「豚肉と青菜のうどん」といえば、軽い食事とか酒のシメとかには、まさに打って付け。これはその「中華版」とも言うべきもの。
味つけのベースはみりんと薄口醤油。そこに昆布と削りぶしのクセを強くしたものに相当する、干し椎茸と干しエビ、オイスターソースのだしを使い、ニンニクやゴマ油などの中華素材でコクをつけ、和風うどんだしを中華に拡張したものだから、うどんには言うまでもなく合うのである。
和風なら、豚肉には水菜がよく合うが、中華は炒めて作るから、炒めてもシャキシャキ感を失いにくいチンゲン菜を使う。ここに和風の場合なら、油あげにシメジなどを加えるのが定石だが、キノコにはだしにも使う干し椎茸と、あとはタケノコを加えた。
油あげは汁を含ませ、それを麺と一緒に口に運ぶために入れる。中華では汁にトロミをつけて麺に絡ませるから、その役割は必要ない。それよりは、青菜と相性がいいタケノコとか、彩りのニンジンとかを入れた方が効果的だ。
あとは和風だと薬味としていれるネギや一味は、長ねぎと豆板醤を一緒に炒めるようにした方が、よりウマイ。
要は和風で王道の味を中華に変換したものだから、うまいのは決まっている。おまけにニンニクが入るから、体が温まることこの上ない。
作るのは大して難しくはないし、時間もそうかからない。試してみた方がいいと思う。
うどんはゆで麺でも冷凍でも、好きなのを使ったらいいのだが、僕がいつも使っているのはゆで麺で、シマダヤの「細切り稲庭風うどん」。
これは1玉80円くらいするやつなのだが、さすが値段だけのことはあってプリプリしてるし、細いから食べ応えもいい。
今回のは、チンゲン菜にしてもうどんにしても、火を通しすぎても極端にまずくなるものはないから、下に書いたレシピ通りにやれば、それほど失敗もないと思う。
だしを入れる前ならば、野菜を切ったりするのが間に合わなければ、何度火を止めてしまっても問題ない。
まずは干し椎茸と干しエビのだしを取る。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ (2カップのだしが取れる)
- 干し椎茸(中) 2枚
- 干しエビ 大さじ1程度
を入れて中火にかけ、煮立ったら火を止めて、そのまま15分くらい置く。
フライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (押しつぶして薄皮を取り、みじん切りにする)
- 豆板醤 小さじ1
を入れて弱火にかけ、2~3分じっくり炒めて味をひき出す。
一旦火を止め、豚コマ肉・100グラム(食べやすい大きさに切る)を広げて入れ、
- 酒 小さじ1
- 塩 小さじ4分の1
- コショウ 1振り
を振りかけて、ふたたび弱火でさらに炒める。
豚肉に火が通ったら、(一旦火を止めてもいい)、
- もどした干し椎茸 (汁気をしぼり、石づきの先端だけ切り落として5ミリ幅くらいに切る)
- もどした干しエビ
- 長ねぎ 10センチくらい (斜め切り)
- 水煮タケノコ 4分の1本 (2ミリ厚さくらいの食べやすい大きさに切る)
- チンゲン菜 1株 (葉と茎のところで切り分け、葉はさらにタテを半分に、茎は8等分のくし切りにする)
を入れて中火で1~2分、チンゲン菜がしんなりとしてくるまで炒める。
- 干し椎茸のもどし汁 2カップ
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口醤油 大さじ2
- オイスターソース 小さじ1
- コショウ 1~2振り
を加え、1分ほど煮て味をなじませる。
うどん・1人前を入れ、ゆでうどんなら箸でほぐしながら60秒、冷凍ならほぐれるまで、中火で煮る。
- 片栗粉 大さじ2
- 水 大さじ2
の水溶き片栗粉を、混ぜながら少しずつ加えてトロミをつけ、
- ゴマ油 小さじ1
- 酢 小さじ1
を加え、ひと混ぜして火を止める。
器によそい、好みで粗挽きコショウをかける。
これはマジで、たまらないっすよ。
しかしこれも、非常に酒に合うのである。
しかし料理がうまくて酒が進むなら、それはいいことで問題ないのだ。
「誘惑しない。」
そうだよな。