あさりのトマトソースをパスタに絡めたのは「ボンゴレ・ロッソ」だから超有名。しかしこれが「ミートソース」となると激レアで、Googleで「あさり ミートソース」と検索しても、該当する料理は1件しかヒットしない。
さらにこれを丼にするとなると、もちろん皆無。
しかしこれが、9800回くらいは死ねるほどウマイのだ。
まずミートソースに使うひき肉は豚肉とする。これは僕が牛肉に興味がなく、牛肉と他の食材の相性についてよく知らないことが理由なのだが、豚肉とあさりの相性が最高であることは、豚肉がメイン具材のキムチチゲにあさりを入れることがあることからも証明済みだ。
実際のところあさりは豚肉を合わせることで、味の奥行きがグッと広がっておいしくなる。
豚肉とトマトの相性も最高で、ミートソースに豚肉を使って悪い理由などあるわけなく、そうして考えるとなぜあさりにミートソースを合わせないのか、不思議なくらいだ。
それからミートソースをつくる際、トマトだけだとどうしてもコクが足りなくなるから、隠し味を入れるのが普通。本格的なレシピだとドミグラスソースを入れたりするし、手軽なものならウスターソースを使ったりするのだが、ここでみりんに醤油、そして八丁みそを使うのだ。
これらの調味料はマーボーにも使われるものでもあり、ついでに唐辛子も鷹の爪ではなく豆板醤を使うようにすれば、マーボー的なコクがついて味の深まりが一気に増す。
トマトとこれら中華調味料も、酢豚やエビチリにケチャップを使うことがあることからも相性がいいことは分かっているし、オリーブオイルと醤油系の味は、ちょうど「バター醤油」のようになって完全に黄金なのだ。
そしてこれらマーボー系の味を加えたミートソースは、ご飯に実に合うのである。完全に洋風に作ったミートソースをご飯にかけようと思ったら、やはりご飯にバターを溶かすなりしないとイマイチだと思うのだが、これならその必要は全くなく、白めしで申し分ない。
ただしきのうは、ご飯をジャガイモご飯にした。ジャガイモとあさり、それにミートソースの相性も最高だからだ。
こうして作ったあさりのミートソース丼、マジで9800回くらいは死ぬ。
作り方も、まずミートソースを作ってしまい、最後にあさりを入れるだけだから大変手軽。
食べてみると、「なぜ今までこれを作らなかったのか」と後悔することは確実。
この味を知らないままに死んでしまうのはあまりにもったいないから、試してみた方がいいのではないかと思う。
作るのは、弱めの火でじっくりやればいいから難しいことは何もない。
ひき肉を十分炒め、水気を完全に飛ばしてしまうことがコツとなる。
あさり・200グラムは、
- 水 2分の1カップ
- 塩 小さじ2分の1
の塩水に30分~1時間ひたして砂抜きし、それから両手で殻をガシガシこすり合わせながら、水を3~4回替えてよく洗う。
研いで普通に水加減した米(1カップ)に、
- ジャガイモ(中) 1個 (1センチ大くらいのさいの目)
- 酒 小さじ1
を加えて普通に炊く。
フライパンに、
- オリーブオイル 大さじ2
- ニンニク 1~2かけ (みじん切り)
- 玉ねぎ 4分の1個 (みじん切り)
- パセリの茎 あるだけ (みじん切り。パセリの茎はこうして使うとムダにならない)
- 豆板醤 大さじ1 (=中辛)
- 豚ひき肉 200グラム (100~150グラムくらいでも悪くはない)
を入れ、スプーンでひき肉を潰してほぐしながら、10分くらい、水気が完全に飛んでひき肉がパラパラになるまでじっくり炒める。
あらかじめ合わせておいた、
- 酒 大さじ1
- みりん 小さじ1
- 醤油 小さじ1
- 八丁赤だしみそ 小さじ1 (なければ醤油を小さじ2にするのでもいい)
を入れ、1~2分炒めて味をなじませ、
- カットトマト 1缶
を加えて10分くらい、弱火でフタをせずにコトコト煮る。
洗ったあさりを入れ、フタをして火をほんのちょっと強め、殻が全部開くのを待つ。
殻が開いたら混ぜ、味をみて塩を加え、30秒くらい煮て火を止める。
皿にご飯と共によそい、パルメザンチーズ少々と、みじん切りのパセリをたっぷりかける。
ご飯に入ったホクホクのジャガイモが、またたまらない。
そしてこれがまた、ご飯物でありながら、酒がいくらでも進むのだ。
かなり気を付けているつもりでもどうしても飲み過ぎてしまうから、もうこの場合、飲み過ぎはあきらめるしかないと思う。
「あきらめるしかなくないよ。」
そうだよな。