夏の終わりによく見かける極太きゅうり。これが手に入ったら、マーボーきゅうりを作るべきだ。
極太きゅうりとはどのくらいかといえば、たとえばこういうの。
直径は3センチほどもある。
これは下のほうが細くなっているけれど、もっと太くて長いのもある。夏の終わりできゅうりがあまり売れなくなり、1日収穫が遅れると、極太になってしまうそうだ。
この極太きゅうりを食べるなら、絶対にマーボーきゅうりがおすすめだ。
以前八百屋のご主人に聞いたら、「こういうのは煮込むとうまい」と言っていた。きゅうりは冬瓜と近縁だから、煮込むと冬瓜とちょうど同じような感じでコックリと、かつクールにやわらかくなる。太いからこそその味わいを満喫することができるわけで、冷やして食べたりなどすると最高だ。
冬瓜と同様そぼろあんかけもよく合うわけだが、考えてみたらマーボーはそぼろあんかけの一種なのだ。しかもピリ辛で、きゅうりのキムチがあることからもわかる通り、きゅうりはピリ辛味がとてもよく合う。
となれば圧倒的にマーボーだ。
これは本当にうなるほどうまく、463回は死ねるから、極太きゅうりを見つけたときには作ってみるべきなのだ。
作り方
きゅうりを煮込むにはややコツが必要で、そのままだと青臭いし水分が多いから味がなかなかしみ込まない。
青臭さを取るためには、ピーラーで皮を向く。
皮を全部むいてしまえば本当に上品な味になる。でもそれだときゅうりらしさが全くなくなってしまうともいえるわけで、それにマーボーは味が濃いから多少の青臭さは中和もするし、縞にむいてちょっと皮を残しておくのがおすすめだ。
それから水分を抜くためには、ゴーヤと同じでタテ半分に切ってから、スプーンでワタをかき出す。ワタのところに水気が多くあるからだ。
それからきゅうりを、フライパンに早めに入れて、しっかり炒める。さらに調味料を入れて炒め煮すれば、味はバッチリしみ込むという企画である。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- 豚ひき肉 100グラムくらい
を入れて弱めの中火にかけ、3~4分、水気がジュージューと弾ける音が収まってくるまでよく炒める。
つづいて皮をタテの縞にむき、タテ半分に切ってスプーンでわたをかき出して、2センチ幅程度の輪切りにしたきゅうり・適当と思われる量を加え、さらに2~3分じっくり炒める。
フライパンを傾けて油を集め、油が足りないようならサラダ油を少し加えて、
- ニンニク 1かけ
- 豆板醤 大さじ1
を入れて弱火で2~3分じっくり炒める。
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 薄口しょうゆ 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1
を加え、さらに弱火で2~3分じっくり炒め、きゅうりに味をふくませる。
水・1カップを加え、弱火でフタをして10分くらい煮るたら、みじん切りの長ねぎ・5センチ分くらいを入れてひと混ぜし、
- 片栗粉 大さじ1+2分の1
- 水 同量
の水溶き片栗粉を、混ぜながら少しずつ加えてトロミをつける。
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
を入れてひと混ぜし、さらに盛って粗挽きコショウをたっぷりかける。
これはきゅうりを煮たことがない人にとっては新しい味との出会いになると思うから、絶対に試してみるべき。
マーボーの味がしっかりしみた、コックリとやわらかいきゅうりはマジでたまらない。
そして今朝も、このマーボーきゅうりはご飯にはもちろんのこと酒にも死ぬほど合うのにもかかわらず、「朝だから」という馬鹿げた理由で酒を飲まなかったのだ。
このままだと僕は酒の神様から「卑怯者」と後ろ指をさされ、世の中から追放されるのではないかと心配だ。
「されないよ」
そうだよな。