スルメイカは1パイ150円~250円、一人分ならそれで十分お腹が一杯になるわけで、自炊のお助け食材だ。しかもまた、酒に合う。「スルメ」がおつまみの代表であることからも分かる通り、全ての肉類・魚介類の中で、酒にはこれが一番ではないかと思うくらいだ。
足と胴だけでももちろんうまいが、わたを使えば、また次元の違う、濃厚な味になる。スーパーで売っているスルメイカでも賞味期限内ならば、火を通す分にはわたを使ってまったく問題ない。
イカのわたを使う場合、味付には多少の工夫が必要だ。わたの味が強烈だから、調味料もそれに合わせて強いものを使わないといけない。
まずうまいのは、檀一雄「イカのスペイン風」にあるオリーブオイルとにんにく、唐辛子。これはパスタの具にするのもいい。
和風なら味噌、特に八丁味噌に砂糖も加えて甘くしたのは悪くない。
しかし史上最強なのは、「キムチ」なのである。
この組み合わせは最近になって知ったもので、キムチはイカわたのためにあるのではないかと思えるほどだ。イカわたの臭みを完全に消してしまうのではなく、それをうまく、うま味に変換してくれる。
これは本当におすすめだから、是非やってもらいたい。
さらにきのうは、このイカわたキムチ炒めに万願寺とうがらしを入れた。
万願寺とうがらしは、まずイカと合う。イカはブロッコリーやねぎなどのクセの強い野菜と相性がいい。
おまけに万願寺も甘いとはいえ唐辛子なのだから、キムチと相性がいいのは言うまでもないのである。
万願寺とうがらしはシャッキリとさせ、やわらかなイカとの歯応えの違いを楽しみたい。そこで万願寺だけ最初にサッと炒め、最後に合わせるようにする。
イカも硬くなるから、あまり火を通すぎない方がいい。あまりモタモタ炒めないのが、この料理のコツである。
丸ごとのイカを扱ったことがない人も多いと思うが、この料理ではイカは捌かないから、怖がることはない。
まずイカの胴の、中身と接続されている部分に指を入れ、届くところまで外してから、その胴の内側のところにタテに入っている、細長い軟骨をひっぱり出す。
これはまっすぐ横に引き抜かないと途中で折れてしまうから、慎重にやる必要がある。
それからイカの足の根元に一対のクチバシがある。
これも手でむしり取っておく。
あとは端からわたもろとも、、足はぶつ切り、それ以外は5ミリ幅くらいの輪切りにするだけである。
ぶつ切りにしたイカを器に入れ、
- 酒 小さじ1
- みりん 小さじ1
- 淡口醤油 小さじ1
- おろしたショウガ 2センチ大
- キムチの汁 あるだけ
- 塩 小さじ4分の1
を加え、手でもみ込む。
そのあと20~30分、漬け込んでおく。
万願寺とうがらしはヘタを落とし、タテに途中まで包丁を入れて種を取り、食べやすい大きさに切る。
フライパンにサラダ油・大さじ1を入れて中火にかけ、1分ほど、サッと炒めて皿にとり出す。
改めてゴマ油・大さじ2と、イカと見た目同量くらいのキムチをフライパンに入れ、中火にかける。
1~2分炒めてから、漬け込んでおいたイカを入れる。
1~2分炒めて、汁が固まりだした頃、とり出しておいた万願寺とうがらしを入れる。
30秒ほど混ぜ、万願寺に味が絡まったら火を止める。
万願寺とうがらしが手に入らない場合には、ピーマンやししとうを使っても問題ない。
酒にもご飯にも、死ぬほど合う。
あとは、キュウリの酢の物。
キュウリは薄い小口切りにし、塩一つまみで揉んで少し置き、水で洗って水気をふき取る。
ワカメと竹輪、ちりめんじゃこと合わせて、
- 砂糖 小さじ4
- 酢 大さじ4
- 塩 少々
で和え、器に盛って、ひねり潰したゴマをかける。
玉ねぎの赤出し。
煮干しだしに赤出し味噌を溶き入れて、油あげ、玉ねぎ、しめじを煮る。
それに、キムチ。
酒は、冷や酒。
きのうは一日、どうもやる気が出なかったのだ。しかし、うまいものを食べたら元気が出た。
自分で作った料理はつくづく癒やされると、改めて実感したのである。
「ただ怠けているだけでしょう?」
そうだよな。