きのうは大阪・あびこで、SADLのリーフレット配布に参加して、そのあと「中華そば 閃(せん)」でラーメンを食べた。この閃のラーメン、新しい作り方をしながらも、すべてにおいて加減を程よくおさえることで、「中華そば」らしい上品なラーメンに仕立てている。脱帽し、満足して家に帰った。
きのうは大阪・あびこで行われた、SADLのリーフレット配布に参加した。
市長候補・柳本あきらさん、府知事候補・くりはら貴子さんへの支持を、住民の人に求めるためだ。
お昼前から降りだした雨は、午後にはどしゃ降り。そういうなか、交通費と片道1時間半の時間をかけて、大阪の知らない街まで、正直いって行きたくない。
しかし社会運動は、やりたくてやっている人は、いないと思う。できればやらずに済めば、それに越したことはない。
でもやらないと、自分たちの生活が脅かされる可能性があるから、やる。そういう意味では、社会運動は「戦い」だ。
安保法制にたいするデモや、差別へのカウンターに参加するようになり、「社会運動とは、税金を払うのと似たようなものだ」と思うようになった。
お金をもらうためには、仕事をする。もらったお金の使い途は、まずは自分や家族の生活と、それに、趣味。
でもお金の使い途には、自分や家族のためのほかに、もう一つある。それが税金や、健康保険。これらは、「社会のため」に払うお金だ。
本来は、税金を払い、選挙に行って、それでうまく行ってくれるのが一番だ。でもそうなっていないとき、必要になってくるのが、社会運動なのだと思う。
だから社会運動へは、みんな自分のお金を払い、自分の時間を使って参加する。自分や家族の生活の基盤となっている社会のために、必要だと思うからだ。
あびこに着いたら、幸い雨は上がっていた。特にやりたくはないことでも、やると決めたら、もちろん一生懸命やる。
地下鉄の出入り口付近で、通りすがる人にリーフレットを配る。
どうしたら少しでも多く取ってもらえるかを考えながら、口上や渡し方を工夫するのは意外にたのしく、1時間あまりがあっという間に過ぎた。
きのうはリーフレットの配布に、20人近くが集まった。700部を手渡しし、さらにそのあと残り600部を、付近の団地などに宅配。
終わったのは、9時近かった。
もうあびこで食事をしていくことに決め、スマホで検索すると、よさそうなラーメン屋が近くにあるようだったから、行ってみることにした。
行ったのは、「中華そば 閃(せん)」。
地下鉄あびこ駅1番出口から、中央商店街を東へちょっと行き、南に曲がったところにある。
やや辺鄙な場所ながら、グーグルでも食べログでも、評価は高い。
店の入口のところには「お待ちのお客様へ」と題し、並ぶ際の注意事項を書いた張り紙があったから、人気店なのだろう。
食券を買って、まずビール。
店内はこざっぱりとしていて、インテリアは、木目と白で統一されている。カウンターにタイルが使われていたりして、「地味ながらオシャレ」といった感じだ。
店員も感じがよく、威勢がよすぎることはなく、かといって必要な言葉はきちんと発する。
つまみは、「メンマ盛り」250円一択。
味付けメンマにねぎ、煮たまごで、ビールのアテには完璧だ。
ビールを飲み終わったら、いよいよラーメン。
ラーメンは、醤油、塩、つけ麺、肉あぶらそばの、まず大きく分けて4種類。きのうは券売機でも一番上にあり、「基本」と思われる醤油にした。
醤油は、今度はトッピングの内容により、「特製」950円、「煮たまご」850円、それに普通の「醤油中華そば」750円がある。特製は、チャーシューと海苔が増量になり、さらに煮たまごがつくというから、それにした。
それと、白ごはん・150円。
この店のラーメンは、「中華そば」となっているのに、煮干しだしが使われている。中華そばを「昔のラーメン」と捉えれば、これはあり得ないことで、煮干しが使われるようになったのは、比較的最近のこと。昔のラーメンには、化学調味料が使われる。
だから、この店の「中華そば」は、煮干しだしという新しい手法を使いながら、昔のラーメンをオマージュし、そのようなイメージで仕上げたという意味だと思う。
実際この店のラーメン、すべてにおいて「程よい」のだ。
「煮干しラーメン」は、一つのジャンルにもなっている。わりとスープが脂っこくて、そこに煮干しがガツンと加えられているため、「脂っこいのにクドくない」という仕上がりになっているのが多いと思う。
ところがこの店の煮干しは控えめ。スープも十分なコクはありながら、比較的あっさりしている。
トッピングのメンマも、味つけは控えめになっている。メンマ盛りとしてビールのアテに食べたとき、醤油をかけたくなったくらい。
でもこの「控えめ」なのが、この店の特徴なのだ。
それからチャーシューが、またうまかった。
今どきのラーメンに入っているチャーシューは、よく煮込んでトロトロになったのと、サッと煮てプリプリしたのと、大きく分ければ2つあるのではないかと思う。
この店のは、そのどちらでもなく、やわらかめなのだけれど、しっとりとした噛み応えがあるという風情。中庸といえば中庸だが、これをうまく保つのは、技術的にそう簡単ではないと思う。
麺は、中細。
広島の中華そばにも使われる、ゴワッとしたタイプのやつで、それを硬過ぎもせず、やわらか過ぎもせずの加減でゆで上げている。
以上のようにこのラーメン、新しい手法を使い、それを突き詰めてしまうと角が立つ、派手な味になるところを、すべてを程よくすることで、いかにも「中華そば」らしい、上品な味に仕上げている。
現代は、刺激を求める傾向が強い社会。そこで刺激を抑えた、程よい味で勝負するのは、ラーメン屋としては迷うところもあるはずだ。
でもそれを、この店は自信を持ってつらぬいているわけで、脱帽した。
ご飯の盛りも、多すぎず少なすぎずでちょうどよく、腹もいい感じで一杯に。
帰りの1時間半の道中は、おかげで満ち足りた気持ちでいられて、帰ってからも、酒を2~3杯飲んだだけで、すぐに寝られた。