豚肩ロースかたまり肉が100グラムほど余っていたから、トマたま炒めをつくることにした。
豚肉が100グラムでは、僕の場合は2食分だし、それだけでは足りないけれど、トマたま炒めは卵をたくさん入れるから、タンパク源としては十分ということになる。
卵とトマトが相性がいいのは、オムレツにケチャップをかけることからも知れた話で、トマたま炒めは中国では、定番の家庭料理であるらしい。
今回は、豚肉とも卵とも相性がいいタケノコをくわえ、青みとして青ねぎを入れることにした。
豚肉を炒めものに使う場合は、とにかく「硬くしないこと」がコツとなる。
肉は、火が通るにつれて、硬くなる。これを再びやわらかくするためには、豚肉なら、30分~1時間くらいは煮込むことが必要だ。
火加減は弱く、炒める時間もできるだけ短くし、肉が硬くなるまえに料理を終えてしまうようにする。
それから、肉は火が通ってしまうと、味が入りにくくなる。とくに肉に厚みがある場合には、生のうちに味を入れておかないと、肉の外側だけ味がつき、中は無味ということになる。
なので肉には、かならず下味をつけておく。今回は韓国の「炒め煮(ポッカ)」の要領で、ニンニクと豆板醤を炒めたら、火を止めて調味料を入れ、そこに肉をつけ込むようにした。
あとはトマトが、本当に一瞬で火が通るから、火を加えすぎないことがポイントだ。
トマトの形が残ったほうが見栄えがいいからなのだが、今回はモタモタしてしまったため、トマトは跡形もなく煮くずれてしまった次第。
まずは卵だけ炒めておく。
フライパンに、サラダ油・大さじ1を入れて中火にかけ、溶き卵・3個分をそそぎ込む。
あまりガチャガチャ混ぜてしまうと、炒り卵になってしまう。8割がた固まるまで放置して、最後にザックリ大きめにまとめ、よく火を通して皿にとり出す。
あらためてフライパンに、
- サラダ油 大さじ1
- ニンニク 1かけ (みじん切り)
- 豆板醤 小さじ1
を入れて弱火にかけ、2~3分、ニンニクがきつね色になるまでじっくり熱して味をひき出す。
火を止めて、
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 薄口しょうゆ 大さじ1
- オイスターソース 小さじ1
- コショウ 少々
を加え、
- 豚かたまり肉 100グラム (5ミリ厚さくらいの食べやすい大きさに切る。コマ肉などうす切り肉でも問題ない)
- 水煮タケノコ 2分の1本 (2ミリ厚さくらいに切る)
を入れて味をからませ、そのまま5分くらい置いておく。
弱めの中火くらいをつけ、肉を急がずじっくり炒める。肉の色が変わったら、水・1カップを入れて、煮立ってきたら、
- 皿にとり出しておいた卵
- トマト 1個 (2センチ厚さくらいのくし切り)
- 青ねぎ 太さによって1~3本 (4~5センチ長さに切る)
を加える。
ふつふつとしてきたら、味をみて塩を加える(トマトから水が出るので、塩気はちょっと強めにしておくのがコツ)。
間髪入れずに、
- 片栗粉 大さじ1
- 水 大さじ1
の水溶き片栗粉を、混ぜながら加えてトロミをつけ、トマトは余熱でも煮くずれるから、モタモタせずに皿に盛る。
これは、たまらん……。
味がしみた、プリプリの豚肉は、校庭を50周はしたくなるほど死ねる。
そしてこれがまた、非常に酒に合うのである。
もしこれで飲み過ぎないというならば、実は自分は火星人ではないかと疑ったほうがいいと思う。
「なわけないよ。」
そうだよな。