きのうは、家常豆腐。これは豆腐を煮込む料理としては、マーボー豆腐よりうまい。
酒は、順調に飲んでいる。
酒飲みの中には、休肝日をもうける人もいる。肝臓を毎日酷使するのはかわいそうだから、たまには休ませるというわけだ。
しかし肝臓が、「酷使されている」と思っているかどうか、わからないではないか。もしかしたら、
「よし、そろそろ酒の時間だな。きょうもがんばろう!」
と思っているかもしれないのだ。
人間、規則正しい生活が大事である。規則正しいからこそ、体はそれに適応することができる。
酒だって、規則正しく飲んだ方が体にいいに、決まっているわけである。
日本人は、「酒に寛容だ」といわれる。たしかに酔っぱらいがヘベレケになっていても、それを心底軽蔑するのでなく、「仕方ないなあ」と許容する文化があると思う。
WHOなどは、ドラッグの一つとして、タバコにつづいて酒を撲滅する計画を立てていると聞く。それがもし世界標準だとすれば、日本はそこまで酒に厳しくないといえるのではないか。
それは、日本人には、酒を飲む実際的な必要があったからだとおれは思う。
日本人が、肉とニンニクを禁止されてきたからだ。
肉にはビタミンB1が、そしてニンニクには硫化アリルが含まれていて、この2つが合わさると、体を強力にあたためる作用がある。日本以外の世界の人は、肉とニンニクを食べ続けているわけだから、それで体はあたためられてきたはずだ。
ところが日本は肉とニンニクが食べられなかったから、別の方法で体をあたためなくてはならなかった。
その方法の一つが、「酒」ではないかと思うのだ。
実際、日本人は酒をあたためて飲む。酒をあたためて飲む国は、世界的にそう多くないのではないだろうか。
それから日本人が体をあたためるもう一つの方法が、「風呂」だろう。
日本は世界的にみて無類の風呂好きだといわれている。
このように、日本人にとって、酒と風呂は、生きていく上で欠かせないものだったのだ。
日本人であるおれが多少酒を飲み過ぎるのも、仕方がないというものだ。
さてきのうは、家常豆腐(じゃーちゃんどうふ)にした。
家常豆腐はひとことで言えば、「中国風・揚げ豆腐の煮込み」だ。
豆腐を煮込む料理として、中華料理にはマーボー豆腐がある。マーボー豆腐は、日本では、一二を争う人気の中華メニューだろう。
それはマーボー豆腐が、中華料理としては珍しく、煮込む料理だからではなかろうか。日本では常道の、大きく切った具材を煮込み、味をしみ込ませる料理は、中華料理ではあまり思いつかない。
しかしマーボー豆腐は、味をしみ込ませる料理としては、不完全なところがある。
日本なら、豆腐に本当に味をしみさせようと思えば、揚げ豆腐、厚揚げや油あげをつかうだろう。豆腐は揚げることで、煮汁がよりしっかりしみ込むようになる。
実際マーボー豆腐は、元々は激辛みそをからめるような料理だったものを、陳建民が日本に紹介する際、煮込むようにしたとも聞く。
ところでこの「揚げた豆腐を煮込む料理」こそが、まさに家常豆腐なのだ。
豆腐に味がしっかりしみ込み、豆腐を煮込む料理としては、マーボー豆腐よりこちらの方がうまい。
家常豆腐を作るのは、マーボー豆腐を作るのと似たようなもので、たいして難しいことはない。
味つけも色々に変化させられるから、レパートリーにするとメニューの幅が広がることはうけあいだ。
揚げた豆腐は、日本には厚揚げがあるから、それを使うので問題ない。入れる具材は、蒲田の中華料理屋で食べたのにならい、豚うす切り肉と、ピーマン、玉ねぎ。
味つけは、きのうは八丁みそを使ってみた。これがまた、しっかりとコクがでて大変うまい。
フライパンにサラダ油・大さじ1を引いて中火であたため、まずは、くし切りにし、さらに横半分に切ったたまねぎ・2分の1個を入れる。
玉ねぎがバラけたら、玉ねぎと同じくらいの大きさに切ったピーマンを入れ、サッと炒めてとり出しておく。
あらためてフライパンに、サラダ油・大さじ2を入れて弱めの中火にかけ、
- たたき潰したニンニク 1かけ
- たたき潰したショウガ 1~2センチ大
- 鷹の爪 2~3本
をじっくりあたため、味を引きだす。
ニンニクやショウガの香りが立ってきたら、
- 水 1+2分の1カップ
- 顆粒の鶏がらだし 小さじ2
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
- 八丁赤出しみそ 大さじ1+2分の1くらい
- しょうゆ 小さじ1
を入れ、1~2センチ厚さに切った厚揚げを、やはり弱めの中火で10分くらい煮る。
食べやすい大きさに切った豚うす切り肉(きのうはバラ肉)を入れ、肉の色が変わったら、中火にし、
- 片栗粉 大さじ1
- 水 大さじ1
の水溶き片栗粉を、スプーンで少しずつ入れては混ぜしながらトロミをつけ、酢・大さじ1を加える。
最後にとり出しておいたピーマンと玉ねぎをもどし、ひと混ぜして火を止める。
厚揚げに、中華風のだしがたっぷりとしみたのは、マジでたまらない。
その一方、ピーマンと玉ねぎがシャキシャキとしてるのも、アクセントとしてまたとてもいいのだ。
あとは、わかめスープ。
頭とわたを取った煮干しと乾燥わかめを15分くらい煮て、酒としょうゆ、それに塩それぞれ少々で味つけする。
それにご飯。
酒は、冷や酒。
きのうも酒を飲み、体はよくあたたまった。
これからは寒くなるから、酒はますます必要だ。
「肉もニンニクも食べるんだから酒はいらないよね。」
そうだよな。
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