万願寺とうがらしの食べ方として、まずは焼いたり、ちりめんじゃこで煮たりするのがあげられる。ただそれだと、メインの料理としては出しづらい。
その点「マーボー万願寺」はおすすめだ。万願寺もとうがらしなので、ピリ辛料理とは大変相性がいいのである。
万願寺とうがらしは京野菜の代表的存在で、元はもう少し細くて小さい甘長とうがらしと、ピーマンを掛けあわせたものだそうだ。
「とうがらし」とはいいながら、たまにある「当たり」を除いて辛味はなく、ピーマン同様肉厚で、しかもピーマンよりも繊維が硬く、歯応えがあるのが特徴だ。
この万願寺とうがらし、食べ方としてまず一番簡単なのは、そのままグリルで焼くことで、おかかに味ポン酢でも、塩にオリーブオイルでも、かけて食べると大変おいしい。
それから定番中の定番は、ちりめんじゃこと一緒に煮込むこと。
繊維が硬い万願寺とうがらしの、煮込まれてクッタリとしながらも、もちもちの食感を保つところを存分に味わうことができる。
ただこれらの料理は、サイドディッシュとしては絶好なのだが、メインにはなりにくい。
メインにしようと思ったら、たとえば豚肉と炒めるという手があったりする。万願寺はピーマンより歯応えがあるから、炒め物に使うとシャッキリとして実にうまいのだが、これだと「ピーマンの代用品」という位置づけとなってしまい、万願寺とうがらしの独自性を発揮しているとは言いがたい。
そこでおすすめなのが、「マーボー万願寺」なのである。
マーボーは、煮込み料理だ。煮込まれても歯応えを失わない、万願寺だからこそできる話だ。
しかも、万願寺も辛くないとはいえ、とうがらし。ピリ辛料理との相性は、最高なのだ。
このマーボー万願寺こそ、メイン料理としてピーマンではない、万願寺とうがらしならではの独自性を発揮するのに、打ってつけなのである。
万願寺とうがらしは、十分クッタリさせることが必要だ。煮込み時間は、大型のものなら15分くらい、小さめなら10分くらいになると思う。
きのうは香味野菜として、ショウガのほかにみじん切りの玉ねぎを使った。玉ねぎは、味がふっくらと柔らかくなり、とてもおすすめだ。
フライパンに、
- ゴマ油 大さじ3
- みじん切りのショウガ 2センチ大
- みじん切りの玉ねぎ 4分の1個
- 豆板醤 小さじ2
- 豚ひき肉 200グラム
を入れて弱めの中火にかけ、スプーンでひき肉を押しつぶしてほぐしながら、4~5分じっくり炒める。
肉と野菜から出た水気が飛び、「ジュージュー」いう音が収まってきたところで、溶き伸ばしておいた調味料、
- 味噌 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
- 酒 大さじ1
- みりん 大さじ1
を加え、さらに1~2分炒めて味をなじませる。
ここでまずはしっかり、「肉味噌」を作ってしまうわけである。
水1カップを入れ、味をみて塩加減をして、サッと洗った万願寺とうがらしを入れる。
煮込んだ万願寺とうがらしは、ヘタもワタも、問題なく食べられる。
フタをして10~15分くらい煮て、十分柔らかくなったところで、中火にしてトロミをつける。
水溶き片栗粉は、片栗粉・大さじ1と、水・大さじ1。これを加減を見ながら、スプーンで少しずつ入れては混ぜする。
粉山椒をかけて食べる。
白めしが進むこと、この上ないのである。
あとは、わかめスープ。
豚ひき肉が、スーパーで買ったパックに250グラム入っていたのである。なので200グラムをマーボーに使い、50グラムをスープのだしに使ったという話だ。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ
- 豚ひき肉 50グラム
- わかめ
- ショウガのうす切り 2~3枚
を入れて中火にかけ、煮立ったら弱火にして、20分煮る。
- 酒 大さじ2
- オイスターソース 小さじ2
- 塩 少々
で味をつけ、油あげを入れてさらに5分くらい煮る。
お椀によそい、青ねぎと、ひねり潰したゴマをかける。
それから梅酢ドレッシングの野菜サラダ。
ドレッシングは、梅酢・1にサラダ油・2、あとは砂糖と塩、淡口醤油をそれぞれ少々。
それに、キムチ。
酒は、冷や酒。
食事には、メニューを考えるのと買い物で1時間、作って食べるのに3時間を、毎日かける。ここに時間がかかるから、つい仕事をする時間は短くなるわけである。
しかし自炊した飯を食べる満足感は、この上ない。
おれはこれを味わうために生きているわけだから、仕事など、多少押してもかまわないのだ。
「お金がなくなるよ。」
そうだよな。
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