニンニクは入れていない。
「どうしよう。ニンニクを使わなければ気がすまない……」
決めていた料理にニンニクが使えないとなると、ショックで立ち直れなくなりそうになるのだが、気を取りなおしてさらによく考えると、日本の味のやはり代表といえる「カツオだし」に、ニンニクはよく合うのだ。
「それなら梅干しにだって、ニンニクは合ってもおかしくない(炎)」
そう思い、ありったけの勇気をふり絞り、清水の舞台から飛びおりるつもりになって、「豚ソテーの梅ガーリックソースがけ」を作ることにしたのだった。
作り方
梅干しは、1個を使う。ただし梅干しにはかなりつよい塩気があり、豚肉を焼く際に塩を振らないわけにはいかないし、梅干しだけだとコクに今ひとつ問題があるからしょうゆも使わないわけにはいかないことを考えると、ここに梅干しの塩気が入ると、全体として塩気がつよすぎる。
なので梅干しは、塩抜きをしてから使う。
種をとり出して水にひたし、5分くらい置いておく。これはあまり水にひたしすぎると梅干しの味まで抜けてしまうから、長くひたしすぎないよう注意しないといけないところだ。
水にひたした梅干しは水気をふき取り、包丁でみじん切りするみたいによく叩き、ペースト状にする。
この梅ペーストと、
- 酒 小さじ1
- みりん 小さじ1
- 薄口しょうゆ 小さじ1
をよくとき混ぜる。
しょうゆに薄口を使うのは、色を黒くしないためだ。
次に豚肉を焼く。豚肉を焼くコツは、弱火でじっくりやることだ。
肉は熱が加えられるとタンパク質が変性し、固くなる。それを避けるためには、できるだけ弱い火で時間もみじかく、火を通すことが必要なのだ。
豚ソテー用肉150グラムくらいに、表と裏に、計小さじ4分の1くらいの塩とコショウをふりかけ、オリーブオイル大さじ1を入れたフライパンに入れ、弱火をつける。
5分ほどたって7割方火が通ってきたら裏返し、さらに3分くらい焼く。
焼けたら食べやすい大きさに切り、ざく切りの豆苗2分の1把をしきつめた皿に盛る。
残った油でソースを作る。
まずみじん切りのニンニク1かけ分を入れて弱火にかけ、3分くらい、ニンニクがきつね色になってくるまでじっくり熱して味をひき出す。
つづいて用意していた梅ダレを入れ、30秒ほど熱して豚肉の上からかける。
実 食
でき上がった豚ソテー梅ガーリックソースがけ。
食べてみる。
「これは、ウマイ……」
梅干しにニンニクを合わせたのは、まさにおみくじで大吉を引き当てるかのごとく、完全なる正解だったのだ。「梅干しとニンニクが合わない」などはまったくの杞憂、合うも合わないも、もしこれが「合わない」と言うのなら、世の中で合うものなど、鍵と鍵穴くらいしかないことになる。
梅干しの個性のある酸味が、ニンニクの、やはり個性のある風味につつまれる。しかも豚肉とソースの相性は、梅もニンニクも豚肉には合うのだから、言うまでもなく最高だ。
このソースがかかり、ちょっとしんなりした豆苗も、豚肉の味をひき立てる。
「おれの苦労が報われた……」
僕はそう思いながらこれを食べ、約943回死んだ。
食べ終わって満腹感、そして苦労が報われたことによる充実感につつまれた僕は、2時間ほど昼寝した。
「大袈裟だね」
ほんとだな。