【四条堀川 ラーメン麺対軒】「ラーメン愛」を叶えてくれる貴重な店。

麺対軒 ラーメン 京都・大阪の飲食店

きのうは四条堀川・麺対軒でラーメンを食べた。「ラーメン愛」を叶えてくれる貴重なこの店、用意されている調味料をあれこれ使って味を変えながら食べると、また楽しい。

以前「飲食店へ行くのは腹を満たすためではなく、『飲食店』という店主の作品を鑑賞するためだ」と書いた。それはほとんどの場合その通りで、腹を満たすためだけならば、僕の場合は家で十分満足するものを自分で作れる。

ただし一つだけ例外があるのである。それが「ラーメン」だ。

 

ラーメンの場合だけは、強烈に食べたくなることがある。ツイッターのタイムラインにラーメンの画像が投稿されたりするのを見ると、もういてもたってもいられなくなるし、しばらくラーメンを食べていないと、禁断症状が出てきて体が震える、のはウソだけど、どうしても食べたくなったりする。

どうやら僕には、「ラーメン愛」があるようだ。いつの頃からか、ラーメンが好きで好きでたまらないようになっている。

 

しかもそのラーメンも、あまり小ぎれいな店ではなく、どちらかといえば殺風景な店がいい。どんぶりはもちろん小洒落たものでなく、赤と白のいわゆる「中華どんぶり」である必要がある。

そういう店で、まず餃子をつまみながらビールを飲み、それからラーメン・・・・・。

そのような風景の全体が、僕にとってはたまらなく癒やされるものなのだ。

 

これはおそらく、日本人の古い記憶を無意識に継承しているのではないかと思う。

明治に入って肉食が解禁になり、洋食文化が大量に流れこんでくる。洋食店は、東京ならやはり銀座あたりにできるわけで、どちらかといえばやはり気取ったものだったろう。

当時は西洋に「追いつけ、追い越せ」の時代。洋食は憧れの対象でもあったはずだ。

 

しかしそういう流れから取り残される人も当然いる。金がなければ、銀座の洋食店などへは行けないわけだ。

そういう金のない人たちが肉の補給源として利用したのがラーメンだっただろう。

当時の日本は西洋に追いつけ、追い越せの一方で、中国に進攻し、残虐非道な行いをくり返していた時代。中国が憧れの対象などであるわけはなく、どちらかといえば馬鹿にする空気があったはず。

 

その中国の料理であるラーメンを食べ、それを「おいしい」と思うとき、中国を馬鹿にする気持ちなどはなくなるのではなかろうか。おいしい料理にたいする尊敬と、それを安く食べさせてくれることにたいする感謝の気持ちが湧いてくる・・・・・・。

ラーメンにはそのように、社会的な不公正とは切り離れた平らな世界があるのだろうという気がする。

僕が「ラーメン愛」を感じる理由はそこにあるのではないかと思うのだ。

 

というわけで、きのうもラーメンを食べに行った。行った先は四条堀川にある「麺対軒」。

麺対軒

 

もうここに完全にハマっているのだ。これまで何度も書いた(  )からあまりくり返さないけれど、「理想のラーメン屋」の一つではないかと思う。

 

まず頼むのは「生ビールセット」。

麺対軒 生ビールセット

餃子が5個に生ビールで、400円というあり得ない価格。

 

BGMには、沢田研二やら前川清やら石川セリやら、懐かしい昭和歌謡が流れてくるのだ。それを聞きながら、ベニアがむき出しになった店内でビールを飲むのは本当にホッとする。

 

それから頼むのは、「三種盛り」420円。

麺対軒 三種盛り

味付けメンマとチャーシュー、キムチがセットで盛られたもので、これをそれぞれ単独で、または一緒に食べると、かなりの味の変化も楽しめる。

 

ビールを飲み終わったらチューハイ。

麺対軒 チューハイ

ここは氷の入ったジョッキに入れれば2杯分近くになる缶が450円で出てくるから、安いと思う。

 

昭和歌謡を聞きながら、特に誰とも話さずに一人で黙々と飲む。缶チューハイを2杯飲み終わるころには、ちょうどいい加減に出来上がってくる。

 

そこで頼むのが、ラーメンセット。

麺対軒 ラーメンセット

ラーメン並と小焼きめしで900円。

 

ここのラーメンは、戦前に創業された京都の老舗ラーメン店「新福菜館」の流れをくんでいる。

麺対軒 ラーメン

 

新福菜館のラーメンは、澄んだ豚骨スープにわりとコッテリした醤油ダレを合わせている。「蕎麦つゆ」に近い感じで、戦前だから、当時の日本麺料理の主流・蕎麦の味をそのまま応用したのではないかと思う。

新福菜館本店は、それを今でもニンニクを入れずにそのまま出すから、ラーメンというよりも、「鴨南そば」的な味に近い。しかしこちら麺対軒では、そこにニンニクと背脂を追加して、現代風のコッテリとした味にさせている。

 

さらに麺対軒が新福菜館本店とちがうのは、味を変えるための調味料がいろいろ用意されていること。

麺対軒 調味料

「辛みそ」は唐辛子ニンニク、韓国のヤンニョムみたいなもので、酢も、餃子のタレは別にあるからラーメンに入れるためのものと考えられる。

これをきのうは、全部使ってみることにした。

 

まずはもちろん、そのまま食べる。店主が初期設定した味をきちんと味わうことは、やはり大事だ。

それから次は、やはりコショウ。

麺対軒 ラーメン 食べ方

コショウは肉の味を引き立てる作用がある。

 

ニンニクを追加する。

麺対軒 ラーメン 食べ方

ニンニクを入れたらさらにコショウも追加すると、味のバランスが取れる。

 

辛みそは、味を大きく変えるから、やはり入れるのは終盤がいい。

麺対軒 ラーメン 食べ方

 

最後に酢をちょっと入れて、味を引き締めたスープを飲み干す。

麺対軒 ラーメン 食べ方

 

・・・・・・と、きのうはこのような順番にしてみた。これでだいたい合っているのではないかと思う。

 

最後に焼きめし。

麺対軒 焼きめし

この焼きめしが、またラーメンダレとニンニクを入れたコッテリとした味で、大変うまい。

 

焼きめしも、紅しょうが、ウスターソース、それに一味と味を変えるための調味料が用意されている。

麺対軒 焼きめし用調味料

 

紅しょうがでしばらく食べ、ウスターソースと一味で味を変えるのがおすすめだ。

麺対軒 焼きめし

 

以上が、麺対軒の「基本コース」といえるのではないかと思う。

もしこの店に行く機会があれば、ぜひ試してみてもらいたい。

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