旅先で暴飲暴食をつづけたため、お腹が減らないのだ。よく「食い溜めはできない」といわれるけれど、食べ過ぎた分は脂肪として体内にたくわえられるわけだから、実際には食い溜めはできていることになる。
何しろ旅行へ出かければ、「あれも、これも」と食べたいものが次々出てくる。よくラーメン評論家がラーメンの食べ過ぎで早死することがあるけれど、僕もその気持はよくわかる。
それできのうの晩も、豚肉とわかめの味噌うどん。
これもなかなか死ねる味だった。
豚肉を味噌仕立ての汁で煮たものだから、要は「豚汁」だ。豚汁には根菜を入れるのが定番だけれど、べつに豚肉と味噌に合うものならば、何を入れたっていいのである。
わかめは、豚肉ともよく合うものの一つだ。タケノコも入れて炒め合わせたりすると、大変うまい。
それでこのわかめ、味噌汁の具としても定番だ。なのでわかめは豚汁の具として、打って付けのものの一つといえる。
それ以外に、ほんとうはタケノコを入れようかと思い、スーパーの売場を探した。でもタケノコが、中国産の安いのが売っていなかったので、味噌汁に入れるごときで高いのを買う必要もないからやめた。
それで、その他の具は、油あげと、割り落とした生卵。味噌汁に卵がまたうまいのは言うまでもないことだ。
わかめはゆでわかめを使った。
ゆでわかめはいまが季節だから、わりと出回っているはずだが、もしなければ鳴門わかめを塩抜きして使ってもいい。
ただしゆでわかめは、悪くなるのがとても早い。余ったのは、買ったその日に冷凍してしまうことが必要だ。
豚汁をつくる場合は、だしを取ったらまずうすめの吸い物味をつけ、それで具材を煮るのがおすすめだ。味噌を入れてから具材を煮ると味噌の風味が飛ぶからで、そう考えて具材をだしだけで煮てから味噌を入れると、具材には味がつかない。
だしにうすく味をつければ、その味が具材にしみる。最後のみそは、「風味」だけを担当すると考えるようにする。
だしは、煮干し。
だしを取るときニンニクを1かけ入れると、まちがいなく一層ウマイ。
鍋に、
- 水 2+2分の1カップ (どんぶり1杯分。2分の1カップは煮詰まる分)
- 煮干し 1~2つまみ (頭とワタを取りのぞく)
- ニンニク 1かけ (かるく潰してうす皮を取る)
を入れて中火にかけ、煮立ったらコトコト煮立つ程度の弱火にし、サッとアクを取って5分くらい煮る。
- 酒 大さじ2
- みりん 小さじ2
- 薄口しょうゆ 大さじ1
で味つけする。
まず、
- 油あげ 2分の1枚 (5ミリ幅くらいに切る)
だけ1~2分サッと煮て味を含ませ、
- ゆでうどん 1人前
- 豚コマ肉 50~100グラム (食べやすい大きさに切る)
- 生卵 1個 (割り落とす)
を入れて、強めの弱火くらいにかける。
再沸騰するのに5分くらいかかると思うが、それでいいのだ。火が弱いほうがうどんも伸びずに味がしみるし、豚肉も硬くなりにくく、さらに卵が半熟加減になるにもそのくらいの時間がかかる。
再沸騰してきて豚肉に火が通ったら、
- ゆでわかめ 50ぐらむ程度 (食べやすい大きさに切る)
を入れ、10秒くらい煮て温まったら火を止めて、
- 味噌 大さじ1程度 (味をみて)
を溶き入れる。
どんぶりによそい、青ねぎとたっぷりの一味をかける。
これは、ウマイ……。
味噌味のうどんは、非常にいい。
ドロリと半熟になった卵が、またたまらない。
そしてこの豚肉とわかめの味噌うどんも、酒に合う。
何とか酒に合わないものをガンバって作ろうと思っても、けっきょく酒に合うものしかできないから、飲み過ぎるのは仕方ないのだ。
「つまらない言い訳だね。」
ホントだな。