「家常豆腐」は、要は中華風の「肉豆腐」なのだ。肉豆腐はどう考えてもみんな好きなわけで、しかもこれが中華風のピリ辛コッテリとした味になり、さらにトロミが豆腐にまとわり付くのだから、想像するだけでヨダレが182回はでる代物だ。
家常豆腐は中国の家庭料理で、わりと何を入れてもいいらしい。肉豆腐の類推で考えた場合には、まあネギか玉ねぎは必須で、そのほかに青みのものが入れば材料の最低ラインはクリアできそうだ。
それで今回は、この「青み」を、ゴーヤに担当してもらうという企画。こないだゴーヤの家常豆腐をつくった時は、ゴーヤを煮込むようににしたのだけれど、青いものは煮込むと青い色が濁ってしまう。そこで今回、ゴーヤははじめに炒め、最後に入れるようにする。
それから今回は、豆板醤ではなく、赤唐辛子を使うことにした。豆板醤で赤くなった汁だと、ゴーヤの緑が濁ると思ったからだが、これがまた非常によかった。
豆板醤とはまたちがうシャープなピリ辛味になり、これがゴーヤとよく合って756回はまちがいなく死ねる。
豆腐は厚揚げを使えばそのまま煮込めて一番簡単。でも今回はゴーヤチャンプルーをつくるつもりで木綿豆腐を買っていたから、自分で焼いた。
豆腐は自分で焼くと、厚揚げとはまたちがう、ちょっとカリッとした食べ応えとなり、大変うまい。
それから今回のように煮込む場合は、豚肉は、火を通しても硬くなりにくいバラ肉を使うのがおすすめだ。
作り方
まずは豆腐を焼く。厚揚げを使う場合は、この工程は省略される。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- 豆腐 2分の1丁 (1~2センチ厚さの、食べやすい大きさに切る)
を入れて中火にかけ、4~5分かかると思うけれど、こんがりと焼き色がつくまでじっくり焼いて、スプーンやフライ返しでひっくり返す。
つづいて裏面も4~5分焼いて、皿にとり出しておく。
つづいてゴーヤを炒める。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ2分の1
- ゴーヤ 2分の1本 (タテ半分に切ってスプーンでわたをかき出し、2ミリ幅くらいの輪切りにする)
を入れて中火にかけ、3分くらい、完全に食べられる状態まで火を通して皿にとり出す。
あらためてフライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 赤唐辛子 2~3本 (ヘタをちぎって種をだし、細かくちぎる)
を入れて強めの弱火くらいにかけ、3分くらいじっくり炒めて味をひき出す。
豚バラうす切り肉・100グラムに塩・小さじ4分の1を振って食べやすい大きさに切り、フライパンにならべて入れて、これも3分くらいか、肉に軽く焼き色がつくくらいまで、表と裏をじっくり焼く。
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 薄口しょうゆ 大さじ1
- オイスターソース 小さじ1
- 水 1カップ
- とり出しておいた豆腐
を入れて煮立て、フタをして弱火で5分くらいコトコト煮る。
さらに玉ねぎ・4分の1個(1センチ幅くらいのくし切りにする)を加え、2分くらい、玉ねぎに歯ごたえを残すようにして煮る。
とり出しておいたゴーヤを戻してひと混ぜし、
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉をまぜながら少しずつ加えてトロミをつける。
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
をたらし、ひと混ぜして皿に盛り、粗挽きコショウをかける。
コクのある味が豆腐にしみ、ひとくち食べた瞬間に、あたまを土管でぶっ叩かれたような衝撃をうける。
ゴーヤと豆腐・豚肉の相性はいうまでもなく、赤唐辛子のシャープな辛みも、またタマラナイ。
そして今朝も、このゴーヤの家常豆腐がどれほど酒に合うかといえば、軽く253杯は酒をおかわりできるほどだというのに、「朝だから」というだけの理由で飲まなかったのだ。
こんな不甲斐ないことをしていたら、僕は子や孫の代に至るまで、笑いものになるのではないかと思う。
「ならないよ」
そうだよな。